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マイクロソフト、国内向けに次世代インターネット戦略“Microsoft .NET”の概要を明らかに

2000年07月14日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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マイクロソフト(株)は7月14日、報道関係者向けに、同社の次世代インターネット戦略“Microsoft .NET”(マイクロソフト ドット ネット)の概要について説明するプレスセミナーを開催した。

米国で発表された次世代インターネット構想を国内で紹介

.NETは、米マイクロソフト社が6月22日(米国時間)に発表した、次世代インターネットを利用したソフトウェアおよびサービス構想。同セミナーは、米本社が発表した内容について、国内の報道関係者に説明するために実施された。

同社は、.NET構想を打ち立てた背景について、
・インターネット自体が世界中に普及しメインストリームとなっているにもかかわらず、技術面ではまだ未熟な部分が多い
・モバイルデバイスが急速に普及しているが、現在携帯電話などの小型端末向けに提供できるデータには制限があり、また携帯電話専用のウェブサイトを別途構築しなければならないなど効率が悪い。PCとそれ以外のモバイル端末とが統合された環境でインターネットを利用できなければならない
・インターネットインフラを利用したホスティングサービス(ASPサービス)への期待が高まっているが、ASP対応アプリケーションはまだ少ない
という3つのポイントをあげ、これらを解決するためのものとして.NET構想を発表したという。

.NETは、インターネットを本格的なソフトウェア/サービスプラットフォームに仕上げるもので、Windowsプラットフォーム上で各種アプリケーションが動作するように、.NETプラットフォーム上で各種アプリケーションサービスを提供できる。

同社は、.NETプラットフォームの開発/提供と、その上で動作するアプリケーションサービスの提供を行なう。まず、次世代インターネットに対応したサーバー群と、標準となるプログラム言語および開発環境を提供する。プログラム言語のコアとしてXMLを採用し、他社ソフトウェアとの連携も行なえるようにする。またSOAP(Simple Object Access Protocol)をサポートする。同社は、次世代開発環境として、XMLとSOAPに対応した『Microsoft Visual Studio 7.0』を2001年にリリースするとしている。Visual Studio 7.0は分散環境を実現し、ドラッグ&ドロップでウェブサービスを開発できる。複数言語を統合して利用することも可能。『BizTalk』は、ソフトウェア開発/システム構築のための開発フレームワーク。BizTalk Serverに追加される予定のワークフローデザインツール『BizTalkアプリケーションデザイナー』を利用すると、ワークフローをデザインするだけで自動的にプログラムを生成できるという。

また、基本的なBuilding Blockサービスも提供する。これはWindowsプラットフォームで言えばWindows 32 APIに相当するもので、ユーザー認証技術“Microsoft Passport”の機能を拡張した“Identification”、“ディレクトリー&サーチ”、“カレンダー”、必要なアプリケーションを自動的にダウンロードできる“Dynamic Delivery”などが用意されている。

PC以外の情報端末もプラットフォームとして考慮し、ブロードバンド、ワイヤレス、スマートカード、マイク/カメラ搭載PC、タブレットPC、Pocket PCといったデバイスを視野に入れ、プラットフォームの開発を進める。その際、PC以外の端末向けに、従来のユーザーインターフェース機能を拡張する。音声認識や手書き文字認識などキーボードがなくても入力できる“ナチュラルインターフェース”や、1画面上ですべてのデータを扱える“Universal Canvas”、Agentがユーザーの指向を自動的に学習しユーザーに合った情報を提供する“Information Agent”、ウェブ上のドキュメントを認識/分析できる“SmartTags”といった機能を搭載するという。

アプリケーションサービスは、“MSN .NET”、コンシューマー向けサービス“Personal Subscription Services”、“Office .NET”、スモールビジネス向けサービス“bCentral for .NET”、“Visual Studio .NET”の5つを提供するとしている。

Pocket PC発表会より豪華? な出席陣

都内で行なわれたセミナー会場には、阿多親市代表取締役社長、古川亨米バイスプレジデント、米グループバイスプレジデントなど豪華な顔ぶれが並んだ。

挨拶に立ったマイクロソフトの代表取締役社長である阿多親市氏。「マイクロソフトのビジョンは、時や場所、機器を問わず、優れたソフトウェアで人々の可能性を広げるというもの。このビジョンを実現するためのものとして.NET構想を発表した」挨拶に立ったマイクロソフトの代表取締役社長である阿多親市氏。「マイクロソフトのビジョンは、時や場所、機器を問わず、優れたソフトウェアで人々の可能性を広げるというもの。このビジョンを実現するためのものとして.NET構想を発表した」



.NETの概要を説明したマイクロソフトプロダクトディベロップメントリミテッドのプレジデントである藤井照穂氏。「Windows上で当社のアプリケーションやパートナーのアプリケーションが動作していたように、.NETプラットフォーム上で、当社のサービスやパートナーのサービスを提供していく。インターネット上でサービスを提供することで、.NETプラットフォームを広げていきたい」.NETの概要を説明したマイクロソフトプロダクトディベロップメントリミテッドのプレジデントである藤井照穂氏。「Windows上で当社のアプリケーションやパートナーのアプリケーションが動作していたように、.NETプラットフォーム上で、当社のサービスやパートナーのサービスを提供していく。インターネット上でサービスを提供することで、.NETプラットフォームを広げていきたい」



7月13日の『Pocket PC』発表会にも登場した米マイクロソフト社ビジネスプロダクティビティグループ担当のグループバイスプレジデントであるBob Maglia(ボブ・マグリア)氏。「サービスとしてアプリケーションを提供するが、それぞれのサービスはパートナー企業と協力して提供する。例えば、日本の会計ルールに根差した会計サービスを専門企業とともに提供する。ユーザー認証やカレンダーといった基本サービスは、どのようなデバイスでも動作するように開発するナチュラルインターフェースは今後2~3年以内に導入する。音声認識や手書き文字認識により、情報入力の効率が大幅に改善されるだろう。ソフトをサービスとして提供するというのは、ビジネスモデルの大きな変革だ。パートナー企業はホスティングサービスによって大きなビジネスチャンスを得られる」7月13日の『Pocket PC』発表会にも登場した米マイクロソフト社ビジネスプロダクティビティグループ担当のグループバイスプレジデントであるBob Maglia(ボブ・マグリア)氏。「サービスとしてアプリケーションを提供するが、それぞれのサービスはパートナー企業と協力して提供する。例えば、日本の会計ルールに根差した会計サービスを専門企業とともに提供する。ユーザー認証やカレンダーといった基本サービスは、どのようなデバイスでも動作するように開発するナチュラルインターフェースは今後2~3年以内に導入する。音声認識や手書き文字認識により、情報入力の効率が大幅に改善されるだろう。ソフトをサービスとして提供するというのは、ビジネスモデルの大きな変革だ。パートナー企業はホスティングサービスによって大きなビジネスチャンスを得られる」



マイクロソフトのマーケティングサービス担当取締役である東貴彦氏。「われわれは次世代インターネットに対応したアプリケーションを開発するために、リッチな内容を短期間で作る、ウェブサイトをウェブサービスに転換させる、複数のウェブサービスを相互に連携させる、ウェブサービスと企業内システムを統合/連携させる、以上の事柄を実現する開発手法を提案しなければならない。それが.NETプログラミングモデルと開発ツールのVisual Studio 7.0だ」マイクロソフトのマーケティングサービス担当取締役である東貴彦氏。「われわれは次世代インターネットに対応したアプリケーションを開発するために、リッチな内容を短期間で作る、ウェブサイトをウェブサービスに転換させる、複数のウェブサービスを相互に連携させる、ウェブサービスと企業内システムを統合/連携させる、以上の事柄を実現する開発手法を提案しなければならない。それが.NETプログラミングモデルと開発ツールのVisual Studio 7.0だ」



米マイクロソフト社コンシューマ戦略担当バイスプレジデントの古川亨氏。「PCは、今後生産的センター、創造的センター、コミュニケーションセンター、エンターテインメントセンター、ショッピングセンターという役割を果たし、ユーザーに新しい環境を提供する。MSN .NETは、コンテンツへのアクセスという域を超え、体験を提供できる。Windows MEとMSNが最初のステップであり、その後Windows .NET、MSN .NET、Consumer Subscription Servicesを提供する。ハードウェアがあり、その上にOSがあり、アプリケーションがあるという環境は終わった。これからは.NETプラットフォームだ」米マイクロソフト社コンシューマ戦略担当バイスプレジデントの古川亨氏。「PCは、今後生産的センター、創造的センター、コミュニケーションセンター、エンターテインメントセンター、ショッピングセンターという役割を果たし、ユーザーに新しい環境を提供する。MSN .NETは、コンテンツへのアクセスという域を超え、体験を提供できる。Windows MEとMSNが最初のステップであり、その後Windows .NET、MSN .NET、Consumer Subscription Servicesを提供する。ハードウェアがあり、その上にOSがあり、アプリケーションがあるという環境は終わった。これからは.NETプラットフォームだ」



なお、セミナーの最後に行なわれた質疑応答の際、報道陣からの「Windowsは捨てるのか?」との問いに対して、同社は「Windowsをやめるわけはない。今後もWindowsの新しいバージョンはたくさん出していくし、.NETの機能をWindowsに組み込んでいく。プラットフォームの会社であることに変わりはないし、対応するアプリケーションビジネスも同様にやっていく。われわれはソリューションプロバイダーではない。.NETは幅広いチャンスを生み出すものであり、.NETで現在のソフトの問題を解決したいと思っている」(Maglia氏)としている。

ロードマップ

.NETに関するテクノロジーは、2000年末より順次それぞれの製品に反映され、2001年には、Windows .NET 1.0、Visual Studio .NET、bCentral for .NET、MSN .NET、Personal Subscription Servicesをリリースするという。Microsoft Officeの次期バージョンは現在各機能の組み込み段階に入っており、この次期バージョンはSmartTagsを搭載するという。将来的には、OfficeというソフトウェアをOffice .NETサービスとして提供する。ユーザーインターフェース拡張機能、Windows .NET Server、すべてのBuilding Blocksサービスし、Office .NETの実現は2002年以降という長期的なロードマップとなっている。

これらは米国におけるロードマップだが、同社は、.NETに関する機能のローカライズはほとんど必要ないとし、ワールドワイドで同時展開を図るという。ただし、提供するアプリケーションサービスについては国ごとにパートナーシップを必要とするため、日本でのサービス展開は、米国より数週間~数ヵ月遅れる可能性があるとしている。

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