大手チップセットベンダーの台湾VIA Technologies社は、都内のホテルで2000年のPCプラットホームに関するセミナー“PC2000
Platform Solutions”を開催した。このセミナーには、VIAのほか、メモリベンダとして日本電気(株)と米Micron
Semiconductor Products社、プロセッサベンダとして米AMD社とCyrix社(VIAの子会社)、グラフィックスチップベンダとして米S3社、米nVIDIA社、カナダATI
Technologies社と、市場調査会社の米InQuest Market Research社の各社が参加し、2000年の製品および市場動向について講演を行なった。
同セミナーは、4月22日に開催された“PC133/266 Technology Forum '99”の第2弾ともいえるもので、全体としてPC133とその延長線上にあるPC266(266MHzのDDR
SDRAM)の優位性をアピールする内容であった。
このセミナーにおいてVIAは、前回のセミナーで発表した133MHzのFSBをサポートする『Apollo
Pro133』の出荷が開始され、AGP 4xをサポートしたApollo Pro 133Aの正式出荷も近々開始されることを明らかにした。前回のセミナーと同様、PC133を強く推進することを表明し、Direct
RDRAMがニッチな存在になると強気な姿勢を示した内容であった。残念ながら、今回の講演の内容は、チップセットを中心としたもので、CyrixとIDTのWinChip部門を買収した後のプロセッサ戦略については明らかにされなかった。
Cyrixは、先ごろ正式にNational Semiconductor社からVIA社への買収が完了し、今回の講演は、日本国内では買収後初めてのものとなった。ここで、今後のロードマップが発表され、次世代プロセッサ『Joshua(ジョシュア:開発コード名)』の具体的な内容が明らかになった。Joshuaは、“COMPUTEX
TAIPEI '99”で展示が行なわれたSocket 370互換のプロセッサ。次世代プロセッサとして開発を続けていたCayenneをコアに、メモリコントローラと256KBの2次キャッシュを統合したものだ。66MHz/100MHz/133MHzのフロントサイドバスに対応する。Cyrixによれば、433MHz/466MHz/500MHz/533MHz/566MHz以上の動作クロックの製品を予定しているという。Cyrixでは、JoshuaをCeleronの対抗プロセッサとして、バリューPC向けに販売を行なっていくと述べた。
Cyrixが展示会場でデモを行なったJoshua
デモでは、350MHzで動作させていたが、製品は433MHz以上になる予定講演後の別室の展示会場で、CyrixはJoshuaのデモを公開した。デモでは、350MHzのJoshuaを使用していたが、350MHzの製品化の予定はないとのことだ。また、正式な発表を10月に行なう予定であることを明らかにした。
Joshuaのブロックダイアグラム
講演で公開となったJoshuaのブロックダイアグラムによると、CPUダイに同梱される2次キャッシュは256KB、メモリコントローラが内蔵されるなお、AMDは、発表したばかりのAthlonの性能的な優位性を示しただけに留まり、残念ながら目新しい情報はなかった。
日本電気とMicronは、2000年以降のDRAMの動向について、それぞれ発表を行なった。すでにPC133への対応は済んでおり、PC100からPC133への移行は容易だということだ。ただし、PC133のCL(CAS Latency)2への対応は、メモリセル構造の変更、もしくは製造プロセスの0.18μmから0.15μmへの移行が必要になり、2000年第1四半期から第2四半期の出荷になると予想していた。
講演後、スピーカーへの質疑応答が行なわれた。この席上でも、Direct RDRAMがノートパソコンに適応させるのは難しいという話が出るなど、やはりPC133を推進する回答に結びつくものが多かった |
このほか、グラフィックスベンダ各社は、S3がSavage 2000、nVIDIAがGeForce、ATIがRAGE
128 PROと、それぞれ発表したばかりの製品について機能を中心に説明を行なった。このうち、nVIDIAのGeForceは展示会場でも人だかりができるほどで、その性能の高さに注目が集まった。nVIDIAは、今後18ヵ月で性能を8倍にしていくと、強気な姿勢を示していた。