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LinuxWorld Conference&Demo/Tokyo 2000

LinuxWorld講演レポート IBMのLinuxサーバ戦略

2000年11月01日 00時00分更新

文● 吉川

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 すべてのサーバがeserverになったからといって、現在のサーバラインナップが消えてなくなるわけではない。講演後半では、新しい名前を付けられたeserverの各シリーズが、どのようにLinuxに対応しているかが紹介された。

xSeries(Intelアーキテクチャ)

 xSeriesは、インテルアーキテクチャのサーバ製品だ。ソフトウェア面では、IBMのミドルウェアすべてがLinuxに対応、1枚のCDでLinux版とWindows版の両方が収録されるようになるという。サーバ製品ではないが、ThinkPadなどのパーソナルコンピュータでも、Linuxを全面採用するとのことだ。

 また、サポートについてだが、Linuxが基幹業務に使われ始めたことを受け、24時間365日の稼動監視サービスを行なっていく。これは来春にも対応予定だ。

xSries説明のスライド

NUMA-Q

 xSeries中異彩を放つのが、このNUMA-Qだ。同製品がラインナップに加わることにより、xSeriesは更なるスケーラビリティを手に入れることになる。

 NUMA-Qは、科学技術計算のためのマルチプロセッサ並列処理技術として有名な「CC-NUMA(Cache Coherent Non-Uniform Memory Access)」をビジネス用途に適用したサーバで、理論上は最大252プロセッサを稼動させることができる。1台のNUMA-Q上ではWindows 2000、Linux、AIX、S/390といったOSが、ハードウェア資源をダイナミックに変更しながらそれぞれ個々に動作可能だという。

NUMA-QのLinuxサポート説明スライド

zSeries(旧S/390)

 メインフレームのサーバ。堀田氏はまず新製品の「z900」を紹介した。同製品は2500Mipsを誇るもので、このサーバの処理能力が必要な企業は米国でも数社程度だという。こうしたサーバでもLinuxが動作するわけだ。

 また、zSeriesでは料金体系もよりインターネットに即したものになっている。そのひとつが「CUoD(Capacity Upgrade on Demand)」だ。これは、あらかじめ予備分のCPUやストレージを本体に組み込んで出荷し、アクセスが急増してマシンのパワーが足りなくなったときにこの予備分を稼動させるというもの。こうすることで、ユーザー企業は初期導入コストが安くすみ、突発的なアクセス急増にも対処できるようになる。

zSeriesの説明スライド。Linuxアプリケーションと“z/OS”とは、メモリのスピードでデータをやり取りし、それぞれの得意分野の仕事をこなす

pSeries(旧RS/6000)

 UNIXサーバ。IBMのUNIX系OSである「AIX」が動作している。このpSeriesでは、「AIX 5L」と呼ばれる時期OSがLinux互換のAPIを実装する予定となっている。こうなると、AIX 5L上でLinuxのアプリケーションとAIX用アプリケーションが相互に連携することが可能になる。

pSeriesの説明スライド

 こうして各サーバの紹介が終わったあと、堀田氏は、先日発表されたローソンによる事例に触れた。ローソンでは、店頭のマルチメディア端末のバックエンドにLinuxを採用。そのサーバ数は合計で1万5000台にも登る。これらのサーバに、もしもライセンス料金が発生するOSを採用したら大変なことになるが、Linuxであればその心配はない。

 Linuxは、このローソン事例でもわかるとおり、

  • サーバの数が多い
  • ソフトウェアにかかる費用を抑えたい
  • 自分の業務用に手を入れたい

といった用途に最適だという。

 最後に堀田氏は、サーバ分野ではこうしていろいろな形態でLinuxが広まってきているが、「問題はクライアントだ」とした。今後はクライアントにおけるLinuxの使いやすさが追求され、「ここがチャレンジです」と語った。

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