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『Virtual Network Computing入門-OSの壁を超えて』

1999年11月09日 21時25分更新

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『Virtual Network Computing入門-OSの壁を超えて』

著者 VNC研究会

編者 白井徹也

カットシステム ISBN 4-877830-03-0 価格2300円(税別)

 今回は珍しくCD-ROM付きのインストール本の紹介です。といっても、Linuxのインストール本ではなく、Linuxをはじめ各種のOS間で利用可能なVNC(Virtual Network Computing)というソフトウェアのインストール本です。VNCは元々はイギリスの「Olivetti Research Laboratory」で作られたものですが、研究所自体がAT&Tに売却されて、今では「AT&T Laboratories Cambridge」になっています。

 VNCとは、たとえばWindowsの画面表示をLinuxの上に表示し、さらにそこでマウスで操作したり、キー入力、さらには仮名漢字変換をすることもできます。つまり、離れたところにあるWindowsマシンの操作を、離れた場所からLinux上で行なうことができるソフトウェアです。Windowsの画面を、ブラウザ上に表示させることも可能ですし、ビューアを使って表示させることもできます。私はLinux用とWindows98用の各キーボードをディスプレイの前に並べて使っていましたが、VNCをインストールしたおかげで、Linux用のキーボードだけで済むようになりました。

 本の説明は、インストールと設定がほとんどですが、ありきたりの説明ですし、メリハリがありません。全7章のうち6章がインストール関係の説明で終わっていて、最後の7章が急にプロトコルの説明に走っています。ちょっと内容がなさ過ぎます。活用例などを最初に色々列挙するなど工夫すべき点が多く感じられます。

 A5判ですが、各ページの左側に3センチの空きを取り、注などに使うようになっていますが、実際には注などほとんどなく、狭い紙面がますます狭くなっているだけのような気がします。全体に、ページ数が少な過ぎて本の体裁にならないので、水増ししたように感じます。実際に使ってみれば、書くべきことは多数あります。必ずしも遠隔地にあるマシンでなく、机の下に並べておいた別のマシンをVNCで使うとどういう問題が発生するか、キーボードはどこまで使えるか、など書くべきことはいくらでもあるのではないでしょうか。

 本書のCD-ROMをそのままインストールしたのですが、やはり本拠地のVNCのホームページを見るのが正統派ということで見ましたら、プロトコルに関する部分はほとんど同じでした。本家の方には、CD-ROMに付いていたものよりも新しいバージョンが置かれていたので、当然そちらをダウンロードしてインストールしました。また、新しいOSへの対応などの情報もありますので、英語でも大丈夫な方は本家の情報だけで充分でしょう。

藤原博文

プロフィール

藤原博文

パズルを解くためにTK-80などに手を出したが、BASICの低速性が気に入らず、ついコンパイラを作ってしまった。それ以降はソフトウェアの世界から足抜けできなくなり、逆にパズルをする暇がなくてストレスが溜っている。UNIXはVAXの頃から使い始めすでに20年近く、Linuxは4年前より日常的に利用している。ホームページはhttp://www.pro.or.jp/~fuji/

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