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Linux Exhibition'99――新ディストリビューション「Dice Linux」が発表! ほか

1999年07月21日 00時00分更新

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 本日より幕張メッセで開催されている、Linux Exhibition'99。速報に続いて、ここでは展示会の模様や、併設して行なわれているセミナーなどの情報をお伝えする。

 展示会と併設して開催されているセミナー「Linuxフォーラム」では、期間中3つのテーマに沿って、基調講演を含む14のセッションが行なわれている。初心者を対象としてLinuxの最新事情や概論を扱う「General Day」(21日)、企業ユーザーを対象としてサーバ構築環境などの実務情報を扱う「Server Day」(22日)、上級者を対象とし日本語環境の最新動向などの専門情報を扱う「Client Day」(23日)である。

 本日21日は、米IBMのRichard J. Sullivan(リチャード J. サリバン)氏による基調講演のほか、Linuxビジネス活用概論、Linuxクライアント環境概論、Linuxサーバ利用概論のセッションの4つが行なわれた。

 ビジネスでのLinuxの利用を推進する団体「Project BLUE」を発足し、当サイトにも、コラム「ソフトベンダーから見たLinux」を寄稿していただいている、日本オラクルLinux事業推進部の宮原徹氏は「Linuxビジネスの活用と動向」をテーマとしたセミナーを行なった。宮原氏はLinuxビジネス成立のためには、サービスのメニュー化、サポート体制をを確立することが必要だと強調。「現在の日本のITモデルとして、まだ収益構造がソフトウェアという「モノ」を対象としたものになっている。このソフトウェアが「サービス」に移行する必要がある。このことは、Linuxがビジネスとして成立するかという問題に大きくかかわることだ。そのためには、技術的な解決を含めたサポート体制を整えるという問題を解決する必要があるだろう」とした。

宮原氏写真
セミナーで語る宮原氏

参加者写真
熱心に聞き入るセミナー参加者

 このほか、LinuxJapan編集長であり、フリーランスライターでもある風穴江氏の「Windowsの代替となり得るか。クライアント利用の潜在可能性を探る」や、「プロサーバ for Linux」を開発したギデオン代表取締役社長の西尾高幸氏による「既存サーバOSにないLinuxのメリット」などのセッションも行なわれた。

 全体的に「概論」ということもあり、受講者は技術系の開発者というよりは、「Linuxの導入を検討している担当者」といったビジネスマン風の姿が目立った。

 明日(22日)以降のテーマとしては、ターボリナックス ジャパン(株)の代表取締役社長クリフ・ミラー氏による「クラスタリングによる大規模システムの構築」、また明後日(23日)には、ジャストシステム(株)の植松直也氏による「日本後処理環境としてのLinuxの今後」など計10のセッションが予定されている。

オムロンソフトウェアの新製品

ブース全体写真
オムロンソフトウェアのブース

Wnn即日販売情景
Wnn6 for Linux/BSD Ver3.0

 オムロンソフトウェア(株)のブースでは、先日発売が開始された日本語変換システム「Wnn6 for Linux/BSD Ver3.0」の販売ほか、9月~10月に発売予定の「日英・英日翻訳ソフト(仮称)」の説明も行なっていた。この製品は、クライアントサーバ方式の翻訳ソフトで、クライアントはMule上のインターフェイスなどが用意されている。また詳細は未定だが、専用クライアントアプリケーションも提供される予定。同社では、プロトコルを公開することで、クライアントをユーザー側で開発できるようにするという。なお、翻訳エンジンについては自社開発ではなく、他社からライセンスを受けて使用している。

 対応OSは、LinuxとFreeBSDで、価格は1万5000円。量販店などで販売する。現在のところ、「Wnn」のようにディストリビューションにバンドルして販売する予定はないという。なお、公募していた同ソフトの名前は今週中にも発表する予定。

これが新しいディストリビューションだ!

 今回のイベントの中でもっとも新しいニュースの1つは、「Project Dice」による新ディストリビューション「Dice Linux」の発表だろう。「Project Dice」は、JLA副会長を務め、Debian JP Projectのリーダーでもある鵜飼文敏氏らをはじめとする、現在のDebian JP Projectの開発メンバーの一部からなるプロジェクト。Debian GNU/Linuxのサブセットで、同ディストリビューションと100%互換性を持つものだ。Debian JP Packages(Slink-JP)がバイナリのみでCD-ROM2枚に収録されているのに対し、Dice Linuxはソース付きでCD-ROM1枚に収まる容量となっている。雑誌の付録やFTPサイトからのダウンロード、企業と提携してパッケージ販売などの配布形態をとる予定だが、配布時期は未定。

 そのほかの特徴としては、簡易エディタなど含むDtoolsと呼ばれるツールを収録する。簡単インストーラにより、インストール作業が行なえるので、理解しにくいDebian GNU/Linuxのパッケージ管理ツール、dselectを使用することなくインストールできるという。

 そのほか、商用アプリケーションのバンドルも検討しているという。PowerPCやAlphaなど、Intel以外のアーキテクチャにも対応する。これら、Dice Linuxの開発成果は、Debianにコントリビュートされるという。

Project Dice説明
Project Diceの開発者の1人で、Debian Projectのメンバーでもある北目氏が発表。企業をターゲットとしたイベントであったためか、「Debian」と聞いてもピンとくる人は少なかったようだ

そのほかのブース

Linuxシアター写真
Linuxの現状や課題導入のポイントを説明するLinuxシアター。本日3回のセッションが行なわれたが、どの回も満席となる盛況ぶりだった

XZエディタデモ
ターボリナックス ジャパンのブースでは、TurboLinux 4.0上で、ビレッジセンターが開発しているエディタ「XZ EDITOR」のデモを行なっていた

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