繁華街を10分ほど歩くと「大垣市多目的交流イベントハウス」がある。そこではテクノロジーを利用したさまざまな作品を展示し、実際にワークショップやシンポジウムなども開催されている。
その中でも特にユニークな作品が「CCCity」(平林真実+DSPプロジェクト)だ。この作品は、クリエイティブコモンズ・ライセンスを利用したコンテンツの改変による街の変容をテーマにしたもの。大垣の街を舞台に、写真や絵をGoogleマップの地図上に張っていく。そして任意の場所にある写真を改変(リミックス)して再び登録。いろいろな人たちにリミックスしてもらい、自分たちの好きな風景を作っていくという作品だ。
特筆すべきは、「CCCity」がリアルとフィクションをミックスしてそこにゲーム性を取り入れたところ。メンバーがチームに分かれて、iPod touchで地図に表示された写真と実際の建物を見比べながら街を歩く。写真が改変されたものであれば、iPod touchの画面をタップすると回答が現れる。正解だとイベントハウスにあるiMacのウェブブラウザーにエリアが追加され、陣取りゲームが楽しめる。
デジタルを使って歴史の積み重ねを表現したメディアアート「時間層」(関口敦仁)も目を引く。大垣城周辺の地層を調べたボーリングデータをもとに、地層の変化をバーチャルで表示するVRシステムだ。GPSと連動しており、モニターを持って移動するたびに、その場所の地層がリアルタイムでアニメーション表示される。しかも、スイッチで年代ごとに地層のアニメーションを切り替えられる。ちなみに地下20mの地層は約1万5000年前の地点だという。
イベントハウスの前に怪しい雰囲気のバスが停車している。これも体験型のメディアアート作品「サイトシーイングバスカメラ」(佐藤時啓+Ray Projects《三友周太》)だ。バスの窓ガラス5カ所にピンホールカメラを設置し、外部の風景を車内に映し出しながら市内を走る。見慣れた風景が高速に横スクロールするため、新たな映像を体験できるというものだ。
「岐阜おおがきビエンナーレ2008」は、9月28日まで開催している。この週末、メディアアートに興味がある人はぜひ足を運んでみよう。