アプリケーションも仮想化だ!
しかし、「我が社もHyper-Vを導入すれば万々歳ですね!――というような単純な話ではない。マイクロソフトは「統合された仮想化」を中心に、「Dynamic IT」と総称する一大絵巻を描いているからだ。
マイクロソフトはWindows VistaやWindows Server 2008など、OSを中心とするソフトウェア企業である。故に、同社の仮想化技術はOSを中心に添えた企業インフラの世界に位置づけられているのが特徴だ。クライアント系/サーバー系のWindowsで仮想化を実現する「統合された仮想化」レイヤーがあり、さらにマネジメント(運用管理)とセキュリティーのレイヤーが乗る、という世界観である。
MMSでは、マイクロソフトの仮想化技術を用いて築く世界を「Dynamic IT」と総称していたが、運用管理ツールなど10を超す製品が用途別に用意されており、ユーザー企業がまるごと導入するとなれば壮大な規模の話になる。最適な技術を選んで使うのが現実的だろう。
たとえば、10年前に開発された古い業務アプリケーションを使うために、Windows 98のマシンをいまだに使っているとしよう。こうした問題に対処するのがアプリケーション仮想化ソリューションである「Microsoft Application Virtualization 4.5」だ。デスクトップ仮想化では、パソコンのデスクトップ上に仮想マシンが現れ、ユーザーはデスクトップ内のデスクトップを通じて仮想マシンを操作する。一方、Microsoft Application Virtualization 4.5では、サーバー上で仮想マシンを構築し、ネットワーク経由で仮想マシンの画面を表示してキーボード・マウスで操作する。ユーザーはアプリケーションが仮想マシン上で動作していることを意識しないで済むため、新しいVistaマシン上でも10年前の業務アプリケーションを操作できる。
MMSでは数多くの仮想化技術が紹介された。アンダーソン氏は「仮想化を提供する企業はいろいろあるが、マイクロソフトほど仮想化の分野でたくさんの資産を持つ企業はない」といっている。ユーザー企業にとっては、多くの選択肢から最適なソリューションを見つけやすい力強いパートナーになるだろう。