Time Capsuleの特徴は、何といっても無線LANベースステーションとNASが一体化している点にある。しかも、インターフェースは無線がIEEE 802.11nドラフト2.0対応、有線が1000Base-T対応と高速だ。Time Machineのバックアップ先として利用した場合や、NASとして利用したときのパフォーマンスをここでは検証する。なお、最新のファームウェアを適用したAirMac ExtremeベースステーションにUSB接続の外付けハードディスクを接続した場合も、使い方や機能はTime Capsuleと同等だ。
Time Machineバックアップの実行速度
特にMacBook Airをはじめとしたモバイルユーザーに注目してほしい点が、Time Machineのバックアップ先としてTime Capsuleを利用すると、無線/有線接続で2倍近い速度差が発生すること。OS Xインストール直後のクリーンな状態でも1時間ほどの差が生まれるため、10倍の約131GBのデータであれば、単純計算で10時間の差となる。初回バックアップ時にはイーサネット接続が推奨されているゆえんだ。
ただし、一度バックアップしてしまえば、次回から差分バックアップになるため、よほど負荷の高い作業を恒常的に繰り返しているユーザー以外はその違いを体感することはないだろう。
ファイル/フォルダーコピーの実行速度
続いて、Time Capsuleをファイルサーバーとして利用する場合にファイル/フォルダーコピーに要する時間を調べた。Time Capsuleに無線LAN接続でアクセスするよりも有線LANで利用したほうが高速なのは当然だが、その差はフォルダーコピーよりもファイルコピーで顕著に表れた。また同じTime CapsuleでもUSB 2.0端子に外付けハードディスクを接続した場合(AirMac Disk)よりも内蔵ハードディスクを利用したほうがおおむね高いパフォーマンスを示している。これらは、Time Capsuleが搭載するチップ性能に起因していると考えられる。ちなみに、AirMac Extremeベースステーションのパフォーマンスが低い点も、チップ性能によるものだろう。
なおフォルダー/ファイルコピーでは、各テストで計測した値が非常に大きくばらついた。2倍以上大きな開きが現れたケースも多く見られた点を付記しておく。
無線LANルーターとしてのパフォーマンス
最後に、Time Capsuleが無線LANベースステーションとしてどの程度の性能なのかを調べるため、実行速度で定評のある(株)バッファロー製の無線LANベースステーション「WZR-AMPG300NH」とファイル転送速度を比較した。
Time Capsuleは確かに「WNR-AMPG300NH」よりもパフォーマンスが低いものの、その違いは1割程度。無線LANルーターに何よりもパフォーマンスを求めるのであればアップル以外の製品を選んだほうがいいが、「AirMacユーティリティ」による簡単なセットアップやTime Machineとの連携など、Time Capsuleはアップル純正製品ならではの利便性を備えている。Macユーザーならわずかなパフォーマンスの差よりも、アップル製品ならではのメリットを優先したいところだ。
Time CapsuleはAirMac Extremeベースステーションよりもルーターとしての性能が高く、また他社製品と比較してもそれなりのパフォーマンスを備えている。何より、OS X Leopardユーザーにとってはネットワーク経由でTime Machineの恩恵を受けられるメリットは大きい。また、IEEE802.11nとギガビットイーサネットに対応した無線LANルーターでNAS機能を備えた製品はほかになく、今無線LANベースステーションの導入を検討しているなら、最有力の選択肢になりうる製品だろう。