強化・追加された機能は多いものの、実際に使ってみてまず感じるのはしっくりとした“手に持った感”だ。Caplio Rシリーズでも他社と同様に薄型化が進んだが、R8では厚さ26.1mm(最薄部22.6mm)でR7とは数値的には変わりがない。にも関わらず、持ってみるとしっくりと手になじむボディーとなっている。これはグリップ部に新たにラバー素材が貼られているためでもあるが、従来までの曲面を採用した前背面の周辺部よりも、カッチリと角があるほうが持ったときの安定感はいいのは確かだ。重量自体もR7の135gから168g(非装備時)へと重くなっているが、こちらもレリーズ動作などで不用意に手ぶれしにくいなどむしろ好印象だ。電源を入れて撮影してみると、さらに従来までのCaplio Rシリーズとの違いが明らかになる。同社製のデジカメはレンズの沈胴・伸長、ズーム、AFなどの動作音がやや大きめなのが特徴だが、その点が本機では非常に低く抑えられており、静かな場所での撮影でも動作音を意識しなくても済むようになったのはありがたい。
ハーフVGA液晶ディスプレーに表示される画像は大変奇麗で、ピントの確認やサムネイルでの画像閲覧でその威力を見せつける。3インチ前後の液晶パネルを搭載するデジカメも増えてきたが、まだまだ表示画素数は23万画素程度のものが多く、液晶ディスプレーで見るとドットが視認できてしまい結果的に粗く見えてしまう。高精細液晶パネルはなかなか普及しないが、本機が普及モデルでありながらも採用したことの意義はかなり大きい。
画質に関しても、2005年の「Caplio R3」から細かく改良されつつ継承する7.1倍ズームレンズの描写はなかなかのものだ。最近では広角28mmクラスのレンズを搭載するコンパクト機も増えてきたが、極端に周辺描写が甘くなるレンズが多い中でしっかりとした描写が得られるのはかなり貴重な存在だ。一方、コントラストの強いシーンでは明部・暗部がとび/つぶれがちになるほか、低感度域でもざらつきが残る画像処理は、同社デジカメに共通するものだが、好みの分かれるところだろう。
デジカメのコンパクト化の流れとともにCaplioシリーズも薄型ボディーを採用してきたが、同社デジカメはスタイリッシュというよりもどちらかと言えば実用本位、華やかさはなくても堅実に使えて“いい絵が撮れる製品”というイメージが強い。R7でのカジュアルデザインから一転して、無駄を排した本機のシックなデザインはそのイメージにかなり似合ったものとなっている。同社のハイエンド機である「GR DIGITAL」(関連記事)と似たイメージを普及モデルである本機にも用いることは、やや“ブランドの安売り”的な印象を受けなくもないが、マニュアル露出モードこそ持たないものの本機は機能面でも絵作り的にも普及モデルとしてはかなり高い水準を保っている。持っていて楽しく、奇麗に撮れるコンパクト機として幅広い層にお薦めできる1台だ。
RICOH R8の主なスペック | |
---|---|
製品名 | RICOH R8 |
撮像素子 | 1/2.3インチ有効約1000万(総1030万画素)CCD |
レンズ | f=4.95~35.4mm(35mmフィルムカメラ換算時:28~200mm相当)、F3.3-5.2 |
静止画撮影 | 最大3648×2736ドット |
ISO感度 | オート、高感度オート、ISO 64/100/200/400/800/1600 |
動画撮影 | 640×480ドット、30fps、MotionJPEG圧縮AVI形式 |
液晶ディスプレー | 2.7インチTFT、約46万画素 |
記録メディア | 内蔵24MBフラッシュメモリー&SDカード(SDHC対応) |
インターフェース | USB 2.0(Hi-Speed対応)、AV出力、DC入力 |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(DB-70) |
撮影可能枚数 | 約270枚 |
本体サイズ | 幅102.0×奥行き26.1(最薄部22.6)×高さ58.3mm |
重さ | 168g(本体のみ) |