今年の受賞作の特徴は、メッセージ性とイノベーティブ
【レポート】Wii、クゥ、広島が受賞!! 「第11回文化庁メディア芸術祭」受賞作品発表
2007年12月05日 15時55分更新
文化庁メディア芸術祭実行委員会(文化庁・国立新美術館・CG-ARTS協会)は4日、東京・京橋のCG-ARTS協会において、2007年度の受賞作品の発表および試写会を行なった。会場にはアニメーション部門で2度目の大賞受賞の快挙を成し遂げた原 恵一監督と、テレビドラマ「有閑倶楽部」の原作者としても知られ、マンガ部門優秀賞を受賞した一条ゆかり氏が出席し、挨拶に立った。
これが各部門大賞受賞作品だ!!
今回は、開始から節目の10年目となった2007年を終え、次の10年へのスタートに当たる「第11回文化庁メディア芸術祭」となる。毎年、年末に受賞作品を発表し、年明けに作品展覧会を行なっており、今回もアート/エンターテインメント/アニメーション/マンガの4部門に世界43の国と地域から応募があった2091作品(昨年は1808作品)から優秀な作品が選び出された。
以下が第11回文化庁メディア芸術祭各部門大賞の受賞作品だ。
- アート部門/大賞
- 「nijuman no borei」Jean-Gabriel Periot
- エンターテインメント部門/大賞
- 「Wii Sports」開発チーム代表 太田敬三
- アニメーション部門/大賞
- 「河童のクゥと夏休み」原 恵一
- マンガ部門/大賞
- 「モリのアサガオ」郷田マモラ
発表会の冒頭、文化庁芸術文化課課長の清水 功氏が挨拶に立ち、応募状況や審査の経緯について説明を行なった。清水氏は「(年明けの)展示会場が六本木にオープンした国立新美術館に移りますが、これに相応しい作品が集まったと思います」と語った。
続いてCG-ARTS協会の阿部芳久部長が、今回の応募から受賞までの詳細について報告した。
初めに阿部氏は「4部門の幅が広いジャンルを対象としたフェスティバルは、世界中探しても他に類を見ないもので、日本だからこそできるものだと思います。開始当初の10年前は、メディアアート、デジタルアートの評価の定まったフェスティバルはすでに海外にありました。その中で日本でしかできないものができました」と述べた。
また応募の傾向などについて、ウェブで表現された作品は、ウェブとして選出されるのではなく、アート、エンターテインメントといったジャンルの中で選出されている。実際にマンガ部門では、オンラインマンガや自主制作マンガが増えているとし、「ひとつの部門の中に幅広いジャンルの表現があるのが、メディア芸術祭の特徴と言えます」と説明した。
審査委員を代表して、エンターテインメント部門の主査を務めたゲームプロデューサーの水口哲也氏が次のように総評を行なった。
「応募数は過去最高で、ジャンルも多岐に渡っています。境目が曖昧になっている作品も増えてきているのが印象的でした。全体的な傾向としては、メッセージ性の強い作品と、技術的なイノベーティブな作品が顕著でした。アート部門は映像作品が大賞を受賞しており、優秀賞も3作品が映像作品となりました。エンターテインメント部門は、数多くの方向性を持った技術やプラットフォームがそろい、いろんなジャンルが受賞されました。アニメーションは原監督が2度目の受賞となりました。マンガ部門は社会的なテーマを持ったものが増えています。大賞は死刑に向き合ったテーマの作品が受賞しました」