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2007年冬モデルのハイエンド複合機

【レビュー】タッチパネル装備でさらに簡単操作 「HP Photosmart C8180 All-in-One」

2007年11月27日 09時00分更新

文● 行正和義

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 日本ヒューレット・パッカード(株)のインクジェット複合機でハイエンドモデルにあたる「HP Photosmart C8180 All-in-One」は、液晶ディスプレーにタッチパネルを採用することで操作をシンプルにしたのが特徴だ。同社のインクジェットプリンターでは、単機能(といってもメモリーカードスロットと液晶ディスプレーを持つダイレクト印刷対応)プリンターの「HP Photosmart D7360」(関連記事1)という2006年発表モデルがタッチパネルを採用していたが、複合機としてのタッチパネル搭載は同社初となる。

HP Photosmart C8180 All-in-One

日本HPの複合機最上位モデル「HP Photosmart C8180 All-in-One」

 同社の複合機は価格の割に多機能なのが特徴だが、本機もインターフェースとして有線LANと無線LANを標準搭載し、さらにBluetoothも標準装備する。ただし、2006年発表モデル(店頭販売限定)の「HP Photosmart C7180 All-in-One」(関連記事)などとは違って、ファクス機能は省略されている。

本体前面

操作パネルとメディアスロットで左右に別れたフロントフェイス。右下にはUSBメモリーなどを挿すための前面コネクター

背面

背面には両面印刷ユニットを装着するためのベイが用意されている。USB、LANポートはACアダプター端子と並んで背面に配置されている

 印刷機能は同社の上位~中堅モデルで一般的となった「スケーラブルインクテクノロジーシステム」の6色独立インクシステムで、2006年モデルから基本的に変わりはない。前面給紙/前面排紙と給紙カセットの上に「フォトトレイ」(ハガキやL判用紙などをセットする専用トレイ)を持つ点も同様だ。ただし、同社製品の多くが標準で採用している「両面印刷ユニットはオプションとなっている。

スキャナー部

スキャナー部の手前の部分のみフィルムスキャンに用いるようになっている。圧板を外したトップカバー部にフィルムガイド(ストリップ用/スライドマウント用)がセットされている

 スキャナーはCCDタイプだが、新たに「6色光源」という独特の方式を採用する。これは波長域の異なる2つの光源を用いて2回スキャンを実行し、それぞれに読み取ったRGBの値(計6つ)の情報から画像を生成・出力するもの。このため画像入力スペックは通常の16bitではなく96bitとなり、高い色再現性を実現するという。

本体側面

同社複合機に共通する、前方に傾斜しているスキャナーのガラス面によって、高い位置に置いても原稿をセットしやすくなっている。前面の操作パネルは45度程度手前に引き起こすことができ、逆に低い場所に置いても楽に操作できる



CD-R/DVD-Rドライブ内蔵でレーベル印刷も!
エコにも便利(!?)な罫線印刷


インクカートリッジ

同社の普及機でも一般化してきたT字型のインクカートリッジを装着するときはスキャナー部と操作パネル、メディアスロット、光学ドライブがまとめて上に跳ね上がる

光ディスクスロット

メディアカードスロットの下にはスーパーマルチドライブが配置されている。LightScribeラベル作成時にはラベル面を下にしてセットする

LightScribeで作成したディスク

LightScribeで作成したディスク。反射のON/OFFによる2階調モノクロ画像となるわけだが、グレースケールも表現されてかなり見応えがある

 本機の大きなポイントはCD-R/DVD-Rドライブを搭載する点だろう。本体の前面右側にあるトレイローディング式のドライブは、USB接続時にはパソコンからCD-R/DVD-Rドライブとして利用でき、ライティングも可能(ただし、LAN接続では転送速度の関係からか読み出しのみ可能となる)。プリンター単体で使っても、CD/DVD内にある画像の読み込み/印刷や、メモリーカード内のデータバックアップなどが行なえるほか、CD/DVDメディアにレーザーでラベル(レーベル)面を印刷するという面白い機能も付いている。これは「LightScribe」(ライトスクライブ)技術を用いたもので、CD/DVDライティング時のレーザー光によるメディア表面の屈折率変化を利用して、画像や文字を印刷するというもの。画像・文字ともにモノクロ表現だが、けっこう見応えのあるディスクとなる。本機にはディスクラベルをインクジェット印刷する機能はないが、レーベル印刷に凝るならディスク単体はLightScribe対応メディアへのレーベル印刷、タイトル情報なども含めたカラフルな印刷を行なうなら円形シール用紙へのCDジャケット印刷と使い分けるのも面白いだろう。なお、付属ソフトでパソコン経由でのレーベル印刷ができるほか、プリンター単体でもデジカメ画像やスキャン結果からLightScribe対応ディスクへの印刷が行なえる。

ラベル印刷ツール「Roxio Express Labeler」

付属ソフトから呼び出す形式のラベル印刷ツール「Roxio Express Labeler」。メニューを見ても分かるように、LightdScribeラベルを印刷するだけではなく、インクジェットラベル用紙を用いたCDラベルやケースなどの印刷も可能となっている

ディスクをセット

LightdScribeでCD-R/DVD-Rラベルを印刷(焼き込み)を行うので、当然ながらラベル面側を下(ピックアップ側)にしてセット

焼き込み作業中の画面

LightdScribeラベルはCD-R/DVD-Rなどと同様に焼き込み作業のため、かなり時間がかかるのが難点

 このほか、セットアップメニューの「ツール」項目として、学校教材を印刷する大学ノート型の罫線が入ったレポート用紙グラフ用紙などを印刷する機能も用意されている。特に欧米では学校用への導入に積極的なHP製品らしい機能だが、実際に使ってみると裏紙(コピーなどに使った紙の裏面)をメモ用紙として再利用する際などに、罫線機能がなかなか便利だ。

HP Smart Web Printingを用いない印刷プレビュー

「HP Smart Web Printing」を用いない状態でのIEの印刷プレビュー。横幅が単に解像度だけで調整されているため、バナーやページレイアウトの右端が切れている

HP Smart Web PrintingをONにした印刷プレビュー

HP Smart Web PrintingをONにしたWebページの印刷プレビュー。バナーや本文横幅が自動調整され、A4にフィットした印刷となる

クリップブック機能

HP Smart Web Printingでは印刷幅自動調整のほか、「クリップブック」と呼ばれる機能があり、任意の領域をクリップして右側のトレイに保存、まとめて印刷することができる

 また、今回の新製品ではウェブページをプリントアウトするためのツール「HP Smart Web Printing」が付属するのも面白い(Internet Explorer対応)。単にウェブブラウザーから印刷実行しただけでは、右端が切れたり、バナーや画像がアンバランスに大きく印刷されるケースがあるが、HP Smart Web Printingをインストールすると自動レイアウトによって1ページにうまく収まるように印刷できるほか、任意の範囲をクリップして印刷することも可能となる。必要な情報だけを印刷してスクラップする、クーポン情報だけを持ち出す、など活躍するケースも多いだろう。なお、本ツールは同社ウェブサイトから無償ダウンロードも可能だ(日本HP製プリンターとの組み合わせでのみ利用可能)。

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