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「“問題大好き人間”の結合体目指せ」、SAPのイベントで遠藤功氏が語る「現場力」の本質

2007年07月24日 18時28分更新

文● アスキービジネス編集部

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見える化の次は「つなぐ化」、そして「粘る化」


「“問題大好き人間”の集合体目指せ」、SAPのイベントで遠藤...

 現場力とは、ひとりひとりが当事者意識を持ち、自らが問題を発見して解決していく力のことだ。重要なのは、それを個人の能力ではなく、組織能力のレベルにまで高めていくこと。「トヨタや花王は“問題大好き人間”の集合体。たとえ二律背反の問題であっても、その解決に向かうのが強い会社」(遠藤氏)。そして「あの現場にはかなわない」といわれるような、競争上の優位性にまで現場力を高めていくことが、強い企業を作り上げるのだという。

 遠藤氏は、こうした現場力を磨くために必要なこととして、「見える化」「つなぐ化」「粘る化」の3つを紹介した。

 まず、現場力の第一歩は、問題を発見する力を持つことであり、それには「見える化」が欠かせない。「トヨタの現場に話を聞いてみると、『無駄が見えているからコストが削れる。見えない無駄は取れない』という答えが返ってきた」(遠藤氏)というように、「見えない問題は解決できない」からだ。

 次に挙げられるのが「つなぐ化」だ。せっかく見える化されても、部門内や個人の中にとどまっていては全社的な改善は難しい。本社と現場、部門と部門といったものを「つなぐ化」し、「現場力の最大の敵は『組織の壁』」(遠藤氏)という“たこつぼ化”を解消する必要がある。

 遠藤氏によれば、つなぐ化の具体策は、対話の密度を高めることだという。「いい現場は対話の密度で決まる。見える化による気づきをきっかけに、対話の密度を高めていくことが、つなぐ化につながる」(遠藤氏)。

 そして最後が「粘る化」だ。多くの企業が、せっかく「見える化」や「つなぐ化」に取り組んでも、短期的な成果が得られずに止めてしまうことも多い。遠藤氏は「見える化の成果が出るには最低10年かかる。1年2年では成果はない」と断言した上で、「続かないのではなく、続けない、飽きっぽい会社が多い。企業の本質的な強さは粘り強さであり、連続的・継続的な取り組みが改善といえる」と話す。氏は、キヤノン、デンソー、セブンイレブンといった企業の長期的な取り組みを紹介し、「あきらめないで粘り強く取り組む企業こそが、最後に成果をあげる」と述べた。

 「もっとも重要な見える化は、夢、思い、志、すなわちビジョンの見える化だ。理想のない現実主義から飛躍は生まれない。理想を描きながら、足元を一歩一歩固めていくこと。見える化こそが現場力の推進エンジンになる」――最後に遠藤氏はこう強調し、講演を締めくくった。

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