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「プロマネ、業務部門、OJT」――富士通ラーニングメディアが明かすIT人材のトレンド

2007年01月31日 19時10分更新

文● アスキービジネス編集部

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富士通ラーニングメディアは1月31日、同社の品川ラーニングセンターで記者懇話会を開催した。代表取締役社長の岡田恭彦氏らが、IT人材育成のトレンドと同社の2007年度の取り組みについて語った。

IT利用部門のIT研修も増加傾向

「IT技術者に求められているのは、知識・技術と実践力、行動力、ヒューマンスキル。バランスの取れた人材が求められている」

 企業向けのIT人材育成・研修サービスを手がける富士通ラーニングメディア研修事業部長の羽賀孝夫氏は、IT技術者に求められるスキルをこのように結論付ける。

 全550回コース・年間5000回に上る同社の研修サービスで最近、受講者数が伸びているのが、プロジェクトマネジメントやヒューマンススキルに関するもの、OJTに近い実践型の講座だという。加えて、IT技術者向けだけでなく、本社部門などの「IT利用者」に対して、研修を導入する企業が増えていると羽賀氏は指摘する。「システムの選択と集中が進み、システム部門は企業のコア部分に特化し始めた。現場は現場で対処してもらう傾向が見られる」(羽賀氏)。

富士通ラーニングメディア研修事業部長 羽賀孝夫氏

富士通ラーニングメディア研修事業部長 羽賀孝夫氏

 こうしたニーズの変化を受けて、同社が2007年の重点テーマとして位置づけるのが、「プロジェクトマネジメント」「OJT支援」「業務改善のためのIT活用」の3つだ。

 まず、「現場でプロマネを育てる余裕がなく、それを研修でカバーできないかというニーズが高い」(羽賀氏)として、実践力を重視したプロジェクトマネジメント研修を整備する。実際にプロジェクト経験を持つ講師による、事例に基づくトレーニングやロールプレイ、コミュニケーション力などのヒューマンスキル研修を組み合わせて提供していく。

 また、OJT支援では、新入社員へのOJTを担当する「OJTトレーナー」を育成するため、コミュニケーション力向上を主眼においた研修を用意する。加えて、事例から抽出したシステム開発のトラブルをもとに対処法を学ぶ「疑似体験型ケーススタディ」も充実させる計画だ。

 業務部門向けの研修としては、ExcelやAccessといった身近なツールを使った、情報収集、加工/分析、発信のスキルを養成するプログラムを提供する。「単なるExcelのノウハウではなく、実際の業務改善に役立つ実践的な能力を身につけるのが目的」(羽賀氏)という。


企業の「教育回帰」による伸びに期待

富士通ラーニングメディア代表取締役社長 岡田恭彦氏

富士通ラーニングメディア代表取締役社長 岡田恭彦氏

 一方、企業のIT人材育成に対する取り組みについて、同社代表取締役社長である岡田恭彦氏は、「『教育回帰』『ITSS(ITスキル標準)の定着』『サービス化』が見られる」と話す。ここ数年の景気回復を受けて、大企業を中心に教育研修の需要が増加。特に新卒採用が活発化したこともあり、同社の新人研修サービスは2006年度、10%の伸びを記録したという。岡田氏は、「2007年度も同様の伸びを見込んでいる」と期待を込める。

 ITSSについては、「問題点も指摘されてはいるが、個人のスキルの位置や、目標設定の指標として定着してきた」と説明。また、「当社は研修のコンテンツベンダーとしての側面が強かったが、社員の能力アップに直接寄与するサービスが強く求められている。それに応えるサービスを提供していきたい」と話した。

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