サーバー管理者でも簡単!SANストレージ 「P6000 EVA」の実力 第1回
多様化するニーズに応え続けるEVAシリーズの軌跡
あらゆるニーズに応える定番ストレージ「P6000 EVA」
2011年10月31日 09時00分更新
業務データを保護し、活用するためのストレージ選びは、企業のIT部門にとって重要な課題となってきた。容量、性能、コスト、省エネなどストレージへのニーズが多様化し、刻々と変化していく中、日本ヒューレット・パッカードのSANストレージ「EVA(Enterprise Virtual Array)シリーズ」がなぜ多くの企業で売れ続けているのか? その理由を説明する。そして最新のP6000 EVAの概要を見ていく。
ますます多様化するストレージへのニーズ
業務データの格納庫として導入されているストレージへのニーズが、昨今ますます多様化している。1990年代には、サーバーに格納していたデータを安全に保存するためだけの外付けのディスクアレイ装置に過ぎなかったが、データ容量が爆発的に増大してきたことで拡張性や信頼性も求められるようになってきた。また、サーバーやストレージ間を相互接続するためのネットワーク対応も必須となっており、Fibre Channel(FC)、Ethernet、InfiniBandなどの高速インターフェイスを使ったデータの伝送能力も重要な要件となっている。単なるデータ保護だけではなく、大容量を実現する高い拡張性、ノンストップでの運用、高速な伝送が可能なパフォーマンスといった要件も重視されるようになってきたわけだ。
加えて昨今はIT予算の抑制が求められており、低廉なコストが求められるようになってきた。製品の価格自体が安いことはもちろん、運用・管理にかかるコスト、拡張にかかるコストを可能な限り抑える必要が出てきているわけだ。さらにICT分野でのトレンドとなっている仮想化やクラウド、省エネなどの要件にも応えていかなければならない。特に省エネは、3・11の大震災以降の電力不足を考えれば、必須の要件といえる。
こうした多様化するストレージに対するニーズを満たすため、ヒューレット・パッカード(以下、HP)では、「HP Storage」のブランドのもと、幅広い製品群を取りそろえている。主要製品のSANストレージにおいては、高い信頼性や可用性を求めるユーザーのためのハイエンドストレージ「P9000/XPシリーズ」のほか、シンプロビジョニングや重複排除で利用効率を追求した「P10000/3PARシリーズ」、拡張性や仮想化対応を重視したIP-SAN(iSCSI)ストレージ「P4000 SANソリューション」などである。こうした製品の一部は、多様化するユーザーのニーズに応えるべく、同社が買収で得たベンダーの技術を採用している。その他、SAN対応のディスクアレイ装置だけではなく、NAS、D2Dやテープドライブなどのバックアップソリューション、管理用ソフトウェア、ストレージネットワーク製品など、まさに穴のないポートフォリオを提供している。
そして、こうしたポートフォリオの中で、累積10万台という高い導入実績を誇るミッドレンジのSANストレージが「EVAシリーズ」である。サーバー直結型のストレージの弱点を解消すべく、サーバー、ストレージ間をFCで接続するSANは、高い性能や拡張性、統合管理などを必須とするエンタープライズのシステムでは欠かせない技術といえる。EVAシリーズは、1990年代後半のこのSANの登場とともに産声を上げ、以来HP生え抜きのストレージ製品として市場をリードしてきた。もとよりSANストレージは高い信頼性を求められる企業の基幹システムで使われることも多く、冗長化されたハードウェアや精度の高いソフトウェアが要求されるため、コスト的には安価というわけでもない。しかし、この安価というわけでもないSANストレージのEVAシリーズが、登場から10年で累積10万台出荷という偉業を達成できたのだろうか? 以下、その理由を見ていこう。
EVAシリーズが10万台売れた理由
EVAシリーズが多くの企業に受け入れられた理由の1つは、特定用途によらない「汎用性」だ。つまり、Microsoft ExchangeやSQL Server、SAP、Oracleなどのビジネスアプリケーションのデータ格納用途やVMware等を利用した仮想化用途、さらには専用アプリケーションのような用途でも十分に役割を果たしてくれるわけだ。
こうした汎用性を実現しているのは、EVAシリーズがさまざまなニーズをまんべんなく満たしているからに他ならない。次回で詳細を解説するとおり、信頼性と可用性を確保する冗長性の高いハードウェア、大容量の伝送を可能にするCPU、数多くのディスクをサポートする内部アーキテクチャなど、あらゆるアプリケーションの要件に合うバランスのよいスペックを提供してきた。
いち早い仮想化への対応も大きなポイントだ。EVA(Enterprise Virtual Array)という名前が示すとおり、EVAシリーズは仮想化という言葉が一般的でなかった10年前から仮想化技術にフォーカスしてきた。具体的にはRAIDの延長として物理ディスクを抽象化することによりストレージをプール化し、オンラインでの容量拡張や保守などをいち早く実現してきた。
さらにミッドレンジのSANストレージでは考えられないような容易な設定や運用を実現するGUIツール「HP P6000 Command View」も大きな魅力だ。運用管理コストの削減は、10年経っても変わらないEVAシリーズの設計思想の根幹。その点において、エンドユーザーが直接操作し、運用管理を行なえるHP P6000 Command Viewは非常に大きな役割を果たしてきた。
ついに登場した最新のP6000 EVAシリーズ
このように長らくミッドレンジストレージの定番として君臨してきたEVAシリーズの最新機種が2011年6月に発表された「HP P6000 EVA」だ。
第5世代にあたるP6000 EVAではハードウェアが完全に刷新され、6Gbps SASバックエンドを採用したことで、既存のEVA4400に比べてパフォーマンスは約2倍向上した。その一方で、電力消費は40%削減、スペースも50%以上削減。新たに2.5インチのSAS HDDがサポートされ、エントリモデルの「P6300 EVA」では最大250台、中核を担う「HP P6500 EVA」では最大450台のディスクを搭載できる。P6300 EVAが最大240TB、P6500 EVAが最大480TBまでサポートしており、多くの企業システムで十分な容量を確保する。また、ソフトウェアも強化され、物理容量以上のストレージ容量があるようにサーバー側に見せる「シンプロビジョニング」や、オンラインでLUN(Logical Unit Number)サイズやRAIDタイプを変更する「ダイナミックLUN/RAIDマイグレーション」などの機能が強化されている。
さらに従来のEVAx400シリーズに比べ、価格を30%程度引き下げた。具体的には300GBの2.5インチSAS HDDを8台搭載した最小構成のFCモデルの参考価格が325万5000円(税込)になるという。今までミッドレンジ製品として高い評価を得ている機能・性能を向上しながら、エントリ向けの市場でも十分勝負できる価格になったわけだ。
さて、次回はこのP6000 EVAのハードウェアとその特徴となる仮想化技術を細かく解説していこう。
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