スマートフォンの新製品は海外の大型展示会で発表されることもよくあります。今回紹介するMedical Phone社の「iCEphone」は、モックアップを公開しながらも発売されることなく幻に終わってしまったスマートフォン。ギミック好きなら飛びつきたくなる、今からでも製品化してほしいデザインが特徴です。
スイスアーミーナイフを目指したiCEphone
スマートフォンがノートPCや百科事典になり、使い方によって最適な入力方法が選べるように変形する。そんな製品を市場に出そうと考えたイギリスのMedical Phoneが2008年に開発したスマートフォンが「iCEphone」です。iCEとは「in case of emergency」から作られた用語で、緊急時に役に立つスマートフォンを目指しました。
iCEphoneは「ディスプレー」「QWERTYキーボード」「トラックパッド」の3つのモジュールからなり、折りたためば縦長のコンパクトスタイルになります。2008年12月にマカオで開催された「3GSM World 2008」(今の「Mobile World Congress Shanghai」の前身)の同社ブースでモックアップが華々しく披露されました。
本体サイズは127x60.8x23.3mm。厚みがあるのは3つのモジュールを折りたたんで重ねるからです。開けば最薄部は10mm以下となります。重量は210gで当時としてはかなりの重量級。ディスプレーは3型400x240ドットで、メモリは128MB、ストレージも128MBでした。カメラは310万画素、バッテリーは1250mAh。チップセットはフリースケールのiMX31(532MHz)でOSはWindows Mobile 6.0 Professionalを搭載しました。防水はIP54対応です。
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