• Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

イベントレポート

注目の特集

アクセスランキング

週刊アスキー最新号

  • 週刊アスキー特別編集 週アス2024May

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

MITテクノロジーレビュー

プレイヤーの声をしっかり調整して、できる限りアップデートに反映させたい

「CoD:MW3」開発陣メールインタビュー、シーズン1実装で目指したゲーム体験とは?

2024年01月12日 15時00分更新

文● 八尋 編集●ASCII

 Activision Blizzardの『Call of Duty』シリーズ最新作となる「Call of Duty: Modern Warfare Ⅲ」では、2023年12月7日からシーズン1が実装されている。加えて、1月18日からは、「シーズン1 リローデッド」も開始予定だ。

1月18日からは「シーズン1 リローデッド」も開始予定

 そんな中今回、本作のデザイン・ディレクターのザック・ホドソン氏と、アートディレクターのマット・アボット氏へのメディア合同メールインタビューの機会をいただいたので、シーズン1についてや今後のコンテンツについて伺った。

デザイン・ディレクターのザック・ホドソン氏

アートディレクターのマット・アボット氏

──シーズン1が始まった本作ですが、発売からこれまでのユーザーの反応や手ごたえを教えてください。とくに印象に残っている意見など教えてください。

ザック・ホドソン氏(以下、ザック氏):『Call of Duty: Modern Warfare III』のローンチからシーズン1にかけての変更について、よい評価だと伺っています。あらゆる問題にも迅速に対応できたことをプレイヤーに喜んでいただき、それが私たちの喜びでもあります。シーズン1のコンテンツはプレイヤーに歓迎されています。新しいマップがどのように受け入れられるのか、またコミュニティが新しいマップを求めているのか、それともローンチ時のクラシックマップを選ぶのか、当初の私たちには理解できていませんでした。しかし、結果としていいミックスになっていて、また24/7のようなプレイリストによって、より多くのプレイヤーがアクセスできるようになりました。

 Meatはシーズン1でもっとも成功した事例だと思います。多くにプレイされていて、ある意味『Call of Duty: Vanguard』のDas Hausに続くようなもののように感じます。Meatは同じ開発者によって作られていて、Das Hausと同じようなプレイタイムが獲得できています。

──シーズン1ではどのような点に注力してゲームの運営を行なっていく予定なのでしょうか? また、シーズン1でかなりの武器やマップに調整が入ったと思いますが、SMGという武器全体に調整を 入れた意図や、マップに存在するポイントを変えた理由を教えてください。

ザック氏:シーズン1の大きな焦点は、『Modern Warfare III』をいい方向にキックオフすることでした。実際に始まったところで新しいマップが利用可能になり、プレイヤーがどの要素でプレイしているか、ゲームの状態を確認する機会でもありました。シーズン1の現在の懸念点は、コンカッショングレネードの使用です。私たちが確認できていることに対して修正を行ない、またプレイヤー同士が話し合っていることも確認しています。シーズン1はプレイヤーがゲームに慣れてくれる時期であり、またメタ武器をさらに追及できる時期です。例えば、AR対SMGメタなどに対し、非常に注意を払っています。

 プレイヤーが大部分の銃を試した後に確認できたことは、ARが私たちが注力している2つの指標、時間の経過に伴うスコアとキルデス率において過剰なパフォーマンスを示していることが分かりました。これはSMGに比べ、私たちの期待以上に優れたパフォーマンスを発揮していました。ほかの多くのカテゴリーもARに対していいパフォーマンスをしていると考えました。

 私たちはまず、どのARが一番いい数値を出しているかを調べ、その数値を調整した後、MCW(AR)に対する更なる調整を行ないました。別途SMGは継続中のバフであり、適切な数値に保つために注意深く調整しています。私たちはRival-9をいい例として捉え、SMGがRival-9のような、あるべき位置に近づくように進めています。

──シーズン1ではさまざまな武器や、新マップ、装備などが追加されました。従来のシリーズよりかなり大きなアップデートだと思うのですが、シーズン2以降もこのような大がかりなアップデートを期待していいのでしょうか?もしこれからのアップデートでの調整すべき課題点や、修正予定の項目などがあれば教えてください。

シーズン1ではさまざまなアップデートが実施された

ザック氏:『Call of Duty: Vanguard』のあと、私たちはシーズンに望む進行のペースについて多くを学びました。それにより今回試みようとしているのは、ある意味、先を急ぐことです。おそらく私たちは一定の時期、あるいは2か月程度、未来に生きています。私たちは一定量のコンテンツを制作することをゴール設定しており、修正と新しいコンテンツ制作を両方ともできるだけ早く行ないたいと考えています。

 そして、変更することを先延ばしにしないことが最善であることも学びました。メタ武器がどのように展開していくか、プレイヤーが何を始めるかを待つよりも、まずは変更を加えてその結果を見るほうがいいと思いました。これが、先ほど述べたコンカッショングレネードなどに注目している理由です。これらの変更をできるだけ速やかに実装したいと考えています。

 クイックフィックススタイルのパークのような要望も沢山寄せられています。それをすぐに導入しなかった理由の1つは、内部で検討したとき、強力すぎてゲーム自体に影響を及ぼしてしまうと感じたからです。私たちはバランスの取れた状態で皆さんに提供できるようにしたいと考えています。これはすべて複数の工程で成り立っており、アートチームが制作し、デザインチームがバランスを取り、そしてテストプレイで確認します。同時に、ゲームのライブ状況にも注目しており、導入されるすべての要素がバランスの取れた状態を保てるように心がけています。

シーズン1では新たなパーク「アサシンベスト」が実装

キルストリークも追加

──シーズン1アップデートが実施されましたが、とくにユーザーが気になるのは武器についてだと思います。現状MW2からの引き継ぎ武器が弱いとの声もありますが、さらなる武器や装備、スコアストリークの調整予定はありますか? また、今後どんな武器を追加したいか、どのような調整を行なっていくかなど、現時点で考えている点があれば教えてください。

ザック氏:最初にすべての銃を引き継ぐことについて議論した際、それは膨大な作業と伴う時間が多く必要であることと理解していました。すべてのアセットを取り込むことが難しかったわけではなく、量が多かったことと、バランスに関することを懸念しました。

 直近では『Call of Duty: Modern Warfare II』の多くの武器にバフをかけました。それは、それぞれの武器がどれだけ強力か、または弱体したかの初期評価を怠っていたためです。ローンチ前にいくつかの銃はいい状態だと理解しており、例としてFJX Imperiumの状態はとても気に入っています。バランスの観点から見て、同じような銃が2つある必要はないと考えているので、ユニークな感覚をできるだけ保ちつつ適切な状態にしたいと考えています。

──操作感に関しては、非常にプレイしやすい印象を受けました。ゲームプレイ面でのこだわりなどを教えてください。

マット・アボット氏(以下、マット氏):クラシックマップの制作を始めた際、新しい動きのメカニズムとよりよくマッチするものについて多く話し合いました。クラシックマップの中には、ほかのマップより人気のあるものもありますが、新しい速度とゲームプレイによって、昔は人気のなかったマップでも楽しくプレイできるのではないかと考えます。プレイヤーは皆、マップによっては少し違ったプレイができ、少し速いスピード感でプレイでき、そしてプレイした気分がいいと感じられるのではないかと推察しています。

ザック氏:Call of Dutyのゲームを制作する際にはいつも、プレイヤーが前作のゲームから持ち込む強い思惑がたくさんあり、さらに数年前からの記憶も影響すると思っています。私たちは歴代のCall of Duty体験について深く理解したく、多くの時間をゲームプレイに費やしてきました。今作は『Modern Warfare 2 (2009)』のマップを導入することもありますが、それだけに留まらず、 オリジナルの『Modern Warfare (2007)』や『 Black Ops (2010) 』などをプレイすることで、どの要素が組み合わさるとプレイ体験が上手くいくかを把握しました。その結果、いくつかのポイントを見つけることができたのです。

 1つは、ゲーム展開のスピードを少し上げる必要があると感じたことです。しかしながら、最大速度を上げすぎて照準や射撃が難しくなるほどではなく、バランスは取りたいと思いました。これにより最終的には、テストプレイを繰り返しながら、自分たちが焦点を当てるべきポイントを見つけることができました。

 もう1つの点は、ゲームがいつもプレイヤーの行動に反応よく動作していることを確認することです。ゲームが期待通りに反応することができれば、それはプレイヤーにとって直感的に感じられます。それに加え、その反応性からスピード感を感じてもらい、ほかのプレイヤーとのバランスを保つことができます。最終的に私たちはそれらを「滑らかさ」と呼ぶようになりました。

 それは、マップを動き回るのに邪魔になるポイントや障害物をなくすことで、動きがスムーズになります。マントリングの速さや容易さ、そして異なる状態への移行など、それらのほとんどの部分は私たちが達成しようとしていた感覚、旧作で成功した事例に基づいた反応性や滑らかさを実現しています。

──14年前のマップを再現する際に、気をつけたところや苦労した点、また一番意識したことを教えてください。また、プレイしていて14年前にあったオブジェクトが消えている箇所をお見受けするのですが、削除した狙いや意図があれば教えてください。(例:スキッドロウの2階通路の1階が見える抜け落ちた床、ファベーラの中央の建物1階の角にあったゴミ箱など)

ファベーラ

スキッドロウ

マット氏:ファベーラのゴミ箱は、もし皆さんがそれを恋しいと思うなら、元に戻すこともできますよ! マップデザインについては、Zachがゲームプレイの体験について説明していたことと密接な関係があります。私たちとしては、流れと動きを奨励したいと思っています。『Modern Warfare 2 (2009)』でこれらのマップを初めてプレイしたときと今では、期待しているものが異なります。例えば、『Modern Warfare III』では、新しい動きのメカニズムによってオリジナルでは到達出来なかった場所に行くことができるようにしました。そのため、多くの決断に迫られました。オリジナルでは、目の高さにある箱の上に行くことはできませんでしたが、今は登ることができます。私たちは、そのような分岐点に達すると、それらを行なうことがプレイヤーの期待に応えるものか否かを明確にするために、多くの時間を費やしています。

 私たちの目標は、プレイヤーの皆さんに対して何が可能であり、何が不可能かを明確に伝えることです。例えば、『Modern Warfare III』には開閉するドアがありますが、これはオリジナルのマップには存在しませんでした。そのため、オリジナルのマップデザイン内に扉が現れた場合、それらを取り除くか、あるいはプレイヤーに「これはデザインです」とメッセージを送るために、その”偽り”の扉の前にバーを設置するなど、いくつかの場面で対応しています。

 ゲームがどのように感じられ、その世界感がプレイヤーに何を伝えるかが、私たちがオリジナルのマップを『Modern Warfare III』に導入する際のアプローチに大きく影響しています。それは、私たちにクリエイティビティの余地を与えてくれましたが、それと同時にオリジナルのマップである感覚を保ちつつ現代の期待にも応えなければならないというチャレンジでもありました。

──なぜ今作の武器解除システムでは、勝利やデイリーミッションで解除していく仕様にしたのでしょうか。日本では「買い切りゲームでこのようなシステムはあまりいいようには思えない」といった声もあがっていますが、全体的なユーザーの反応や今後改善する考えなどがあれば教えてください。

ザック氏:根底にある考え方の1つとして、ゲーム内に存在するアイテム数が関与しています。ランクレベルで全てのアイテムをアンロックすると、プレイヤーは新しいアイテムをたくさん入手できるので、アンロックされるアイテムのほとんどを無視してしまうだろうと感じました。このシステムには一部成功も見られましたが、私たちが正しく理解していないと感じる点もありました。このため、実際のローンチ以降、例えば勝利ボーナスチャレンジの制限を解除するなど、このシステムにいくつかの変更を加えています。

──CoDファンやプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。

マット氏:このプロジェクトをとおして、世界中の多くの開発者たちと協力をしてきましたが、彼らの意見を聞いたり、アイディアを見たり、経験を共有してもらえたことは本当にいい経験でした。そして、世界中のファンの皆さんからフィードバックを受けることをとても楽しみにしています。世界はもちろん、もっともっと日本のファンからもゲームについて、どう感じているか聞きたいです!日本の皆さんのこのゲームに対する情熱とアイディアに感謝しています。

ザック氏:皆さんのゲームに対する意見を聞くのが本当に楽しみです。それは、様々な角度からの意見を聞けるからです。私たちはいつも、皆さんのゲームに熱中する様子や、共鳴を巻き起こす具体的な要素に驚かされます。日本を含め世界中のファンの皆さんに感謝するとともに、オンラインでお目にかかれるのを楽しみにしています!

──ありがとうございました。

 メールインタビューをとおして感じたのは、プレイヤーの声にできるだけ耳を傾けて、アップデートにいいかたちで反映させたいという思いだった。まだまだ進化していくCall of Duty: Modern Warfare Ⅲ。シーズン1はもちろん、今後のコンテンツについても期待したい。

■関連サイト

この記事をシェアしよう

ASCII.jpの最新情報を購読しよう