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ロボティクスとAIで水上モビリティの自律化を目指すエイトノット

堺市発のイノベーションを創出するスタートアップ起業家連続インタビュー第1回

特集
堺市・中百舌鳥の社会課題解決型イノベーション

提供: NAKAMOZUイノベーションコア創出コンソーシアム、堺市

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大阪府堺市は社会課題の解決に向けて、イノベーション創出エコシステムを構築するための様々な施策を展開している。その中核を担う新規事業に取り組むスタートアップの中から株式会社エイトノットにインタビューを行い、事業に対する思いや地域からの支援に対する期待などを伺った。

 本社を堺市の港湾部に置く株式会社エイトノットは、ロボティクスとAIによる自律航行EV船やオンデマンド型水上輸送システムの開発を行っている。創業者である代表取締役 木村裕人氏は生来のマリンアクティビティ好きに加えて米大学在学中の経験から水上モビリティの将来性に着目し、ロボティクスとAI技術による新しい海のインフラ構築を行うスタートアップを設立した。

 日本は島国であり海を活用した社会を構築してきたが、人口減少やエネルギー価格の高騰などにより、日本を代表する内海である瀬戸内海でも、島々を巡る交通インフラを維持することが難しくなりつつある。エイトノットは広島県での実証実験を起点に、誰もが海という広大なスペースを自由に活用できる新しい社会を生み出そうとしている。

 堺市のマリーナで木村氏に聞いた起業の際の思いや周囲からのサポート、今後の事業展望などについて紹介する。

株式会社エイトノット 代表取締役 木村 裕人氏

好きなこととできることの組み合わせが創業の原点

―――まず現在の事業の様子をお伺いできますか。

木村裕人氏(以下、敬称略):我々エイトノットは、ロボティクスとAIを使ってあらゆる水上モビリティを自律化することをテーマに掲げているスタートアップです。端的にいうと船の自動運転の技術開発をしている会社で、今から約1年半前の2021年3月に創業した非常に若い会社です。

 特徴としては創業メンバーを含めて船舶業界外から入ってきている人間が多い。そのため外から新しい知見や技術を持ち込んで、海の業界のDXを推進していこうとしています。

―――なぜ水上モビリティに注目したのでしょうか。

木村:私自身、もともとマリンアクティビティが好きで船舶免許なども取ったのですが、運転技術の習得に時間がかかるなど、新しい人には高いハードルがある。技術の力でそれを下げることで、普段の生活の中に水上モビリティを溶け込ませると、海起点の新しい経済圏やエコシステムができるのではないかと考えました。

 あとアメリカ西海岸の大学に行っていた時、スキューバダイビングとかのアクティビティにのめりこんでいたというのもあります。でも日本では海の周りの資源をあまり活用できていない。それは非常にもったいないので、もっとアクセスしやすい環境を整えていくというところが我々の一番やりたいところです。

―――アメリカで起業しようとは考えなかったのでしょうか。

木村:最初から起業しようと思っていたわけではありません。当時からコンピューターとかテクノロジーとかに興味があったので、最初はアップルジャパンに就職しました。そこでテクノロジープロダクトが社会の中に拡がっていって、人の生活が大きく変わっていく姿を目の当たりにして、やはり自分も大きな社会的なインパクトを残せる事業をやりたいと考えるようになりました。

 でもそこでは自分の影響力がすごく狭い範囲でしか出せないもどかしさがあり、デアゴスティーニ・ジャパンに転職してコミュニケーションロボットを商品企画からマーケティング施策まで全部やりました。かなりヒットしてユーザーからのフィードバックもあり、一定の満足度も得られたのですが、今度は(会社からの指示ではなく)自分で新しい事業を起こしたいという欲が湧いてきまして。

 それでバルミューダに転職したのですが、私のやっていたプロジェクトがストップしてしまって、これは退職して自分の力でイチからやるしかないなと。最初はフリーランスで商品企画のコンサルティングやマーケティング施策の立案なんかをやっていましたが、やはり大きなことをなしていくにはチームが必要だなと思うようになりました。

 では何を自分の事業として立ち上げようかと考えた時に、自分がずっと趣味にしていた海の業界をもっと多くの人に親しみを持って楽しんでもらえるフィールドにしたいという思いがあって、自分の経験していたロボティクス技術と自分の好きなマリンアクティビティを繋ぎこんでいった結果がエイトノットになったという感じですね。

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