●App Storeのプライバシー表示
アップルは常々、プライバシーへの取り組みの先進性をアピールしてきました。これまでに何度も強調してきた4つの原則は、次の通りです。
1. 取得するユーザーデータを最小化すること。
2. データをできるだけサーバに送らず、できるだけデータをデバイス上で扱うデバイスインテリジェンス。
3. データ利用に透明性を持たせ、ユーザーが管理できるようにする。
4. セキュリティ保護。
アップルによると、こうした方針の製品への実装は実に2005年のSafariに搭載した「サードパーティーCookieのブロック」機能に遡り、位置情報利用許可、Wi-FiやBluetooth通信の保護、Appleでサインインなど、その取り組みを続けてきました。
2020年のWWDCでは、更なるプライバシー機能の強化として、「おおよその位置情報」、「録音・録画インジケーター」などのOSの機能強化が加わりましたが、2020年12月15日に明らかになったのが、「App Storeプライバシー情報」の表示です。
開発者はアプリを公開する際、共通のプライバシーに関する質問に答えると、App Store上に全アプリ同じフォーマットで、ユーザーのデータ活用や収集、紐付けに関する情報が表示される仕組みを導入したのです。
あくまで、個人情報を使うアプリを悪とするわけでなく、そういう開発者のビジネスモデルを変更する必要もありません。しかし、もしユーザーの情報を集めたり使うなら、その透明性を担保せよ、というメッセージでした。
ただし、開発者による自己申告制で、齟齬がある部分についてアップルが見つければ、個別に開発者と是正についてやりとりする仕組みでの管理だそうです。
そのため、プライバシー保護の「仕組み」を取り入れたわけではありませんし、そうしたユーザーへの通知と実際が異なっていた場合は、個別のユーザーによる訴訟などでの対応となるのはこれまでと同じです。
あくまで開発者側の意識付けであり、ユーザーにとっても、自分のプライバシー情報に敏感になるべき、という啓蒙活動と言えます。それでも、「What’s App」などの開発者からは、不満の声が上がっています。
Axiosによると、What’s Appは、「iOS標準のアプリはプライバシー表示を行わずユーザーが使い始めており、表示が必須のサードパーティーアプリにとって不公平な状況となっている」点を指摘しました。
アップル純正のアプリは、ユーザーのデータを利用する場合、人を象った特別なプライバシーアイコンでデータ使用について告知しています。純正アプリでも、同じフォーマットでユーザーに告知すべきでしょう。
加えて、プライバシーラベルの不備も、What’s Appは指摘しています。データ収集にフォーカスしており、集めた情報の暗号化などによる保護の仕組みについては知ることができない、というのです。このあたりは開発者の声も聞き、暗号化や保護、保管の仕方などについて、もう少し情報を増やしても良いのではないか、と思いました。
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