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Core i5-9400FとGeForce GTX 1650をチョイス

小さいキューブ型PCをBTOでゲーミング化、豊富なカスタマイズメニューが魅力

2019年10月02日 09時00分更新

文● 宮里圭介 編集●八尋/ASCII

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Radiant SIX2700H370

 BTOパソコンを幅広く扱うサイコム。水冷・ゲーミング・静音など多くのジャンルが用意されているだけでなく、メモリーやストレージ、ビデオカードといった構成を細かくカスタマイズできるため、誰もが納得のいくスペックにできるのが魅力となっている。

 しかし、自分のほしいモデルがラインナップにない……ように見えるときもある。例えば、小型のキューブ型ゲーミングパソコンがほしいと思って「ゲーミングPC」を開いてみると、小型モデルであるのはスリムタワーだけ。キューブ型はラインナップされていない。

 では諦めるしかないのかといえば、そんなことはない。実はキューブ型モデルは「スタンダードモデル」の省スペースPCに「Radiant SIX2700H370」としてラインナップされているため、これをカスタマイズすることでゲーミングPC化できるのだ。

 そんなわけで今回あえて大幅なBTOカスタマイズに挑戦し、ラインナップにない(ように見える)省スペースなキューブ型ゲーミングパソコンを試してみた。

サイズはおよそ幅220×奥行296×高さ177mmとコンパクト

「Radiant SIX2700H370」をBTOカスタマイズ
GPUなしのCore i5-9400FとGeForce GTX 1650をチョイス

前面にUSB端子が2基とヘッドフォン出力、マイク入力がある。ゲーミングマウスやキーボード、ヘッドセットを前面に接続可能だ

背面。ビデオカードの外部出力はHDMI、DisplayPort、DVI-Dを備えている

 今回カスタマイズした部分は多いが、中でもポイントとなるのがCPUとビデオカード。ゲーミングパソコンに重要なポイントとなるため、この2つのカスタマイズは外せない。

 まずはCPU選びだが、別途ビデオカードを搭載するため、GPU機能を内蔵していないものをチョイス。価格性能を重視して、「Core i5-9400F」を選択した。このCPUは、Core i5ながらも6コア/6スレッドとなる第9世代のCoffee Lakeとなるもの。ゲーミング性能の高さなら、AMDのRyzenをも上回るポテンシャルをもつCPUだ。

 続いてビデオカードは、「GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を選択。省スペースモデルでは電源と熱、そしてスペースの物理的な問題から、あまり高速なビデオカードは装着できない。自作パソコンであれば載せらない製品でも購入できてしまうが、BTOパソコンなら、装着できないものしか選べないという安心感がある。

 GeForce GTX 1650はゲーミング用途としてはエントリーに近いものだが、よほど重たいゲームでなければ、標準画質・フルHD設定で遊べるだけの実力がある。

搭載したビデオカードは「GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」。ゲーミング用としてはエントリークラスに近いが、多くのゲームをフルHDでプレー可能だ

カスタマイズした「Radiant SIX2700H370」のCPUとビデオカード情報を、「HWiNFO」で表示。試用したモデルにはSSDの速度比較用にSATAのSSDも搭載されていたが、この部分は気にしないで欲しい

 ストレージは標準ではHDDだが、やはり高速なSSDにして体感性能を上げておきたいところ。最近のゲームはサイズが大きいこともあり、250GBクラスでは不安があるので、思い切って500GBモデルにした。なお、速度にもこだわりSATAではなくNVMe対応となるPCIe接続のモデルから「Western Digital WD Black WDS500G3X0C」を選んだ。あとはメモリーを8×2の16GBへと増量すれば、ゲーミングPC化の完成だ。

Radiant SIX2700H370のスペック
試用機のスペック 標準スペック
CPU Core i5-9400F(2.9GHz、6コア/6スレッド) Core i3-8100(3.6GHz、4コア/4スレッド)
グラフィックス GeForce RTX 2060 インテル UHD グラフィックス 630
メモリー 16GB(8GB×2) 4GB
ストレージ 500GB SSD(NVMe対応) 500GB HDD

もう少しこだわりたい人なら……電源やCPUクーラーの交換も

 基本的にはこれで問題ないハズだが、長時間のゲームプレーを考えているなら安定動作、そして静音化も気になる。そんな人にRadiant SIX2700H370でオススメなBTOオプションを紹介しておこう。

 ゲーム、とくに3Dゲームはビデオカードを長時間高負荷で動作させるため、どうしても消費電力が大きくなりがち。電源容量の小さなもので大電力を引き出そうとすると電圧が不安定になりやすいだけに、容量の大きな電源を選んでおくといい。

 Radiant SIX2700H370は小型ケースとなるため、通常の電源よりもコンパクトなSFXという規格の電源を搭載している。BTOオプションでは300Wが標準だが、450W、600Wの2モデルが用意されているので、好みの方を選ぶといいだろう。

標準の300Wでも意外と大丈夫だが、不安があるなら容量が大きいに越したことはない。後から交換するのは大変だけに、購入時に変更しておこう

 CPUクーラーは、CPUの冷却効率を左右する重要なパーツ。もちろん純正のクーラーでもいいが、交換することでより強力に、そして静かに冷やせるようになる。

 BTOで選べるのは「Noctua NH-L9i」「Noctua NH-L9x65」「CRYORIG C7 V2」の3種類。「Noctua NH-L9i」はちょっと特殊で、背の低い薄型モデルとなるもの。ヒートシンクサイズが小さくなるだけに冷却性能が不安になる人もいるかと思うので、このクーラーを搭載した場合のCPU温度を少し調べてみた。

驚くほど背が低いCPUクーラーの「Noctua NH-L9i」。これだけ小さくても、高負荷時でもかなり静かなことに驚く

 試したのは「CPU-Z」にあるストレステスト機能。全コアに負荷をかけるテストとなるだけに、かなりCPUの温度は上昇しやすい。約5分間負荷をかけ、その後3分間ほどアイドルさせて温度の変化を調べたのが次のグラフだ。

CPUの温度は上昇するものの60℃台後半をキープ。上昇はここで頭打ちとなり、フラットなグラフとなった。負荷終了後の温度低下もスムーズで、しっかりと冷やされていることがわかる

 CPU温度の最大は67℃までしか上がらず、予想よりもかなり低いものだった。冷えないクーラーであれば80℃超えもあり得ると覚悟していただけに、いい意味で裏切られた結果だ。

 ヒートシンクが小さいと冷却に不利となるのは確かだが、少なくとも、Core i5-9400FとNoctua NH-L9iの組み合わせであれば問題ないことが確認できた。クーラーが小さいからといって不安になる心配はない。

パワフル仕様にもできて机の上に置いて使える、小さくてかわいい1台

 ただ小さいだけならさらに小型のモデルもあるにはあるが、騒音が大きかったり、ビデオカードを搭載できなかったりと、どこか見落としてしまうものが多い。その点Radiant SIX2700H370はそれなりの大きさがあるとはいえ、タワー型と比べれば驚くほど小さく、そしてゲーミングパソコン化までできる柔軟なBTOオプションがうれしい。

 目的のジャンルの中では欲しいモデルがないという時でも、別のジャンルからカスタマイズできるというのが、BTOパソコンの醍醐味。様々なパーツを駆使し、自分好みの1台を手に入れたい。

 今回はカスタマイズを中心にレビューしたが、次回は実際の性能、とくにゲーミング性能についてチェックしていこう。

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