データで見るVTuber 第3回
この2週間で注目が集まったバーチャルYouTuberを分析 2019年1月26日~2月8日
マイクラで共同生活するVTuberたち~白上フブキとベルモンド・バンデラスの場合
2019年02月14日 17時00分更新
マイクラでかいま見えるVTuberの新しい表情
現在6000を超えるバーチャルYouTuber(VTuber)。このうち自分がチェックしている約7200のVTuberのTwitterアカウントから、過去2週間でフォロワー数が増加したVTuberを2名ピックアップし、どのような動きでどのようなフォロワーが増加したかを分析して紹介いたします。
今回は2019年1月26日から2月8日にかけての2週間の変化を見ました。
今回も「にじさんじ」から1月28日にデビューした新人「語部紡」「瀬戸美夜子」「小野町春香」が、前回の「郡道美玲」ほどではありませんが大きくフォロワーを獲得。次いでホロライブの「白上フブキ」、前回「笹木咲」の動画で触れた「ベルモンド・バンデラス」も大きく伸びています。以下、前回紹介の「郡道美玲」や同時デビューの「夢月ロア」、ホロライブの「湊あくあ」、前々回紹介の「夢咲楓」ほかゲーム部も好調です。
にじさんじ新人では図書室の幽霊「語部紡」がヒット、ほか2人も良いスタートを切りました。傾向としては前回の「郡道美玲」と同様に「月ノ美兎」フォロワーが8割以上、その他含めても97%がにじさんじ関連のフォロワーで、にじさんじのファン内からフォローされている傾向が伺えます。
今回は大きくフォロワーを伸ばした「白上フブキ」と「ベルモンド・バンデラス」を紹介します。
バーチャルYouTuberと言われるもののの、VTuberの活動の場所はYouTubeだけではありません。YouTubeにチャンネルを持たないVTuber、YouTubeを活動の中心としていないVTuberもいます。こうしたVTuberも共通して活用しているのがTwitterであり、Twitterはプラットフォームに依存せずVTuberの注目を比較するのに有益なサービスです。
VTuberについて、YouTubeのチャンネル登録数とTwitterのフォロワー数は相関することもよく知られています。またYouTubeのチャンネル登録と異なり、TwitterはVTuberの個々のフォロワーの情報を取得することが可能なため、後述のようなフォロワー傾向の分析などにも有効です。こうした点から本調査ではTwitterアカウントのフォロワー数を中心に調査を行なっています。
中国人気も高いホロライブ生の出世頭キツネ「白上フブキ」
白上フブキ(しらかみふぶき)はホロライブに所属するバーチャルケモミミ狐(白上フブキのYouTubeチャンネル)。キャラクターデザインは「凪白みと」。ホロライブ1期生として2018年6月にデビュー、9月末から10月にコラボや大型企画への参加、同時期に3D化しブレイクしました。12月より「ホロライブゲーマーズ」のリーダーも務めています。
アニメやゲームに詳しいオタク系VTuberでゲームが上手く、歌ったりイラストを描いたりMMD動画を作ったりとマルチな才能を発揮しています。また海外人気が非常に高く、中国の動画サイト「bilibili」の公式チャンネルではファン数30万を超えてキズナアイに次ぐ人気です。いくら「キツネじゃい」と主張しても「ねこやんけ」と言われてしまうのに本人も気にしている様子。
増加フォロワーを調査すると「湊あくあ」ほかホロライブメンバーと合わせてのフォローが3分の2、ホロライブ以外のVTuber関連が2割、白上フブキ以外のVTuberをフォローしていないアカウントも15%ほど見られます。ホロライブ以外のVTuberではこちらも中国人気の高い「神楽めあ」や韓国人VTuberの「有栖マナ」ら「ぱりぷろ」メンバー、中国語と英語を駆使するVTuber「シエラ・ルーニス」などから高い割合でフォロワーが集まっており、VTuber外のフォロワーでも中国系とみられるユーザーが目立ちます。
最近の白上フブキのフォロワー増加は中国人気の影響が大きいと見られます。増加フォロワーにデザインの「凪白みと」がキャラクターデザインに参加している「アズールレーン」のフォロワーも多いことから中国人気の一因も伺えます。
「湊あくあ」「赤井はあと」「癒月ちょこ」などホロライブのメンバーは最近成長が著しいですが、白上フブキは今回Twitterに即興のオリジナルソングを投稿したのが、仲の良い音楽系VTuberらにより伴奏がつけられるなど二次創作も促し、注目を集めました。
配信では「ときのそら」がホロライブのMinecraftサーバーに来る記念にひさびさにマイクラのRTAをさせられた回がよく再生されました。コラボ参加のアグレッシブさも魅力で、最近でもトイレを我慢しながらテトリスをする「犬山たまき」のコラボに参加する(しかも2回目)など企画の選ばなさを見せました。
イケおじボイスが魅力の「ベルモンド・バンデラス」
ベルモンド・バンデラスは、にじさんじに所属する男性バーチャルライバー。2018年9月に「にじさんじSEEDs」2期生としてデビュー(ベルモンド・バンデラスのYouTubeチャンネル)。デビュー以来じわじわとフォロワー数を伸ばしてきたところ、前回紹介した「笹木は嫌われている」で「誰やねん」と歌われたことでフォロワー数が急増。
ちょうど同時期にMinecraftのにじさんじサーバーで炭鉱夫プレイの配信を始めたこともあり、ひたすら地下でダイヤモンドを掘る様子と軽妙なトークが「誰やねん」の話題性を引き継ぎフォロワー数を増やしました。
増加フォロワーは、にじさんじメンバーのフォロワーが96%で、にじさんじファンのなかで注目を浴びてフォロワーが増加したようです。特徴としてはフォロワー数の多い「月ノ美兎」と並んで、急増のきっかけとなった前回紹介の「笹木咲」や仲の良い「椎名唯華」、にじさんじサーバーでの活動が活発な「本間ひまわり」「シスター・クレア」「宇志海いちご」、サーバー運用の「ドーラ」などを経由したフォロワーが多い点が挙げられます。
にじさんじサーバーでは多数のバーチャルライバーが活動していることもあり、ライバー同士の活動がふとしたときにつながるドラマが魅力となっています。なかでも彼と人気バーチャルライバー「宇志海いちご」との関係は「ストロベル」と呼ばれ大変愛されています。
「笹木咲」にTwitterで感謝のリプライをして返されたときの反応が見られる配信。
後半での「宇志海いちご」への対応はイケおじとの評判を高めました。
VTuberが共同生活しててぇてぇな
マイクラ・グループ共用サーバーの魅力
奇しくも今回紹介した2人はMinecraftとの関係が深いVTuberでした。MinecraftはVTuberブーム以前から人気のあるゲームのため、VTuberの配信でも初期からよくプレイされていましたが、2018年の終わりからにじさんじやホロライブなどで共用サーバーが運用されており、再び活発となってきました。最近ではVTuberグループの「あにまーれ」や「おとりざ」なども共用サーバーを開始しています。
VTuber、特ににじさんじやホロライブのような2DのVTuberを多数抱えるグループとMinecraftの相性の良さとしては、メンバーの疑似的な共同生活が見られることが挙げられます。VTuberたちが3次元的なやりとりをするコラボ配信の簡易なプラットフォームとしても使えますし、あるメンバーが作ったものが別のメンバーの配信に登場するというようなシーンも楽しいものです。
ときにはベルモンド・バンデラスたちのようなドラマも起こりますし、また何の接触もなくても、同じ世界に知っているVTuberたちが活動してるのを見ているだけでファンであれば楽しめます。
VTuberグループのマイクラ共用サーバーはこうしたVTuberの可能性を広げたという意味で面白い動きと言えるでしょう。
告知など
調査対象のVTuberのTwitterアカウントをまとめたリストはhttps://twitter.com/myrmecoleon/lists/VTuberほかで公開中。ニコニコ動画での「バーチャルYouTuber」タグの盛り上がりも紹介している「ニコニコ動画統計データハンドブック2019」はCOMIC ZINに委託中。
筆者紹介:myrmecoleon
趣味で同人誌やニコニコ動画関連の研究をしてる人。コミケ・ニコニコ動画・pixiv・deviantARTなどの調査を行ない、『ニコニコ動画統計データハンドブック2019』など同人誌としてコミケで頒布。2014年に自身の企画で「次元の壁をこえて 初音ミク実体化への情熱 展」を開催。元明治大学米沢嘉博記念図書館スタッフで元ニコニコ学会β実行委員。
Twitterアカウントは@myrmecoleon。
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