28コア/56スレッドで倍率ロックフリーなモンスターCPU「Xeon W-3175X」。オーバークロック(以下、OC)しやすいメニーコアCPUということで、自作erの中でかなり話題になっている。しかしながら、現在CPUの販売は始まっているものの対応マザーボードは未発売で、その登場が待たれている。
そんな中、運良くXeon W-3175Xが動くPCを借りることができた。詳細な検証は時間がかかるので後日になるが、まずは速報として少しでもその性能の一端をお伝えできればと思う。
今回お借りしたPCは発表時にIntel Newsroomに掲載されたXeon W-3175X搭載PCのイメージ写真と同じように、むき出しの大きな銅板が印象的なAsetekの簡易水冷CPUクーラー「690LX-PN」を搭載していた。マザーボードはGIGABYTE製の「A1X-C621」という未発表モデルだった。
Xeon W-3175X搭載PCの構成 | |
---|---|
CPU | Intel「Xeon W-3175X」(28C/56T、3.1~4.3GHz) |
CPUクーラー | Asetek「690LX-PN」(簡易水冷、360mmラジエーター) |
マザーボード | GIGABYTE「A1X-C621」(Intel C621) |
メモリー | Samsung「M393A1G40EB2-CTD」(DDR4-2666、8GB×6、RDIMM) |
グラフィックス | GIGABYTE「GV-N1080TTOC-8GD」(GeForce GTX 1080) |
ストレージ | Intel「Optane SSD 905P SSDPE21D480GAX1」(U.2、2.5インチ、480GB SSD) |
電源ユニット | EVGA「SuperNOVA 1600 T2 220-T2-1600-X1 Titanium」(1600W、80 PLUS TITANIUM) |
PCケース | Anidees「AI CRYSTAL XL AR」(HPTX) |
OS | Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(October 2018 Update適用) |
「おや」と少々驚いたのは電源ユニットが1基構成というところ。これは対応マザーボードとして発表済みのASUS製マザーボード「ROG Dominus Extreme」が2基の電源ユニットを扱える仕様だったため、「Xeon W-3175Xは2基の電源ユニットを使わなければ動かないのでは?」といったウワサがあったためだ。
ところが、貸出機のマザーボードには24ピンが2系統、CPU補助電源用の8ピンが4系統あったが、いずれも電源ユニット1基ぶん(24ピンと8ピン×2)しか使われていない。Intelによると、通常使用はもちろんOCテストも電源ユニット1基でまかなえるとのこと。
ではなぜ電源ユニット2基ぶんのコネクターがあるのか。おそらくだが、これは極冷OCなどさらに電源供給がシビアになる環境向けの仕様ということではなかろうか。あるいは1000Wに満たないような電源ユニットを2基使って電力をまかなう用ではないかと推測する。
ちなみに、CPU-ZでXeon W-3175Xの情報を拾ってみると、コードネームの欄には「Skylake-SP」とあった。28コア/56スレッドのCPUはもともとSkylake-SPのXeon Platinumにしかなかったので、考えてみれば妥当である。
最後にCPUベンチマークでは定番の「CINEBENCH R15」と「V-Ray Benchmark」を軽く計測してみたので紹介する。UEFIには何の変更も加えず、とりあえず定格と思われる貸し出されたままの環境で何回か試行した。
マルチスレッドの最高スコアーは5579cbで、シングルスレッドは190cbだった。しかし、マルチスレッドはさすがにコア数が多いためかブレが大きく、試行した限りでは5471~5579cbと100cbぐらい揺れていた。一方でシングルスレッドは189cbか190cbで安定していた。
なお、マルチスレッド時の動作クロックは全コア3.8GHz前後だった。モニタリングソフト「HWiNFO64」でCPUパッケージ温度を確認すると70℃。さすがに超高回転ファンを3連で備えるだけあって、まだまだ余力を残していると思われる。ちなみに、アイドル時は30℃だった。
V-Ray Benchmarkでは25秒をマーク。こちらは結果がブレず、安定していた。メモリー速度などの環境が異なるのできちんとした比較ではないが、ざっくりと筆者が過去にベンチマークしたCore i9-7980XE(41秒)やCore i9-9980XE(37秒)と比べると、かなり高速だということが確認できた。
もちろん、Xeon W-3175Xの真価はここからどの程度OCでき、どの程度性能が伸びるかにある。昨年のCOMPUTEX基調講演では試作製品をチラー冷却で全コア5GHzにOCして、7334cbという化け物じみたマルチスレッドスコアーを叩き出しており、そのポテンシャルは計り知れない。詳細レポートをお待ちいただきたい。
この連載の記事
-
第454回
デジタル
性能が最大50%引き上げられたSamsung製SSD「990 EVO Plus」は良コスパSSDの新星だ -
第453回
デジタル
性能も上がったが消費電力も増えた「Ryzen 7 9800X3D」最速レビュー、AI推論の処理速度は7800X3Dの約2倍! -
第452回
自作PC
Core Ultra 200Sシリーズのゲーム性能は?Core Ultra 5/7/9を10タイトルで徹底検証 -
第451回
自作PC
Core Ultra 9 285K/Core Ultra 7 265K/Core Ultra 5 245K速報レビュー!第14世代&Ryzen 9000との比較で実力を見る -
第450回
デジタル
AGESA 1.2.0.2でRyzen 9 9950Xのパフォーマンスは改善するか? -
第449回
デジタル
Ryzen 9000シリーズの性能にWindows 11の分岐予測改善コードはどう影響するか? -
第448回
デジタル
TDP 105W動作にするとRyzen 7 9700X/Ryzen 5 9600Xはどの程度化ける? レッドゾーン寸前を攻める絶妙な設定だが、ゲームでの効果は期待薄 -
第447回
デジタル
Zen 5とTDP増でゲーム性能は向上したか?「Ryzen 9 9950X」「Ryzen 9 9900X」の実力チェック -
第446回
デジタル
「Ryzen 9 9950X」「Ryzen 9 9900X」は“約束された”最強のCPUになれたのか? ベンチマークで見えた利点と欠点 -
第445回
デジタル
「Ryzen 7 9700X」「Ryzen 5 9600X」のゲーミング性能はゲームキングRyzen 7 7800X3Dに勝てる? -
第444回
sponsored
AI時代だからこそNVMe SSDで強化!! 新登場「WD BLUE SN5000」速攻レビュー - この連載の一覧へ