マウスコンピューターがPC開発にかけた細かすぎるコダワリとは?

文●飯島範久 編集●ジサトラ ハッチ

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――ユーザーからの声というのはいかがでしょう。

横関 びっくりしたのは、やはりフロントパネルにHDMI端子を搭載して欲しいということですね。開発陣からは発想すらありませんでした。

 カードリーダーはいらないという意見も多かったので、フロントI/Oスペースに余裕が少ないマイクロタワーサイズのNEXTGEAR-MICROには標準搭載しなくなっています。年々、ニーズが変わってきていると感ていますね。

試行錯誤したHDMI端子のフロント出し

――ユーザーの意見を取り入れてつくるにあたり苦労された点は?

 HDMIの引き回しの部分や強度がやはり大変でしたね。デザインどおりにやると、いろんな問題があって金型のトライも通常より1回多かったです。特にHDMIに関しては、営業やマーケティングから上がったデザインの段階では、端子がフロントにあって、ケーブルでリアの端子とつなぐ、というコメントしかないんですよ(笑)。これを実現するために、収納もできて引き出せるということが考えられていないので苦労しました。

ユーザーの意見を取り入れたHDMI端子のフロント出し。ただ実現するにはかなりの試行錯誤があった

――今回のケース開発はどのくらいの期間をかけられたのですか?

 デザインが上がってから4、5ヵ月ぐらいでしょうか。金型だけで2ヵ月ぐらいかかるので、そこからトライを重ねて、品質も含めて問題ないものに仕上げるのに、さらに1ヵ月近くかかります。

横関 デザインから考えると去年からやっているのですごく長く感じてます(笑)。

――でも長いスパンで使うことを考えると、しっかり設計することは大切だと思います。

 そうですね。特に成形品は生き物なので、どういう形で出てくるかは、最終的に作ってみないとわかりません。いろいろと条件を変えて、トライを重ねて、金型を削ったり足したりして調整するので、思ったように一発目から出てこないのが成形品です。図面ではキレイなんですけどね。

――開発中にサイズや熱の問題などに当たることはないんですか?

 ありますよ。ケースの部分は営業が求める最大構成が組めるように考えるのですが、過去には最大構成を絞ってスペックを落としたこともあります。

横関 パーツごとの発熱にも依存するので、ケースが全て悪いというわけではないのですが、特定の組み合わせはNGということはあります。でも、それを通すにはどうすべきかを追加で考えていきますね。今回ですと、グラフィックスにRTX 2080と上位のCPUを組み合わせたときは結構大変でした。

――RTXは想定内だったんですか?

 いや想定外でした。ここまで熱くなるとは思っていなかったですね。GTX 1080 Ti相当だろうと予想していました。

横関 当然仕様書レベルの数値は事前にいただけるのですが、実際に負荷をかけたときにどういう推移で温度が上がっていくのか実際の製品を見てみないとわからないので。

 ビデオカードがどういうエアフローになっているのか、ベンダーによっても異なりますし。

横関 ビデオカードの上限温度は従来品より低いんです。当初、その数値を見ただけだと発熱は大丈夫なのかなと思ったのですが、実際の発熱は従来品以上でした。ビデオカードのヒートシンクやファンが強化されているので、ビデオカード本体は冷えるけど、ケース内の温度に影響を及ばしてしまうんです。なので、従来以上に色々な組み合わせを試すことが必要でした。また、冷却のために厚みも増してしまったので、その分制約が出てしまいました。