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「屋外用」エアコン市場にダイキン参入、ミスト冷却に対抗

2018年11月07日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部,松野友美(ダイヤモンド・オンライン

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屋外用エアコンの効果を検証する様子。多少粗削りでも迅速に特徴ある製品を出すことで宣伝効果も期待

 記録的な猛暑だった今夏、ルームエアコンが飛ぶように売れた。国内の年間出荷台数は過去最高の940万台以上になると予想される。暑さが過ぎた今、空調メーカー最大手のダイキン工業は、来春から初夏ごろに発売を目指す業務用屋外エアコンの開発を急いでいる。

 新製品は室内機と室外機を一体化させ、電源をつなげばどこにでも設置できるもの。カフェのオープンテラス席、ターミナル駅の構内、商業施設の広場や公園のクールスポットのほか、音楽フェスや東京五輪・パラリンピック等の屋外イベントに向けた受注を狙う。

 屋外用の冷却設備といえば、ミストを噴霧するタイプが一般的。パナソニックをはじめ、スプリンクラーメーカーなどが販売している。この市場に今までにない置き型の屋外用エアコンで新たな風を吹き込もうというのだ。

 ダイキンが新製品の開発に乗り出した背景には、国内エアコン市場が成熟し、飽和状態になっていることへの危機感がある。

 ルームエアコンの普及率(2人以上世帯)は今や9割を超え、保有世帯では一家に約3台が平均となっている(内閣府の2018年3月消費動向調査)。猛暑でばか売れしたからといって安穏としていられない。

 戦略経営計画(16~20年度)の後半3年間における空調事業の売上高の目標は年平均成長率8%。達成には、ルームエアコンの海外市場の強化のほか、新事業への挑戦が欠かせない。

“脱”技術革新のジレンマ

 目標数値に引っ張られながら、開発の仕組みに変化が起きた。短期間に事業を成長させるには、開発スピードを上げねばならない。

 新製品の開発には通常1年以上の時間を要するが、今回の新製品開発では約半年に短縮した。これまでは営業マーケティングの結果を基に慎重に開発の可否を決めてきたが、「まずは(市場に)出してみて、感触をつかむ」(空調営業本部事業戦略室の多田裕之企画担当課長)というスタイルを採用。並行して営業は新規ルートの開拓に汗している。

 売り先は大手デベロッパー、自治体、鉄道会社などだが、従来の業務用エアコンを納めてきたビル設備を扱う部署とは異なり、商業施設の事業部等が対象となる。まずは冷房機能のみで販売するため、夏季のリースのニーズが高まる可能性もあり、取引先の拡大を目指してリース会社を新規開拓する。

 ニーズが多様化した成熟市場では、万人受けする確実なところを追求していくと、製品の面白さが削がれていくもの。これはイノベーションのジレンマ(既存技術で成功した大手が改良に気を取られ、破壊的なイノベーションに立ち遅れること)に通じるものがある。

 新製品は業界最大手に変革の真価を問うものとなる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松野友美)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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