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「新入社員だからリーダーシップは不要」その考え方はもう古い

2018年05月17日 06時00分更新

文● 藤崎雅子(ダイヤモンド・オンライン

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「リーダーシップ」に対する
あなたの認識は古いかも…!?

メンバーが発言しやすいように水を向けることも立派なリーダーシップです。
メンバーを引っ張るという行動だけでなく、相手の意見を引き出したり、サポートするといった、他社を巻き込む影響力はすべて、リーダーシップと言えます

「あなたは職場でリーダーシップを発揮していますか?」――そう問われたら、皆さんはどう答えるだろうか。

「はい、課長ですから」
「いいえ、私にはそんな権限はないので」

 ……こんな具合に、役職や権限と紐付けてリーダーシップを語る人は多いだろう。

 日本でリーダーシップというと、「カリスマ性を持った一部の人が他のメンバーを引っ張る」というイメージが強い。しかし、現代においてチームで成果を上げていこうとするなら、この認識を改めたほうがよさそうだ。

 今、世界標準になりつつあるのは、目標を達成するために、権限や役職によらず、チームの全員が自ら他者を巻き込みながら行動するリーダーシップである。他者を巻き込む影響力が大事なので、「メンバーを引っ張る」といった前に出る行動だけでなく、新入社員にもできるような「意見を出しやすい雰囲気を作る」「相手の意見を引き出すようなさりげない気遣い」などもリーダーシップといえる。

 こうしたリーダーシップの考え方は、1980年代にグローバルに展開するアメリカの企業を中心として広がり、今では多くの先進国の企業に普及している。

 大学におけるリーダーシップ育成プログラムの開発・実践や企業研修を行う、早稲田大学総合研究センター 日向野幹也教授はこう語る。

「かつてであれば、組織のトップが的確な指示を出し、それに従うことで効率的に成果を上げることができました。しかし、ものすごいスピードで環境が変化し、問題が複雑化する予測不能な現代社会においては、トップに頼りきるばかりではなく、現場でも判断し素早く変化に対応していく必要があります。また、そんな中で成果を上げていくには、権限や役職に関係なく、アイデアのある人が周囲に働きかけ、率先して動くことでイノベーションを創出していかなくてはならないのです」(日向野教授、以下同)

カリスマ性は不要!
誰でもトレーニングで育成可能

 リーダーシップには生まれ持ったカリスマ性は必要なく、教育可能なスキルと言われている。

 だからこそ、ビジネス現場でのニーズの高まりを受け、90年代にアメリカの大学ではリーダーシップ教育が急速に拡大した。日本でも2006年に立教大学経営学部にて学部発足と同時に導入されて以降、早稲田大学や共立女子大学など、リーダーシップ教育を取り入れる大学は着々と増えており、その教育効果には定評がある。近年は高校でも取り入れられ、アクティブラーニングの効果的な実践や、部活動の強化などにつながっている。

 社会人であれば、職場での実践を通じてリーダーシップのスキルを磨くことができるという。

 リーダーシップ行動に必要な最小要素として、日向野教授は次の3つを挙げる。これらは、リーダーシップ開発論においてよく知られている実践基準を参考に、初心者にもわかりやすく整理したものだ。

1.目標共有: 明確な目標を設定して同僚と共有する
2.率先垂範: 目標達成のために自ら進んで動く
3.同僚支援: 同僚の動きづらい要因を取り除く支援をする

 例えば、上司から「顧客サービス向上に向けて今期やるべきことを考えて」と言われた(目標共有)としよう。そこで、「顧客サービス向上」という目標を達成するために、「チーム全体から幅広く意見を吸い上げるミーティングを実施してはどうでしょうか」と提案を行い(率先垂範)、ミーティング時は発言に躊躇する新入社員に「新人ならではの新鮮な意見があったら遠慮なく言ってよ」と声かける(同僚支援)。これも立派なリーダーシップ行動といえるのだ。

 しかし、リーダーシップに理解のない職場では、特に若手は一歩間違えると「生意気なやつ」と思われかねない。それを回避するために、日向野教授は次の2点をアドバイスする。

 一つは、「質問力」を意識することだという。

「『私はこうするべきだと思います』と自分を主張するより、『こういう方法はご検討済みでしょうか?』と質問の形にすると、相手に受け入れられやすくなります。ただし、『こう思うのですが、違いますか?』のような攻撃的な質問は逆効果です。あくまで提案する方向の質問し、『私がこんな質問しても大丈夫でしょうか』といった相手との関係性に関する質問も挟むとスムーズでしょう」

上司が環境を整え
一人ひとりが活きる強い組織へ

 もう一つは、自分の行動に対してフィードバックをもらう「バディ」を持つことだ。

「リーダーシップは周囲への影響力がカギです。自分の態度・行動がどう見られているか、信頼関係のある先輩や同僚などから随時フィードバックをもらい、修正していくことがスキルアップにつながります」(同)

 一方、元から権限や役職のある立場の人はどうしたらよいか。やはり同様にリーダーシップが求められるが、さらに新たな役割として、メンバーが自発的にリーダーシップを発揮しやすい環境づくりを担う必要があるという。

「組織にリーダーシップを定着させるには、『リーダーシップを発揮しても安全である』という環境を、トップや上司が整えることが必須となります。メンバーのリーダーシップ行動には失敗もあるでしょうが、それを上司が『失点』としてだけ捉えるのではなく、『そこから何を学ぶか』という視点で話し、リーダーシップを後押ししたいものですね」

 こうしたリーダーシップに本格的に取り組む企業は、トップを含めて研修を繰り返し実施し、実践に活かしている。日向野教授が研修を担当した企業からは、現場から提案が上がる風土ができた例など、さまざまな効果の声が聞かれるという。

 また、リーダーシップが浸透した職場では、人間関係もスムーズにいきやすい。さらには、取引先との関係においても、単に言われたことをやるだけではなくリーダーシップを発揮して提案も行うことで、信頼関係につながるだろう。

 このように幅広い場面で応用できるリーダーシップ。年度替わりで新体制が動き出したこのタイミングに取り入れて、チームの強化を図ってみてはいかがだろうか。

(藤崎雅子/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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