このページの本文へ

最新パーツ性能チェック 第228回

Ryzen 7 2700Xを速攻OCレビュー! 競合比較で見えてくる新Ryzenのポテンシャル

2018年04月19日 22時00分更新

文● 清水貴裕 編集●ジサトラショータ

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

CPUクーラー選びはどうする?

 Ryzen 7 2700XにはRGB LEDが搭載された新型CPUクーラー「Wraith Prism」が付属しています。付属品とは言いながら、銅製ベースに4本のヒートパイプを搭載するという非常に豪華なCPUクーラーで、第1世代の最上位モデルにはCPUクーラーが付属していなかったこともあり、お得感があります。

RGB LEDがかっこいい新型クーラー「Wraith Prism」

「Wraith Max」との違いはヒートパイプが直接触れるダイレクトタッチ式ベースになっている点。グリスはあらかじめ塗布されています。

 しかし我々が気になるのは冷却力!ということで、4種類のサードパーティー製CPUクーラーと比較検証してみました。負荷テストには「Prime95 Small FFTs」を使用し、10分間連続で負荷を掛けた際の最大CPU温度を計測しました。

出演者一覧。後列左の怪しい銅の塊は記事の最後で出てきます。

CPUクーラー検証の使用製品一覧
AMD「Wraith Prism」(10cmファン、トップフロー)
サイズ「虎徹 MarkII」(12cmファン、サイドフロー)
CRYORIG「H5 ULTIMATE」(14cmファン、サイドフロー)
CRYORIG「R1 ULTIMATE」(14cmファン×2基、サイドフロー)
CRYORIG「A80」(280mmラジエター、14cmファン×2基)

CPUクーラーの温度グラフ

 Prime 95と言えば激重で有名なストレステストソフトですが、CPU付属の「Wraith Prism」でも最大85℃に抑えているのは評価出来ます。ただし、ファンの回転数が上がった際の動作音は、10cmファンだけあって少し耳につく印象です。

 定格状態ではCPUの発熱が少ないからか、エントリー帯のサイズ「虎徹 MarkII]とミドル帯のCRYORIG「H5 ULTIMATE」、ハイエンド帯のCRYORIG「R1 ULTIMATE」の3製品で温度差の開きが少ない結果になりました。

 一方、動作クロックを4.2GHz、CPU電圧を1.45Vに設定した状態では、280mmラジエーターを搭載する簡易水冷クーラーのCRYORIG「A80」のみが10分間のストレステストをパス。CPU温度が85℃を超えると動作が不安定になりやすくなり、空冷クーラーだと30秒も経たないうちにフリーズしてしまいました。いかにして負荷時のCPU温度を70℃台に保てるかが、オーバークロック成功のキーとなりそうです。

 クーラーのアップグレードに関しては、オーバークロック状態での4.2GHz超えでの安定常用を狙う場合は、280mmクラス以上の大型ラジエーターを搭載する簡易水冷クーラーを選んだ方が良いと思われます。また、大型の空冷クーラーはグラフィックスカードの熱を吸いやすいという弱点があるので、グラフィックスカードが高温になるゲーミングPCにおいても、簡易水冷クーラーを選ぶメリットがあると言えます。

気になるOCメモリーの効果を徹底検証

 OC設定編でお話した通り、Ryzenシリーズではメモリーの動作クロックがCPUの内部バスである「Infinity Fabric」の動作速度と同期しており、この速度がパフォーマンスに直結しています。メモリーの動作クロックを引き上げることでしか内部バスのオーバークロックができないのです。ということで、DDR4-2133MHzからDDR4-3600MHzまでの全てのメモリー対比で、メモリーOCがどれほどのパフォーマンス向上に繋がるのか検証してみました。

 使用したメモリーはSamsung B-dieを搭載するG.SKILLの「Trident Z(F4-3600C15D-16GTZ)」で、レイテンシはCL16を基本に設定。DDR4-2133MHzとDDR4-2400MHz時のみ、CL16設定で動作クロックとのバランスが崩れてスコアーが大幅に低下する現象が発生したためCL15としました。ベンチマークにはCINEBENCH R15を使用し、CPUクロックはスコア計測に影響を及ぼさないようにするため、全コア4.2GHzに固定しています。

メモリーのオーバックロック時のグラフ

 基準となるのはCPUのメモリーコントローラが対応しているDDR4-2933MHzのマルチスレッドスコアです。DDR4の初期や低価格帯の製品に多いDDR4-2133MHzのスコアーはDDR4-2933MHz時のよりも約2.8%低い値を記録しています。これはCPUの動作クロックに換算すると、30~40MHz程のスコアー差になります。動作クロックの低いメモリーを流用する場合は、相性だけでなく性能の面でもデメリットがあると言えます。

 DDR4-3200MHzまでの製品はDDR4-2666MHzの製品との価格差が少ない場合があるので、予算内でなるべく高いクロックの製品を選ぶのが良いでしょう。

 今回テストした結果では、第1世代のRyzenよりもクロックの高いオーバークロックメモリーの動作が安定している印象です。DDR4-3600MHzクラスのIntelプラットフォーム向けのオーバークロックメモリーがXMPを読み込んだだけで安定動作するのは、個人的にかなり高評価です。AMDプラットフォームでは、Intelプラットフォームよりもメモリーオーバークロックでパフォーマンスを向上させやすいので、メモリー選びにこだわってみるのは良い選択でしょう。

カテゴリートップへ

この連載の記事