自由に折り曲げ出来るディスプレーがあれば、折り畳み可能なスマートフォンやタブレット、電子ブックリーダーの実現も夢でありません。今やディスプレーメーカー各社がフレキシブルディスプレーの開発を進めています。今回は中国のVisionox社が開発中の折り曲げディスプレーを紹介しましょう。
Visionox社が2017年12月に発表したフレキシブルディスプレーのサイズは5.99型(1080×2160ドット)。最近のスマートフォンですっかり流行の18:9のワイドディスプレーと同じ大きさの製品です。折り曲げるかどうかはさておき、このまま今のスマートフォンにも搭載できるサイズというわけです。
折り曲げは内側に3mm径、外側に5mm径まで可能。また耐久性は10万回とのことです。仮に1日50回折り曲げるとすると2000日、すなわち約5年半使えますから、スマートフォンの買い替えサイクルを考えると十分でしょう。このフレキシブルディスプレーをVisionox社はスマートフォンのみならず、他の用途にも展開できるものと期待しています。
たとえばこれからIoT製品が増えることから、いままで通信手段を持たなかったものがネットにつながるようになります。その例がスピーカー。ただの音を鳴らす道具から、今ではマイクも搭載し情報を収集できるAI音声スピーカーへと進化しています。そのAIスピーカーも最近はディスプレー搭載品が出てきました。Visionoxのフレキシブルディスプレーを外側に貼り付ければ、360度どこからでも情報を見ることのできる新しいデバイスへと生まれ変わります。
また電子ブックリーダーへの応用では、本物の紙のような使い勝手が期待できます。普段は閉じておき、開くと左右にフレキシブルディスプレーが現れるデバイスにすれば、あたかも紙の書籍を開いているように見えます。ディスプレーをタッチして画面をめくるなどのUIを乗せれば、電子ペーパーなどを使ったブックリーダーよりも使いやすいものになるでしょう。
面白い用途としてはギフトボックスへのフレキシブルディスプレーの展開もあります。スピーカー同様、外側にフレキシブルディスプレーを貼り付け、この箱を店頭にたくさん並べて置けばすべてのディスプレーを使って広告を表示するような使い方もできます。あるいは贈り物をするときに、メッセージカードを添えるのではなく、蓋を開けると側面にメッセージが表示される、なんて用途も考えられます。さらには箱の外装をカラフルに着せ替えさせるのもいいでしょう。ディスプレーのフレキシブル化で今まで考えられなかった用途展開が考えられるのです。
スマートフォンそのものを折り曲げ可能にするためには、基板側の対応も必要になります。自由に曲げることのできるスマートフォンの登場はまだすぐには無理かもしれません。でも数年前にLGは湾曲ディスプレーを搭載し、本体を多少たわませることのできる「LG G Flex」シリーズを製品化しています。ちょっとのねじりや、たわませることのできるスマートフォンなら、案外すぐにでも出てくるかもしれません。
ディスプレーを製造するメーカーは今、画面上にノッチの付いたiPhone Xに似たディスプレーの開発を各社が行なっています。Visionox社もノッチディスプレーを量産化しています。しかし未来のディスプレーを考えると、今回紹介したような自由に曲げることのできる製品のほうが発展性や拡張性が期待できるでしょう。ディスプレーメーカーには曲がる製品の開発にも力を入れてほしいものです。
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