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三越伊勢丹HDが新中期計画で掲げる「ネット通販強化」の現実味

2017年11月13日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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杉江社長は、「改装が失敗しても大丈夫」と口にするほど、コスト削減への自信を深めている Photo by Satoru Okada

 日本の百貨店の礎であり、三井グループの起源ともいわれる日本橋三越本店。富裕層を中心に今なお根強いファンを持つが、老朽化が著しく、三越伊勢丹ホールディングス(HD)は100億円規模の改装を計画している。

 11月7日、同社の杉江俊彦社長は、2017年3月期中間決算と共に18~20年度の中期経営計画を発表し、コスト削減と成長戦略を同時並行で進める考えを示した。

 まずコスト削減については、退職金を最大5000万円積み増して早期退職を促す制度への800~1000人の応募を想定。実現すれば数十億円から100億円以上の削減効果がありそうだ。

 営業コストの削減は店舗単位だけでなく、フロアや入居するブランドごとに目標を課すなど徹底し、「予想以上に進捗している」(杉江社長)。さらには、伊勢丹新宿本店、三越銀座店と並ぶ同社の基幹3店の一つである日本橋三越本店について、「100億円規模の投資に見合うコスト削減を課して、リモデル(改装)が失敗しても大丈夫なようにした」と胸を張った。

 万が一失敗しても業績への影響は小さいとの考えだろうが、会社全体では早期退職によるコスト削減も当てにしているわけで、社員の士気や気概をくじきかねない発言だ。

 そして同社の“本丸”である伊勢丹新宿本店では、今後、不振の衣料品フロアを縮小し、化粧品や雑貨の売り場を拡大する。さらに、インターネットを通じて商品情報を発信し、「伊勢丹新宿本店の商品を、地方客にネット通販で買っていただく」(杉江社長)ことを目指すという。ただ、過去に伊勢丹新宿本店で好調だった高価な商品を地方の店舗でそのまま販売したところ、客層の違いから売れなかった経緯もあり、そう簡単ではないだろう。

リアル店舗の強化が先決

 一方、成長戦略の柱として掲げたのが、事業のデジタル化だ。カード会員や得意先の顧客情報を一元化し、顧客の特性に応じた広告の配信、ハイエンド客向けのネット通販や宅配サービス、さらには取引先との商品の在庫情報の共有などに取り組むという。

 ただ、在庫情報については、これらの取り組みを進めても、仕入れた全商品を把握するまでには至らず、単品管理が可能になるわけではない。ネット通販では、“巨人”アマゾンをはじめ競合する企業は多く、戦いは極めて熾烈だ。単品管理もできないで戦えるような市場ではない。

「ネット通販で集客するためには、リアル店舗の充実が不可欠」(アパレル大手幹部)といわれる。三越伊勢丹HDには幸い、基幹3店という拠点が残っている。デジタル化の推進を生かすためにも、まずは、基幹3店の強みにさらに磨きをかけることが先決ではないだろうか。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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