このページの本文へ

iPhone X&iPhone 8、ASCII徹底大特集! 第35回

iPhone Xの有機ELとiPhone 8の液晶ってどう違うの?

2017年10月26日 10時00分更新

文● 南田ゴウ/ASCII編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

iPhone Xはいよいよ11月3日発売

 11月3日発売の「iPhone X」は、解像度1125×2436ピクセルの有機EL(OLED)ディスプレー「Super Retina HD」を採用しています。コントラスト比はなんと100万対1。ちなみに先行して登場したiPhone 8のコントラスト比は1400対1、iPhone 8 Plusは1300対1と圧倒的な差があります。

最大輝度も625カンデラと高い

 しかし、実際にiPhoneのディスプレーが液晶から有機ELになると何がどうなるかは、なかなかわかりにくいもの。有機ELディスプレーパネルにもさまざまな方式がありますが、今回は全般的な液晶と有機ELの特徴の違いをざっくり解説します。

【有機ELディスプレーの特徴】

【特徴その1】コントラスト比が高い

 先述のとおり、iPhone XのSuper Retina HDディスプレーのコントラスト比は100万対1。コントラスト比とは画面上の明暗部の差を表わす用語で、100万対1なら黒の輝度を1とした場合、白の輝度が100万倍ということです。この比率の差が高ければ高いほど、色の違いがくっきりと表現され、メリハリが効いた鮮明な映像となります。

【特徴その2】応答速度が速い

 液晶ディスプレーは液晶分子の方向を変化させて、バックライトの光の透過率を変える関係上、動きの速い動画の表示で遅延が発生する場合があります。たとえば、動画で「画面を横切る新幹線の窓」などに注目すると、モザイクがかかったように残像が見えることがあります。有機ELディスプレーは応答速度が速いので、動画再生が得意と言えます。

EIZOライブラリーより。応答速度が遅いと残像が現われてしまう

【特徴その3】視野角が広い

 液晶はパネル方式にもよりますが、見る方向や角度によって階調が変わったりコントラストが低下したりといった現象が発生します。これに対して、有機ELは視野角が広く階調の変化やコントラストの低下といった現象が発生しにくいのが特徴です。手持ちなのでひんぱんに画面を見る角度が変わることを考えると、なかなかこの利点は魅力的です。

 上記の有機ELディスプレーの特徴とまとめると「画面がくっきり鮮明で動画再生もバッチリ、どの方向から見てもキレイ」となります。まさに無敵。そうなると気になるのが「弱点はないの?」ということ。

有機ELディスプレーは「高い」

 iPhone Xのアップル直販価格は64GB版が税込12万1824円、256GB版は税込14万184円となかなかのお値段。ちなみにフルHD解像度の5.5型液晶ディスプレーを搭載するiPhone 8 Plusは64GB版が税込9万6984円、256GB版が税込11万5344円です。

iPhone Xを「安い」と感じる方はブルジョワに違いありません!

 iPhone Xはデュアルレンズのカメラが両方光学式手ぶれ補正対応だったり、Touch IDではなくFace IDだったり、そもそも初モノの仕様だったりと大きな違いもありますが、量産に高いコストがかかる有機ELを採用したことも、この価格差に影響しているはず。

有機ELディスプレーは「寿命が短い」

 有機ELディスプレーは有機物が通電や湿気、酸素などの影響で徐々に劣化するため、構造的に寿命が短いと言われています。とはいえ同じスマホを10年以上使うというケースはほぼないと思われますので、寿命の問題はあまり気にしなくてもいいかもしれません。

有機ELディスプレーは「大型化・高精細化がタイヘン」

 有機ELディスプレーは大型化の際にドット欠けなど全体の品質を維持するのがタイヘンだと言われています。しかし、スマホのディスプレーサイズのトレンドは、大型のモデルでも6型前後。ちなみに、パナソニックの77型4K解像度有機ELテレビ「TH-77EZ1000」の実売価格は堂々の244万円前後です。いや、ホントに高いとしか言えませんね。

 高精細化がタイヘンという点についてですが、iPhone Xは5.8型で1125×2436ピクセル(458ppi)というゴキゲンなスペック。知らないところでタイヘンなのかもしれませんが、思い切り高精細だと思いますので気にしなくてよいかと。

 つらつらと液晶ディスプレーと有機ELディスプレーの違いを書き連ねてきました。まだまだ現時点では高コストですが、バックライトによる電力消費もなく、パネルが薄く、スマホの長時間駆動が期待できる有機ELディスプレーが、これまで以上にスマホに採用されることは間違いないでしょう。

 既存のiPhoneユーザーも含め液晶スマホを利用していた方も、11月3日発売のiPhone Xへの乗り換えで、有機ELディスプレーの実力に触れてみてはいかかでしょうか?


■関連サイト

カテゴリートップへ

この連載の記事

ASCII.jp RSS2.0 配信中