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iPhoneの新通信料金、キャリア3社横並び崩壊の舞台裏

2017年10月10日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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iPhoneの最新機種が発売される秋商戦。年度替わりの春商戦に次ぐビジネスチャンスに、通信大手の料金競争も激化する Photo:REUTERS/アフロ

安さか、大容量か、分かりやすさか──。横並びだった通信大手3社の料金プランに、“個性”が見え始めた。秋のiPhone商戦からユーザーの囲い込みを狙う3社の戦略を探った。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)

「iPhoneという高級端末で、通信料金を安くしたかった。毎月のコストは最も安い料金が設計できた」

 米アップルのスマートフォン最新機種、iPhone8が9月22日に発売されて始まった秋商戦。KDDI(au)コンシューママーケティング2部の多田一国部長は、こう自信を見せる。

 今回、auが満を持して投入した料金プランは、毎月のデータ使用量に応じて料金が変わる「ピタットプラン」だ。データ通信をあまり使わなかった月は料金を抑えることができるため、従来の5ギガバイト(GB)の定額プランの利用者は、「平均で月1500円ほど安くなる」(多田部長)。

 ただ、新プランは通信料を安くした代わりに、毎月の端末割引が適用されなくなってしまう。

 そこで、端末価格の負担を低減するために編み出した“奇策”が「48回払い」である。24カ月を過ぎてから再びauで機種変更すれば残債を免除する仕組みだ。月390円の追加料金が掛かるが、このプランを利用すれば端末価格を半額近くまで下げられる。

 通信料と端末価格の合計で、データ通信量が月1GBまでなら月4433円と、NTTドコモの月7263円、ソフトバンクの月6568円と比べ、頭一つ安い料金プランを実現した。

 今回のプランが誕生した背景には、「格安スマホの台頭で、auもうかうかしていられないという危機感があった」(同)。

 同様のプランは7月にアンドロイド端末向けで発表しているが、元からターゲットは今秋のiPhone商戦。「店頭の混乱を避けるため、早めに新料金プランをスタートさせた」(同)という。

 iPhone8の“最安”をアピールするauに対し、ソフトバンクは今回、低料金での追随を避けた。ソフトバンクの菅野圭吾執行役員は、「低価格帯はサブブランドの『ワイモバイル』で提供しており、『ソフトバンク』では“高品質”を提供する2ブランド戦略を取っている」と説明する。

 ソフトバンクの今回の目玉は、月7000円で50GBまで利用できる超大容量プランだ。従来よりも1000円安くなった上に、容量を20GB増やした。

 新料金プランの策定に当たり掲げた社内テーマは「ストレスフリー」だった。今春数カ月間、ユーザーの利用状況を分析したところ、「ユーザーは我慢しながらスマホを使っていた。屋外ではWi-Fiがつながる場所を探し回り、通信制限を嫌がって動画を見ないようにしていた」(菅野執行役員)。

au、ソフトバンクの48回払いプランは
端末返却に要注意

 大容量プランを前面に押し出す一方、ソフトバンクもauの端末価格の48回払いに追随し、2年たってから機種変更すると残りの支払いを免除するプランも導入した。

 ただ、auとソフトバンクの48回払いには気を付けるべき点がある。他社に乗り換えると残債免除は適用されず、“囲い込まれて”しまうのだ。

 さらに、機種変更時には使っていた端末の返却が必要で、端末に故障があると残債免除の適用には追加料金2万円が掛かる。

 両社とも「店頭できちんと説明している」というが、2年後の機種変更のタイミングでトラブルが起きないかという懸念は残る。

 対照的に、秋商戦で新料金プランを出さなかったドコモ。「料金プランはiPhoneだけのためにあるわけではない。今回は出すタイミングではなかった」と語る田畑智也料金制度室長が意識するのは、「シンプルで分かりやすい」料金プランにすることだ。

 例えばiPhone8の端末価格は、機種変更、新規契約、他社からの番号乗り換え(MNP)共に全て同一。auはMNP、ソフトバンクは新規とMNPで機種変更よりも割安にした点と比べると、顧客獲得よりも、既存のドコモユーザーへの“公平さ”を重視していることがうかがえる。

 48回払いについても、「他社の単純追随の良しあしを判断し、まねしなかった」(田畑室長)。代わりに対抗策として打ち出したのが、1年で端末を返却して機種変更した場合、最大で4万円分のポイントを還元するプラン。機種変更をしなくても特段デメリットはなく、無料なので、取りあえず加入しておいて損がないプランだ。

 iPhone8の発売に合わせて工夫を凝らす3社。ただ、11月にiPhoneX(テン)の発売が控えているため、肝心の8の出足は鈍く、「今年は動きが読めない」と各社は頭を悩ませる。

 また、3社とも早期の機種変更を推奨している点は、「毎年新機種を売りたいアップルへの配慮」と業界では受け止められている。秋商戦でアップルに振り回される状況は当面続きそうだ。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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