アプリのダウンロード数を最大化するアイコンは? 見ただけでは分かりません。経験豊富なデザイナーでさえ確実な答えは出せないでしょう。解決策にA/Bテストがあります。
A/Bテストは昔からある概念ですが、ダウンロード数を増やしたいときには、アプリのインターフェースの改善に熱中してユーザーが最初に目にする「アイコン」を忘れがちです。すべてのアプリストアに複数のバージョンから「最善」を計測できるダッシュボードがあります。
A/Bテストの実施方法と、私たちがアプリダウンロード数を34%も増やし秘策を紹介します。
A/Bテストに使用した4つのアイコン
このアイコンを見てください。
どのアイコンを設定したときがストアで一番多くダウンロードされた分かりますか? 結論は2番目のアイコンでした。この結果を得るために実施したA/Bテストを紹介します。
課題
Piano Master 2は、落ちてくる小さなブロックに合わせてピアノの鍵盤を叩き、選択した曲を弾くアプリです。ゲームですが、ピアノの練習にもおすすめです。
かつては独自性のあるアプリでしたが競合アプリが増えてきました。そこでクライアントは新しいアイコンで競合に差を付けたいと考えたのです。
以前のアイコンです。
クライアントの希望をふまえて話し合った結果、3つのアイコンを作成し、Google Play Storeでどのアイコンを設定したときがダウンロードされるかA/Bテストをすることになりました。
最初に作成した3つの図案の概要を紹介します。
プロジェクトの概要
最初のアイコン案は真面目で古典的なもの(二次元の鍵盤と、そこに降る目印の絵)にしました。対してほかのアイコンは明るく動きがあって抽象的です。またクライアントから「少なくとも1つのアイコンには星を入れたい」と要望がありました(ゲーム中ピアノを弾くときに星が出るため)。また、このイメージを参考にとのことでした。
手順1:繰り返しと評価
クライアントに6つの下書きを送りました:
クライアントは案5、案4、案1の順に評価しました。唯一の要望は、ゲームの内容をふまえて作図した緑色の部分を「もう少し細くしてほしい」とのことでした。
評価を考慮して選ばれた3つの案を基に作り直したのが以下のアイコンです。
2回目のクライアントの評価は、アイコンの内のfree(無料)は不要とのことでした。もう有料版は配信をやめ、無料版のみ配信しているためです。少し心配したのは、freeが明記されている古いアイコンと、外したアイコンでは同じ条件での比較にならない点ですが、それでもクライアントは文字を外す判断をしました。デザインが決まり、色を付けました。
手順2:最初のA/Bテスト(デザインを選択する)
この3つの案をGoogle Playでテストしたところ、1番良かったアイコンはダウンロード数が27.1%も伸びました。驚いたことに、クライアントの好みでは最下位だったアイコンでした。
ダッシュボードに表示された上記のグラフによれば、2番目に良かったのはもともとのアイコンでした。私たちは「free」が入っているからではないかと密かに勘ぐりましたが、この疑いはいったん脇に置いて、2回目のA/Bテストを始めることにしました。
手順3:2回目のA/Bテスト(色の選択)
デザインが決まったので、配色を選択します。1番良かった図案で色違いの3パターンを作成しA/Bテストをします。クライアントは「青が一番だろう」と予想しました。私たちは依然として「free」の影響に懸念を抱いており、4つ目の候補として青色でなおかつ「free」と書かれたアイコンを含めること提案し、クライアントの承諾を得ました。
驚いたことに、またも緑色(verde)でfreeの文字が無いのアイコンが1番でした。freeのラベル付きアイコンはもっとも人気が無く、私たちの仮説はまたしても大間違いだったことが証明されました。
最後に
クライアントが最下位だと予想したアイコンが1番多くダウンロードされ、1番と最下位には4倍の差がありました。もしクライアントがA/Bテストをせずに好きなアイコンを選んでいたら、1番良かった案と比べて4分の1のダウンロード数に終わっていたかもしれないのです。
ここから分かることはなんでしょうか? アイコンのデザインはアプリのダウンロード数に大きな影響を与えること、そしてA/Bテストは複数のデザイン案を比較する最高の方法だということです。A/Bテストは文字通りどんなデザインにも適用できます。複数の案を比較するとにきは、理由もなく好きなものを選ばずに、A/Bテストで根拠のある成果を手に入れてください。
追記:自分の直感が大外れの場合もあるのです。
(原文:How to Boost App Downloads by A/B Testing Icons)
[翻訳:西尾 健史/編集:Livit]