無停止OSや無停止データベースが仮想化環境で稼働「HPE Virtualized NonStop」
ハイブリッドクラウドでも「無停止サーバー」、HPEが新製品
2017年04月12日 06時00分更新
日本ヒューレット・パッカード(HPE)は4月11日、フォールトトレラントサーバー(無停止サーバー)の「HPE Integrity NonStop」を各種仮想化テクノロジー上で運用できるミッションクリティカルシステム向けソフトウェア「HPE Virtualized NonStop」を発表した。同テクノロジーの検証センターも本社内に開設する。
今回リリースされたHPE Virtualized NonStopは、Linuxの仮想化環境であるLinux KVM上で動作する。管理ツールとしてOpenStackを採用しており、迅速な起動やリソース配備、構成変更を含むさまざまな自動化を可能としており、無停止サーバーOSの「HPE NonStop OS」、無停止データベースシステムの「HPE NonStop SQL/MX」、制御/運用管理システムの「HPE NonStop TS/MP」といったソフトウェアを、仮想化環境で利用できるようになる。なお今後、VMware、Hyper-Vにも順次対応していく計画。マルチテナント機能も備えており、クラウド環境における運用を容易にしている。
Virtualized NonStopが仮想化環境上で無停止を実現する鍵は、同製品の「プロセスペア技術」だ。これは、異なる仮想CPU上でプライマリプロセスとバックアッププロセスを並列実行し、プライマリプロセスに障害が発生した場合は、瞬時にバックアッププロセスに処理を引き継ぐというもの。これにより、一般的なクラスタシステムのフェールオーバー処理とは異なる、完全に無停止での切り替えが可能になる。
またNonStop SQL/MXは、障害発生時の無停止処理継続だけでなく、疎結合型の特徴を生かした、リソース追加によるリニアな性能拡張を実現する。NonStop TS/MPは、TPモニターとしてOLTPアプリケーションの実行管理と制御を担い、超並列アーキテクチャーによって拡張されたシステムリソースをシングルシステムイメージで利用可能にする。ロードバランシングや並列処理スケジューリングの機能によって、リソース内での複数のアプリケーション実行を最適化する。
HPE ミッションクリティカルソリューション製品本部の富田浩次氏は、「Virtualized NonStopによって、無停止を実現するハイブリッドクラウド環境を実現する。将来的には、パブリッククラウドへの対応も行っていくことになる」と述べた。
HPE Virtualized NonStopの最小構成価格は、635万6400円(税抜、エントリークラス 2CPU1コア)から。
加えて今回は、Virtualized NonStopとNonStop SQL/MXとを組み合わせた無停止データベースクラウド基盤「DB as a Service」も発表されている。OpenStackと連動したシステム配備/構成機能、マルチテナント機能を提供する「DBS」に加え、他社製データベース製品との互換機能である「PL/MX」、リアルタイムデータ分析のためのワークロード最適化を行うNonStopアナライザも提供する。
HPEでは昨年から、社内向けITシステムにおいて、Virtualized NonStopやDB as a Serviceを用いたミッションクリティカルデータバックプレーンとアプリケーション配備の刷新に取り組んできたという。今回の新製品では、この大規模な社内実践で得られた知見を顧客に提供したり、製品開発に活用したりする方針だ。
「HPEでは、2万5000本のデータベースインスタンスをいつでも利用可能なミッションクリティカルPaaSへと移行した。これにより、ベンダーロックインの排除とデータベースマネジメントコストの削減を実現し、その(浮いた)費用を開発に再投資している」(富田氏)
また、HPE本社内に設置されたHPE Virtualized NonStop検証センターでは、アプリケーション検証やベンチマーク、トレーニングなどを行い、Virtualized NonStopを推進していく。
HPE データセンター・ハイブリッドクラウド製品統括本部長 兼 ミッションクリティカルソリューション製品本部長の本田昌和氏は、「止まらないシステムの構築に対する要望が高まり、それに伴って無停止型コンピューターが見直されている。(無停止サーバーハードウェア製品の)HPE Integrity NonStopの工場出荷金額は、グローバルでは前年比1.5倍、日本では2.8倍の成長となっている」と説明した。