米国では冬の嵐にも、ハリケーンのように名前が付いています。先週の嵐は「ヘレナ」という名前が付けられ、今週来ている嵐は「アイラス」。ちゃんとアルファベット順の名前が選ばれていました。
この原稿を書いている月曜日は、午前中から昼にかけて、奇跡的に太陽がさしましたが、午後になるとすぐにどんよりとしてきて、火曜からは雨の1週間となります。
そんな月曜日、ローカルニュースの話題は、iPhoneが発表されて10周年を祝うものでした。2007年1月9日、サンフランシスコで開催されていたMacworldの基調講演で、スティーブ・ジョブズ氏が発表しました。その様子も映像で流れてきて、懐かしい気分になりました。
ジョブズ氏は、「タッチ操作のワイドスクリーンiPod」「革新的な電話」「まったく新しいインターネットコミュニケーションデバイス」の3つを紹介するといい、しかしそれは1つのデバイスだとして「iPhone」という名前を披露しました。そのプレゼンテーションは、YouTubeなどで見ることができます。
iPhoneの登場は興味の融合の瞬間だった
さて、10年前、筆者は駆け出しのフリーランスジャーナリストで、テクノロジーとライフスタイルをテーマにしていました。特に「ケータイ」と「Mac」という2つの製品にフォーカスしていました。
ケータイは、筆者が大学時代に生活を大きく変える経験をしたテクノロジーであり、筆者の世代観や将来の生活の核となる存在となっているからです。同時に、中学の時に先にPCに触れている関係で、どうしても「パソコン > ケータイ」というヒエラルキーから抜けられないところも、自分の中での世代観との乖離という面で興味を持っているところです。
iPhoneの発表は、前述のケータイとMac(Apple)という2つのテーマが1つに融合する瞬間だったわけで、ちょっと小躍りしたのを覚えています。また高校時代に自動車部に所属するほどクルマが好きな筆者からすると、Appleを初めとするシリコンバレーの企業が自動車に興味を持ち、Teslaという新興自動車メーカーまで登場したことも、同じような感覚で受け入れました。
ちなみにTesla については、サンフランシスコ湾岸地域の都市フリーモントにある工場を見学してきましたので、また別の機会にご紹介したいと思います。
iPhoneとケータイを切り離して考えていた当時の筆者
iPhoneが登場した際、不思議と筆者はケータイとiPhoneを切り離して考えていました。確かにiPhoneはケータイなのですが、カテゴリーとして別のもの、というとらえ方をしていたからです。
2006年に筆者は長年使って来たNTTドコモからMNPでソフトバンクに移りました。そこで手にしたのはHTCのWindows Mobile端末。同時にKDDIのMEDIA SKINも持っていました。スマートフォンとケータイをそれぞれ持っていて、iPhoneはスマートフォンの進化形という理解だったからかもしれません。
その後2008年7月にiPhoneが日本でも発売されることになり、表参道のソフトバンクショップに並んで手に入れました。メイン回線をソフトバンクに切り替えていたことが功を奏し、そのままメイン回線をiPhoneで使うことにしたのです。
ケータイの体験からすれば、2008年のiPhone 3Gは見劣りするものでした。カメラ、メッセージング、形態進化で得た各端末の特徴などがなく、大きなスクリーンがそこにあるだけ。ハードウェアとして面白みがないことは、初代iPhoneと現在のiPhoneを比べて、デザインの要素に変化がないことからも明らかでした。
そこで、当時考えたことは、進化の方向性が変わったということでした。よく使っていた例えは「昆虫と人間」。ハードウェアで進化してきた昆虫に対して、形は同じながら脳みそによって進化してきた人間という対比です。
初代iPhoneとiPhone 7を比較すると、処理能力120倍、グラフィックス240倍と、とんでもない進化をしています。これはハードウェアの進化です。しかしその上で動くアプリケーションや、通信、決済などのインフラの進化も非常に大きかったと振り返ることができます。
加えて、それらを活用するアプリの存在が、脳みそによる進化の本質だった、と振り返ることができます。
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