留守電はずっと進化していなかった
−−今回のインタビューにあたって、かんたんに留守番電話の歴史を調べてみたんです。そうしたら、発表会で社長(代表取締役社長 松田憲幸氏)もおっしゃっていましたけど、1980年頃に一般家庭に導入できるようなものが生まれて、そこから基本的なかたちは変わっていないんですよね。
川竹「それと、携帯電話で使えるようになったことは大きいですね」
−−本質的な部分は変わらないまま2016年になって、ようやく進化。留守番電話に着目したきっかけはなんだったのでしょう?
川竹「そもそものはじまりは、ユーザー様に『長く使ってもらえて、なくなると困るサービス』を作ろうというところでした。使い始めたら、便利さから手放せなくなるような。それでまず、留守電が入ったことをメールで知らせてくれるというシステムを作ってみました。
そうすると意外に使い勝手がよくて、『じゃあ音声認識エンジンを組み合わせて、留守電の内容をテキストで送ってくれるようにしたらどうだろう?』と作ったのが、最初のプロトタイプです。『留守電をいまの技術を使って、使いやすくしたらどうだろう?』と考えたんです」
NTT「研究開発の歴史 Vol.4」−−テキストに変換するというアイディアは?
川竹「発表時に公開したアンケートにも出ていますが、およそ40%の方が留守電をすぐに聞くということをしていなくて、そのうち40%の方は聞くのが面倒だと思っているんですよ」
−−留守電、聞かないですよね。折り返しちゃう。
川竹「すぐに聞かない理由のうち、『折り返した方が早い』という回答も14%ほどあって、4位に入っていました。貝塚さんは、14%のうちの1人に入っているということです(笑)。そのほか、『すぐ聞けない』『面倒』など、調査していく中で、いまの形態の留守電には、不便を感じている人が多いことがわかったんです」
−−相手の話した内容がメールで送られてくるというのは、本当に画期的なことだと思います。SNSでも好意的な意見が多いように思いました。
川竹「ありがとうございます」