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ヤマハと電撃文庫の異色作『なれる!SE』のスペシャルコラボ!

なれる!SE ヤマハ?の歩きかた 第2回

2016年04月08日 11時00分更新

文● 夏海公司、イラスト●Ixy

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 ヤマハのネットワーク機器20周年を記念して、システムエンジニアの過酷な実態をコミカルに描く電撃文庫の異色作『なれる!SE』とコラボ! スペシャル短編を全7回にわたってお届けするぞ。楽しく読めてヤマハのことをもっと知ることができる内容になっているので、ぜひチェックしてね!
1回目はこちら

登場人物

室見立華
実力のあるネットワーク系のSEだが十代にしか見えない少女。四六時中仕事をしているワーカホリックでツナが大好き。


桜坂工兵
知識も経験もないシステム開発会社に就職した新人社会人。教育係である室見のもとで激務に追われる日々。


橋本課長
立華たちの顧客である業平産業の課長で、仕事のできるクールなキャリアウーマン。工兵の飲み友達でもある。



やぁどうも、遠路はるばるお越しいただきありがとうございます。私、ヤマハ株式会社のH田と申します。今日は皆様の見学のお供をさせていただきます! ……って、あれ? んんん?



どうかされました?



いや、ご家族連れとはうかがっていなかったので。あの、こちらの女の子(室見)はどなたかの娘さんですか(橋本と工兵を交互に見ながら)




……




……




(キャー)



す、すみません、これは弊社の社員です。スルガシステムの室見と申しまして。で、こちらが業平産業の橋本課長



やや! 失礼しました。てっきりどこかの女子中学生とばかり。ええっと、で、あなたが



スルガシステムの桜坂です。六本松経由で何度かメールをやりとりさせていただきました



あああ! なるほど今日の代表の方ですね。で、橋本さんがエンドユーザー様で室見さんが御社の新人の方




いえ、僕の上司です




え?




え?




……



と、とにかく今日はよろしくお願いします。まずは工場見学とうかがっているんですが、本社のある浜松じゃなくて掛川でルーターを作っているんですね。ちょっと意外でした



ん? いえ、これから行くところはルーターの工場じゃありませんよ




はい?



スケジュール表に書いてませんでしたっけ? 最初の見学先は掛川ピアノ工場。ヤマハグランドピアノの製造現場です




……へ?









(な、なんでいきなりピアノ工場? あれ? 僕らルーターの工場見学に来たんじゃなかったっけ? 何か行き違いがあった? 別の見学者と間違われた? ……いや、でもスルガシステムと名乗って何も言われなかったし)



つきましたよ。こちらがヤマハ掛川工場、ハーモニープラザです



綺麗な建物ですね。工場というより美術館かコンサートホールみたいです



2007年に完成したばかりですしね。まだできたてですよ。こちらの建物はショールームで奥の工場自体も2010年に移転・統合が完了したばかりです



移転? 前は別のところにあったんですか



はい。もともとグランドピアノの製造ラインは浜松にあって掛川のアップライトピアノ工場に統合してきたんですよ。今では国内唯一のピアノ生産拠点です




ははぁ




んー? グランドピアノ、あれ?




どうかしました? 桜坂さん



いや、そういえば僕、小学生の頃、社会科見学で浜松のピアノ工場行ったんですよ。じゃあもうないってことですか? あそこ



はい、移転済みです。って、あら? 桜坂さん浜松の人ですか




ええ、最寄り八幡駅です



なんと、本当に我々のご近所さんじゃないですか! でしたらいっそ弊社に就職すればよかったのに! 通勤とか徒歩圏でしょう。あははは、もったいない




は、はは……ですね(入れるものなら入りたかったよ!)









というわけで工場構内です。こちらは東京ドーム5個分の面積があるんですよ




うぉっ! ピアノが音楽とともに走ってくる!



建物と建物の間を台車で自動的に運搬してるんですよ。ほら、信号とかもあるでしょう。赤の時はきちんと止まらないと危ないですよ



信号無視するとグランドピアノに轢かれるんですね




(すごい絵面だ……(※))



この部屋はなんですか? 機械が同じメロディをずっと弾いてますけど



自動打弦機ですね。だいたい一鍵盤、三百回くらい打鍵して部品を馴染ませてます。単調な音がちょっと精神に刺さるので防音室の中に入れてあります。昔はこれも人間がやっていたんですよ



結構、機械が導入されてるんですね。もっと、こう職人の方が一台一台つきっきりで作ってるイメージでしたが



流れ作業で効率化が進められていますから、一昔前よりは大分楽になりましたね。とは言っても人手の介在する部分も多いですよ? 特に音に関わる部分はまだまだ機械に任せられません



たとえばここは整音と呼ばれる工程の部屋です。ハンマーの硬さを一つ一つ手作業で職人が調整していくんですよ。音を聞き分けながらの微妙な作業で、一人前になるまで何年も修行が必要だと言われています



なんか不思議な空間ですよね。車の工場みたいなのに、あちこちに職人さんがいて



そもそも原材料が木ですしね。どれだけ均質化しようと木目などで違いがでてきますし、音色だって人の好みというものがありますから



なるほど、フィーリングや感性の世界をいかに工業製品として成立させていくか、相反する命題の解決法が人と機械の融合ってわけですね。……うん、ITにはない考え方ですね。楽器の世界って面白いです!



ははは、そう言っていただけると、企画した甲斐があるってもんです。さ、さ、次は選定室を見てみましょう。出荷前のグランドピアノを弾き比べてお好みの製品を選べる部屋です




はいっ! わー、楽しみだなぁ!



(桜坂さん、何しに来たのか覚えてるのかしら……)









わーい! お土産もらっちゃったぜ! 橋本課長、見てくださいよこれ。ピアノに使われるフェルトのハンマー! それをキーホルダーにしたものです。いやぁ貴重品だなぁ。誉の奴、小学生の頃、ヤマハの音楽教室通ってたから、今日のこと話したらうらやましがるぞ。自慢してやろっと。ふふ、うふふふふ




桜坂さん、桜坂さん、ちょっと



なんですか? 橋本課長。いや、さすがにこれは差し上げられませんよ。家宝にするんですから。というより僕もうIT系とか卒業しようかなって。やっぱりアナログ的な温かみって必要ですよね! 僕も静岡にUターンしてヤマハのピアノ買って。足下に猫とかはべらせながら『猫踏んじゃった』弾こうかなーって




えいっ(デコピン)




は! 僕は何を!? ここは一体!?



正気に戻りましたか。桜坂さん、やはり少し変ですよ。確かにヤマハさんは楽器の会社ですが私達は通信機器の工場見学に呼ばれたんですよね? なのに今のところルーターのルの字も出ていません。ちょっと妙じゃないですか




妙……



失礼ながらスルガという社名はかなりありふれたものですから、別の同名企業と間違われているのかもしれません。楽器の商社とか、部品のメーカーとか




!!



(まさか……でも、そう考えれば確かに説明がつく。なんで浜松じゃなく掛川に呼ばれたのか。いきなりピアノ工場につれてこられたのはどうしてなのか)



(だとすると本当にルーター見学の案内をしてくれる人は別のところで待っているんじゃ? ま、まずい。早く連絡しないと)



は、橋本課長。すみません、僕ちょっと社長に電話してきます!




待った



うわっ! な、なんですか室見さん。いきなり足ひっかけないでくださいよ。僕、急いでるんですから。早くみんなの誤解を解いて本来の見学コースに戻らないと



誤解なんて誰もしてないわよ。これがもともとの見学コース。ちゃんと企画の趣旨に則った順路よ



え? そんなはずは。だって楽器とかピアノとか、通信機器と全然関係ないでしょう?



何言ってるのよ。そもそもヤマハが通信の世界に足を踏み入れたのは、楽器製作の蓄積があったからじゃない




……




はい?





(※)実際にはセンサーが働き轢かれません。安全第一です。

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