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ヤマハと電撃文庫の異色作『なれる!SE』のスペシャルコラボ!

なれる!SE ヤマハ?の歩きかた 第6回

2016年09月23日 11時00分更新

文● 夏海公司、イラスト●Ixy

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 ヤマハのネットワーク機器20周年を記念して、システムエンジニアの過酷な実態をコミカルに描く電撃文庫の異色作『なれる!SE』とコラボ! スペシャル短編を全7回にわたってお届けするぞ。楽しく読めてヤマハのことをもっと知ることができる内容になっているので、ぜひチェックしてね!
5回目はこちら

登場人物

室見立華
実力のあるネットワーク系のSEだが十代にしか見えない少女。四六時中仕事をしているワーカホリックでツナが大好き。


桜坂工兵
知識も経験もないシステム開発会社に就職した新人社会人。教育係である室見のもとで激務に追われる日々。


橋本課長
立華たちの顧客である業平産業の課長で、仕事のできるクールなキャリアウーマン。工兵の飲み友達でもある。




「そもそも中小規模の拠点でネットワーク運用上、一番問題になるシーンは何? 設定変更? 障害対応? 確かにどっちも大変だけれどもっと身近な話があるわ。そう、構成管理よ! ちょっとケーブルをつなぎ替えた。ポート不足でスイッチを増やした。こういう話は大規模拠点なら管理者がいちいち記録してくれるけど、末端の拠点だとそうもいかなくて履歴なしでどんどん構成が変更されていくの。結果何が起こるか。いざ障害が起きた時、誰も正しい構成が分からなくなる。あれ? このケーブルどこに繋がってるの? スイッチの型番違うんだけど? 挙げ句に機器のコンフィグもパスワードも分からなくなって、まさにリアル・リバースエンジニアリングの世界! てか昔、とある支社のトラブルシューティングに巻きこまれて、そこのケーブルが全部フリアクの下にもぐりこんでて、しょうがないから床ごとひっくり返して上のカーペットや机まで動かしたんだけど、先方の社員さんと一緒に『はい、持ち上げまーす』『右行きまーす』『ドンツキー』とか言って、もう何これ? 引っ越し業者? って話で。笑えることにその拠点、ちゃんとケーブルにFROM:TOのタグがついてたんだけどその通りにケーブルが挿されてなくて、多分脇のケーブルが調子悪くなってタグを変えないまま流用しちゃったんでしょうけど、あとからいじる人の身にもなれっての。何このトラップだらけのアミダクジ、しかも業務止まるから確実に影響範囲見極めない限り抜線しちゃだめとか、もうおまえらアホか、馬鹿かと。そう、それくらい中小規模拠点のLANはカオスなのよ。十年以上更改していない拠点ネットワークとかもはや腐海よ。絶対関わりたくないわ。ベンダーもそのへん分かってるから運用範囲に拠点のLANを入れなかったりするし、我々の責任分界点はルーターのLAN側ポート! もしくは直下スイッチのポートまで! とか。そんな状態で放置されたネットワークがどういう有様になるか分かりそうなもんでしょ? まぁ今まではそこを正常化しようとすると各拠点ごとに管理者を置くか、あるいはド高い資産管理ソフトを入れるしかなかったけど、そこでこれ! これですよ! はい、重要だからちゃんと聞いてね。ヤマハのRTX1210、こいつのLANマップ機能、やばい、ちょっとありえない。なんとこの機械、ルーターでありながら配下の機械・配線を自動検出してGUIのマップに描画してくれちゃうのね。しかも専用プロトコルで設定までできちゃう。ほら、見なさい。あなたは拠点の管理者でーす。なんかネットに繋がらないと言われましたー。そんな時、同一LAN上にあるPCからブラウザでRTXにアクセスするとあらびっくり! ルーターの配下にあるスイッチ・AP・PCやスマホが全部グラフィカルに見えちゃう。しかも正常時の構成(スナップショット)と比較することでどこが切断されたか一目瞭然! やばくない? このファンタスティックな機能を実現するのがL2MS(Layer2 Management Service)と呼ばれるヤマハ独自プロトコル。これはイーサネット上で動作してヤマハの機器を検出、事前の設定一切不要で各機器が認識されるのよ。それがどれだけすごいことかはSNMPやSyslogみたいな他の管理プロトコルを考えれば分かるでしょ。普通ネットワーク上の機器を設定・管理しようと思ったらまずIPアドレスを振ってルーティング設定してアクセスを許可して……となるわよね? でもこのL2MSは同一拠点内の管理用途に割りきった結果、ルーティング・アクセス制御の手順を全部取っ払っちゃったのよ。結果、繋いですぐに使える! すぐに確認できる! エンドユーザの理想の世界が実現されたの。分かる? この概念を推し進めると今度は配下機器のコンフィグをルーターに持たせてスイッチ故障時に交換・再接続するだけでサービス復旧なんて動作も実現できちゃうの。名付けてゼロコンフィグ。はい、もう分かるわよね。今説明したもので中小拠点で起こりうる殆どの運用課題に対処できちゃうの。機器の設定、構成管理、故障時の交換対応! 今までだったら専門の管理者を置くかド高い保守サービスを契約するしかなかったものがルーターの基本機能だけで提供出来ちゃう。そんな凄まじい機能を持つRTX1210がなんと税抜き125,000円! いい? 某「J(ピー)1」とか某「(ピー)手」がソフトウェアだけでン百万する御時世に125,000円よ! もちろん使われるシーンも規模も違うものだけれど、SOHOユーザーにはベストプラクティスマストバイでしょ! という状況で『ヤマハさん、ソフトウェアでも作ったらどうですかー、あははー(棒)』とかよく言えたものね、桜坂。私だったら羞恥の念に耐えられず会議室から逃げ出してるわ。そもそも私がどんな思いでこのLANマップをモニターしていたかと言えば--」



「……」




「……」



「……」


「(こほん)あら? なんでヤマハさんの説明止まっちゃってるのかしら。どうぞ続けてください。私の独り言なんて気にせずに。オホホホ」




「いやいやいや! 無茶苦茶ノリノリで熱弁してたじゃないですか! 何、素知らぬ顔でオーディエンスに戻ろうとしてるんですか! 不自然すぎますよ!」




「な、何も不自然じゃないわ。ちょっと補足を挟んだだけでしょ。あんたみたいな素人でも分かりやすいように。それを熱弁とか、過剰反応すぎるわ」




「過剰なのは室見さんの誤魔化し方です! というか変だ変だと思ってましたけど今の話といい、これまでの反応といい、室見さん、ひょっとして」


「(ギクリ)」



「ヤマハの競合のスパイですね!」



「なんでですか!(ハリセン)」




「は、橋本課長……? どこからそんな突っこみ用具を」




「細かいことは気にしないでください。というか今の流れでどうしたらそんな結論が出てくるんですか、桜坂さん。天然にもほどがありますよ」


「そ、そうですか? だって普通に考えたらさっきの話、室見さんがヤマハの大ファンってことになっちゃいますよ。わざわざ製品の機能を調べて、スペックやセールスポイントまで追っかけて。でもありえないでしょう(H田をうかがいながらひそひそ声で)室見さんはヤマハの機械を採用することにずっと反対していたんですから」




「……それはそうかもしれませんが、同じ会社の人をつかまえて『競合のスパイ』とか苦しすぎるでしょう。御社はルーターの独自開発でもしているんですか?」



「してません……けど(ゆるゆると室見を見る)」




「(同じく室見を見る)」



「……(冷や汗たらり)」


「室見さん、まさか本当にヤマハルーターのこと好きなんですか?」




「そ、そんなこと」


「あああっ!」




「わ、びっくりした。どうしたんですか、H田さん。いきなり」



「いや思い出したんです。今の室見さんの体験談、どこかで聞いたと思っていたんですが……そう、rt100i-users MLの○○○番、"ツナ缶まっしぐら"さんの発言です! ほら、このメールアーカイブ!」



(液晶画面に表示されるLANマップへの熱い思い、約1000行)






「……」


「……」




「……」




「室見さん?」




「も、もう分かったわよ! 私はヤマハルーターが好きよ! 大ファンよ! 認めればいいんでしょ! 認めれば!」

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