グーグルが今年も元気だ。
モールス、マジックハンド、パタパタ、ピロピロ。毎年4月1日に日本語入力装置を発表してきたグーグルが、今年も新製品を発表した。「Google日本語入力物理フリックバージョン」だ。発売日・価格は不明、設計図はGitHubで公開中。
Google日本語入力物理フリックバージョンは、グリッド(格子)状になったバーチャルキーボードを上下左右にスライドすることで入力する、スマホの「フリック入力」を物理的に再現したBluetoothキーボード。
キーは12個+補助キー8個の合計20個、キータイプは二軸ポテンショメーター搭載メカニカルスイッチ方式。キーピッチは29mmだ。Bluetooth SPPプロファイル対応のPC、Chrome OS端末、Android端末で動作する。iOSは不明。
GitHubで公開されている部品表によれば、マイコンモジュールがArduino Nano、BluetoothモジュールがRN-42-I/RM、スイッチ組み込み用のモジュールがSJoys 2-axis joystick moduleなど。
Google日本語入力物理フリックバージョン紹介動画によれば、Google日本語入力が簡単な入力方法にフォーカスしすぎたあまり「入力できた実感」を失ってしまっていたのではないかという反省から開発がスタートした。
スマホの画面をなぞるというのは感覚的に違和感がある。やはり実際に手でふれている実感を持たせたい。そう考え、いままで仮想的だったフリック入力を物理キーボード化しようと開発をはじめたのだという。
課題は物理化により、フリック入力の利点をさらに進化させること。
押し込み+上下左右4方向、合計5方向を認識させるためセンサーを20個のキーに搭載。キーの傾きに合わせキー配置を調整し、スムーズな入力を実現した。
ねらいは“パソコン離れ”が進んでいる若者層だ。
スマホの入力には慣れているが、パソコンの入力には慣れていない。物理フリックキーボードを使えば、親しみのある方法で入力できるのではないかと考えた。
また、グーグルは同時に、開発中のデバイス「フリックセンサー」も公開。
電卓のボタンのように格子状にならんだものをすべてキーとして認識、好みのものをフリックデバイス化できるデバイスだ。たとえば、食べかけの板チョコレートなども、グリッドを生かしてキーボードにできるという。
Google日本語入力物理フリックバージョンは日本で生まれた製品。グーグルでは今後、日本だけでなく世界でも普及をねらっていくかまえだ。
「日本語入力においてフリックというのは重要な位置を占めていくんじゃないかと思うし、文字の特性を生かして個性的なインターフェースをつくっていくというのは日本以外の国にも考え方が輸出できるかもしれない」
なお、歴代のGoogle日本語入力キーボードは以下のとおり。ちなみに製品については4月1日なので、念のため。たぶんデザインはパンタグラフだ。
●歴代Google日本語入力キーボード
2010 Google日本語入力ドラムセット型キーボード
2011 東日本大地震発生のためおやすみ
2012 Google日本語入力モールス版キーボード
2013 Google日本語入力パタパタバージョン
2014 Google日本語入力マジックハンドバージョン
2015 Google日本語入力ピロピロバージョン
2016 Google日本語入力物理フリックバージョン
●Google日本語入力物理フリックバージョン
対応機種:Bluetooth SPPプロファイルに対応したPC、Chrome OS 端末、Android 端末など
キータイプ:二軸ポテンショメーター搭載メカニカルスイッチ方式
キー配列:格子状配列
キーピッチ:29mm
キーストローク:左右フリック約10mm、上下フリック約8mm、押し下げ約0.7mm
キー荷重:フリック最大120gf
押し下げ:760gf
消費電力:0.3W
付属品:傾斜スタンド、両手持ち用ストラップ、モード切り替え用キートップ(英数字、絵文字、無刻印)、ご愛用者登録ハガキ
サイズ:幅240mm×奥行き180mm×高さ50 mm(スタンド含まず)
重量:600.13 g
カラーバリエーション:青、赤、黒、茶、白
設計図:GitHubで公開中
URL:https://www.google.co.jp/ime/furikku/
盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、記者自由型。好きなものは新しいもの、美しい人。腕時計「Knot」ヒットの火つけ役。一緒にいいことしましょう。Facebookでおたより募集中。
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