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ASCII STARTUP 今週のイチオシ!第1回

平均単価300万円!ALLSTOCKERは建設機械の国際ネット取引所を目指す

2015年11月20日 11時00分更新

文● 北島幹雄/大江戸スタートアップ 撮影●曽根田 元

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「コマツ HD785-7」。中古価格で79万ドル(約1億円)。画像はALLSTOCKERの出品物。

 「大型商品では不可能と言われていた部分を容易にしたい」

 開発著しいアジア地域では、いま多くの建設機械が求められており、特にメイドインジャパンの製品は人気が高い。『ALLSTOCKER』(オールストッカー)は、そのような需要を背景にした、オンラインで中古建設機械の売買を行うマーケットプレイスだ。

 国をまたぐため輸送面での手間が大きく、メンテナンスには独自の技術や部品など多くのやり取りが求められ、さらには数百万円規模の金額がベースとなる建設機械の中古取引。品質、決済、運送などで重いハードルをもつため、従来ネットでの完結は難しかった。

 だが、そのようなやり取りがスマホから簡単にできるとしたらどうなるのか。既存の業界では不可能と言われていたことを実現するのも、スタートアップならではの醍醐味だ。Amazonやアリババをライバルと目する彼らの戦略を聞いた。

平均単価300万円の大型・高額商品マーケットプレイスがある

 建設機械や農業機械、車両から工作機械に至るまで、産業機械全般を扱うオンラインマーケットプレイスALLSTOCKERを運営しているのがSORABITO(ソラビト)だ。総額約20兆円といわれる超巨大なアジア建機市場をITで変えることを意気込み、建設機械・農業機械などのネット取引所運営を目指している。

 同社の立ち上げは2014年5月。愛知県で起業後、建設機械業界に対してさまざまな切り口でウェブサービスの導入を行った。2014年には名古屋スタートアップデイ(参考記事)、2015年にはシンガポールで開催されたTech in Asia Tour Road to Tokyo 2015で優勝するなど、各所で期待を集めている。

 本格的なテストマーケティングは昨年9月より開始。2014末までにヒアリングを重ねて、今年3月にALLSTOCKERがプレオープンした。9月にはGMO VenturePartnersから1億円、さらに複数の著名エンジェル投資家からの出資を受け、総額1億円超の第三者割当増資をすでに行っている。

 「Made & Used in Japanの建設機械への需要は非常に高く、世界中からバイヤーたちがALLSTOCKERに殺到している。国産機械の掲載台数はすでに業界1位。11月の正式版リリース後は国内外での発信をさらに強化し、日本発・世界規模でのサービス展開を行っていく」と語るのは、SORABITOの青木隆幸代表取締役CEO。

SORABITOの青木隆幸代表取締役

 ALLSTOCKERは立ち上げ直後、たちまち140カ国超のユーザーを獲得。信頼度が高く人気のある日本産機械を中心に、これまでに累計約15,000台が登録された。特に東南アジア諸国のユーザーが多く、発展著しい地域での注目度が高いという。

 ベータ版ではあくまで企業間のマッチングサイトとして、建機の売買をつないでいたため、実際の成約状況までは追跡していない。それでも、売買平均単価は300万円、半年での掲載総額は450億円に達したという。

 「まずはプロ同士によるマッチングプラットホームとして自由に使ってもらっていた形。そもそもインターネット上にはこのような場がなかったので、コミュニケーションやビジネス上の齟齬などのトラブル回収をまずは目指していた。日本にユーザーが来るような場合は、詳細なアンケート取るなど徹底的な分析を目指している」(青木代表)

 そもそも平均単価が300万円という形での”大型で高額な商品の取引のECでの前例”は世界的に少ないという。明確な成功例がまだないため、トラブルも多い。SORABITOが目指すのは、大型商品売買のスタンダードとなるようなプラットホームだ。国際的な売買ができる場所として、中立的な取引所となるように設計しているという。「たとえるなら東京証券取引所のような中立的な位置で、世界を変えるようなサービスをつくりたい。世界展開を見越して進めている」

コマツの2006年式ブルドーザー「コマツ D65PX-15EO」。中古価格で1296万円。画像はALLSTOCKERの出品物。

高額でのインターネット取引につきまとう不安

 SORABITOの事業の源流は、「建機をインターネットで売買したら面白いのでは」と、ヤフオクでの建機売買に挑戦したところにある。

 青木代表の生家は建機売買のほか、建機オペレーターや整備士も抱える地元でも知れた愛知県の中小建設企業。社長である父の背中を幼少から見ており、起業に興味があった青木代表は、建設機械国内最大手の小松製作所(コマツ)が主催する経営者セミナーなど学生時代から参加していたという。「当時は『(家業を)継いだら買ってね』とよく言われていた」(青木代表)

 重機のインターネットでの取り引きに商機があると見て、父の企業の一事業部として独立採算での取締役として参加した。「事業部といっても、手元にお金はない状況で、そもそもスタート時点で売買の”買う”ができなかった。困ったところで社内の整備の人に話を聞くなどしたところ、3年前に使ったきりで、今後も使われない建機があることを知った。イチから整備を行い、修理をしてヤフーオークションに載せてみたら、すぐに買いたいという声が殺到し、驚いた」

 結果、売却によって数百万の元手を入手した当時の青木代表は、買っては売るを繰り返す。コマツのOBを招き、仕入れ・整備・販売の体制を整え、当時業界では珍しかった建設機械のインターネット買い取りなどを開始。とにかく球数を集めて、1年3カ月でネットを通じた買い取り案件の獲得数で業界最大規模になった。だが、結局そこで壁に当たってしまった。一番の課題はキャッシュフローだ。

 青木代表が痛感したのは、愛知県から東北地方まで建機を自ら買い付けに行ったときだった。自動車業界のようにネットを通じた売り買いの慣習は固まっていないため、お金を先に渡すのが難しく、ネットでのやり取りとはいっても、最後はあくまで信用に頼った直接取引になる。大金を持って移動した先に待っている顧客は本当にいるのか。実際には建機すら存在しない場合など、詐欺や製品詐称といった犯罪に巻き込まれてしまう可能性もある。

 「(建機は)売るのが大変。さらに、売り先があってもモノが簡単には集められない。隣の県にちょっとした建機があったとしても、確認から買い付けまでタイムラグがある。当時はマッチングも難しかった。300万円もの大金を懐に入れての移動を誰に任せられるのか、既存のサービスをベースにした取り組みでは限界があるとわかった」

 では、ALLSTOCKERではどのような解決を行うつもりなのか。

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