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セブン&アイの「オムニチャネル戦略」を読み解く(2)

2015年09月25日 07時08分更新

記事提供:通販通信

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御用聞きサービスでネットが苦手な層を取り込み

 オムニセブンでは、店舗での受取りサービス以外にも、返品・返金サービス、お急ぎ受け取りサービス(即日配送)、店舗への365日配送、接客端末での御用聞きサービスなどの店舗サービスを実施する。即日配送は、関東1都6県の約7000店舗を対象とし、朝7時までに注文すれば、当日の19時以降に店舗で商品が受け取れる。送料は300円。

 御用聞きサービスでは、店舗の販売員が専用のタブレットを利用して接客し、旬なお得情報を来店者に提供する。ネットが得意ではない来店者に対し、販売員が個別に接客して顧客の要望に応える。また、同サービスは店舗の来店者だけが対象ではなく、商品配送時に顧客の自宅でも実施する。この御用聞きサービスは、お食事お届けサービス「セブンミール」などでも実施している取り組みで、オムニセブンのサービスにも盛り込まれた。

 オムニセブンで販売される商品は、女性向けファッションの新プライベートブランド(PB)「SEPT PREMIERES(セット プルミエ)」など、さまざまなPB商品が中心となる。スタート時は180万点だが、2018年度には約600万点の品ぞろえを目指す。ネット経由の売上高目標は、2018年度で1兆円とした。

 オムニセブンのロゴマークとWEBサイト、梱包のデザインは、日本を代表するデザイナーの佐藤オオキ氏が手掛けた。WEBサイトは全体の色味を抑え、見やすく検索しやすいようにデザインした。

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「ニッセン」が参画すれば会員規模がトップクラスに

 カタログ通販の「ニッセン」はオムニセブンには組み込まれなかったが、商品をセブン‐イレブン店舗で受け取れるサービスを開始するなど、オムニチャネル戦略の全体の動きと協調している。ニッセンはセブン&アイのグループ入り後も収益性が改善せず、リストラを慣行するなどの経営合理化策を実施。グループ内での存在意義を問われる状況になっていたが、オムニチャネル戦略ではその集客力をグループに還元できるポテンシャルがある。

(株)ヴァリューズ発表の「ファッション通販サイトの訪問者数・訪問頻度ランキング」によれば、ニッセンの通販サイトは訪問者数で2位に入り、グループのサイトを上回っている。会員数は3260万人(2014年末)と、ファッション通販サイトではトップクラス。稼働客は年々減少傾向にあるが、会員数ではnanacoの会員数約4000万人に見劣りしない。セブン&アイHDは、ニッセンのオムニセブンへの参画を検討中としているが、ニッセンが加われば、顧客情報は約7260万人で、オムニセブンに統合された8サイトの会員などnanaco以外の会員も合わせれば、楽天会員の1億110万人(15年6月時点)に匹敵する規模となる可能性もある。

 オムニセブンのサービスは、現時点で店舗サービスがメインで、顧客情報を活用したマーケティング戦略、オムニセブンでnanacoを使用した場合のメリットなどはまだ明らかになっていない。グループ外の企業との提携も検討中で、今後の展開に注目が集まる。

(山本剛資)

セブン&アイの「オムニチャネル戦略」を読み解く(1)

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