もうすぐ夏だ。夏といえばCPUクーラーとグリスの見直しシーズンであり、冬場はフツーに動作していた自作PCも、夏の暑さで悲鳴をあげやすい。自作PCを組んだことがある読者諸君においては、恒例行事だと思う。
昨夏は妙に最高気温が高く、筆者もゲームプレイ中にPCが突然のシャットダウンすることも多々だった。この場合、爆音主義であればうるさいだけで冷え冷えなのだが、それなりの静音を求めはじめると、何かとイバラの道である。
さて、CPUクーラーとCPUグリスの関係を思い出してみよう。CPUから生じた熱を、CPUグリスを介して、効率よくCPUクーラーに伝える。CPUクーラーの性能だけでなく、CPUグリス自体の性能によってもBIOS読みの温度はかなり変化するため、お気に入りのCPUグリスを使用する人もいれば、毎回異なるCPUグリスを使用している人もいるだろう。
ということで、ふとCPUグリスを統一環境下で変更したらどうなるのか……と気になったので、今回はサーモグラフィーの「FLIR E8」を用意して、その変化を実験的に見てみることにした。
第1回はCPUグリス、第2回は熱伝導性シート、第3回はエクストリームとわけているので、これからのグリス選びの参考にしてほしい。
CPUとCPUクーラーの間でがんばる
あの製品の実力をチェック!!
チェック条件
CPUには「A10-6800K」を使用し、CPUクーラーはリテールを採用。パーツはバラック組みで、まな板上での確認とした。計測タイミングはBIOS画面で10分放置した段階での温度とし、ファン回転数は3144PPM前後に固定。環境温度は22度前後である。
テスト環境 | |
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CPU | AMD「A10-6800K」(4.1GHz) |
マザーボード | MSI「FM2-A85XA-G65」(AMD A85X) |
メモリー | CORSAIR「CMD4GX3M2B1600C8」 4GB×2 |
HDD | Samsung「MZ-7KE256B/IT」(Samsung SSD 850 PRO 256GB) |
電源ユニット | Thrmaltake「TP XT-850AH3CCB」(850W) |
まずは手持ちのシルバーグリス
「Arctic Silver 5」でチェック
トップバッターは、シルバーグリスの「Arctic Silver 5」だ。迷ったらコレという人もいるだろうし、筆者も長くこの製品を愛用しているので、基準値的な意味も込めて最初に計測することにした。
計測結果はBIOS読みは38度、サーモグラフィーでは42度となった。以降の計測でも同様だが、BIOS読みの温度が低く、サーモグラフィーでの計測、つまりCPUクーラーの最高温度部がBIOS読みの温度に近ければ、それだけ熱が伝わっているものだと判断できる。
今回検証したグリスの中で本製品だけが、CPUクーラーの温度がCPUよりも高くなった。熱源より高温になっているのが不思議だが、それだけクーラーに熱をしっかり伝えられているのかもしれない。
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(→次ページヘ続く 「定番シリコングリスを比較」)
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