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顧客満足は当たり前 「リネット流」サービス改善の極意 (2/2)

2015年04月20日 11時00分更新

文●野本纏花

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︎徹底したカイゼンで満足度向上を目指す

顧客満足度にこだわるリネットだが、唯一、ECの弱点として、サポートの難しさがある。注文前の段階なら、ユーザビリティを上げるためのA/Bテストや、よりわかりやすいコンテンツへの見直しなどで、ある程度のフォローができるが、仕上がった商品に対するクレームにはWebサイトでは対応できない。現在は、電話とメールで対応しているが、品物を目の前に説明できないので、意思疎通を欠いてしまうこともある

そこで対策として、サービス利用後に、毎回必ずアンケートを取り、工場に直接フィードバックするシステムを作った。アンケートでは、接客の仕方・サービスの流れ・料金体系・品質に対する不満など、かなり細かく回答してもらう。顧客の不満だけでなく、喜びの声も工場へ届けることで、日々サービスの改善に努めている。また、定期的にお客さまと直接会ってインタビューする調査も実施している。

クレームにならないように、事前の説明をするサイトの役割は、会員数が増えれば、増えるほど重要になる

一方、提携工場のオペレーションスタッフの満足度にも気を配っている。工場で働くスタッフの中には、PCに触ったことがない人もおり、できるだけ人為的なミスが発生しないようなシステムを自社開発した。工場に届いた洗濯物の検品が終わるとワンクリックで顧客へメールを送る、梱包前の最終チェックでバーコードを読み込む際に商品が揃っていないと発送できないようにするなど、オペレーションを単純化・効率化するきめ細やかな機能を盛り込んだ。

「工場では誰でも簡単に使えるように、操作が簡単なタブレットを導入しています。将来的には音声入力も視野に入れ、よりわかりやすいUIを目指して改善を続けています」

顧客だけでなく、オペレーション現場の満足度にも配慮が必要となるのは、サービスECの大きな特徴の1つだと言えるだろう。

クリーニング業界に吹く、希望の風

2015年2月、ホワイトプラスは4億円の増資をした。増資分はサービス向上のために、優秀な人材の採用とサービス品質の改善・開発にあてる予定だ。

「クリーニング業界を変えたい、質を上げたいという人たちと新しい世界を築きたい」と斎藤氏

「リネットはクリーニング業界を壊すのではないか」と誤解している人も多い。だが、斎藤氏らが目指すのは、縮小している市場を変えて、業界全体を盛り上げることだ。反発の一方で、リネットの成長につれて、クリーニング業界が新しくなるという期待感も高まってきている。業界を変えたい、クリーニングの質を上げたい、という思いを持った人たちが集まり始めている。

「そういう人たちと一緒に、新しいクリーニングの世界を築いていきたい

ホワイトプラスは、創業時に学んだ「ちゃんとやり遂げる信念や志」を、これからも貫くのだろう。

※ ※ ※

10年前にネットで服を買うことは一般的ではなかったように、クリーニングはネットで出すのが当たり前の時代が来る、と確信している斎藤氏。「ネット」×「リアルサービス」をコンセプトに、ネット化されていない生活サービス領域のイノベーションをミッションに掲げるホワイトプラスでは、クリーニングだけでなく、ネット宅配型トランクルーム「HIROIE(ヒロイエ)」をすでに事業展開している。ホワイトプラスのチャレンジは、サービスECに取り組む他の企業にとっても刺激になりそうだ。

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