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検索エンジン対策のためのディレクトリ登録は不要、SEO効果に疑問

2014年12月22日 14時57分更新

記事提供:SEMリサーチ

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ここ2年あまりの間に、SEO効果を謳っていたディレクトリ登録サービスの大半が事業から撤退していきました。今後、検索エンジン対策を進めるうえでディレクトリへの登録はどのように考えたらいいのでしょうか。現在も「SEO ディレクトリ登録 効果」などといったキーワードで来訪する方が多いで、ここで総括してみます。

先に結を述べると、一般論として「ディレクトリ登録は不要」で良いと思います。ただし、その SEO の対策を始めようとする人が、大企業なのか、それとも SOHO なのか、Webサイトの扱うトピック、ビジネスモデルの違い等、皆さんのスタート地点によって判断は変わります。

SEO 界隈の諸々の事情も考慮しますと、大方「ディレクトリ登録は不要」と考えて差し支えないでしょう。検討すべきケースは「(企業・個人が)インターネットで初めて Webサイトを独自ドメインで公開して、しかも紹介する相手・友だちも少ないケース」などが挙げられますが、それは後半で触れます。

【おことわり:本記事は主にSEO初心者(半年未満)や、自分で様々な情報に目を通してSEOの勉強をしている方々を想定しています】


はじめに:ディレクトリ登録とSEOの効果を考える

自然検索順位を改善するためにSEOを勉強して、自分でできる施策をあれこれと試している方は、きっと外部リンク対策において「ディレクトリへの登録」を検討する場面に遭遇するに違いありません。本サイト(SEMリサーチ)を含め、特に古くから情報発信をしてきた国内・海外SEO情報サイトは、多かれ少なかれ外部リンク対策の文脈において「ディレクトリ登録」について言及しているからです。

SEOを勉強し始めた方であれば過去の経緯などまだ知る由もなく、ディレクトリ登録というのはSEOに効果があるかもと考えて、効果がありそうなサイトへ掲載申請をコツコツと送信している方もいらっしゃることでしょう。

ただ、2000年からの15年あまりの月日を経て、SEO におけるディレクトリ登録の意味や価値は、全く違うものへと変わっています。そこで本記事では、2014年12月時点において、SEOのためのディレクトリ登録の是非と、その理由について述べたいと思います。


ディレクトリ登録が推奨された背景は「インデックス」と「リンク獲得」

別記事「ディレクトリ登録とSEOの歴史 (2) "SEO"の用語誕生からGoogle台頭時代」で詳しく紹介しているので合わせてお読み頂きたいのですが、当時(1995年〜2010年)は (1) 自分のサイトをより早く検索エンジンにインデックス(データベースに登録して検索可能になる状態)してもらうため、(2) 人気サイト(ここでいう「人気」は当時の定義)からリンクを獲得するため、という2つの意味がありました。

※ SEO効果とは直接関係ありませんが、1990年代後半から2000年初頭までは「ディレクトリ検索サイト登録によるトラフィック流入」という3つ目のメリットがありました。Webサイトへのアクセスアップという意味では手軽に登録できるディレクトリ検索サイトへの掲載は意味があったのです。しかし今日、皆さん自身の日常の検索行動を思い浮かべて頂ければ想像に難くないように、Google や Yahoo!検索に代表されるアルゴリズム型検索が一般的であり、わざわざディレクトリ検索サイトで情報探索するユーザーなど皆無です。したがってトラフィック獲得という意味でのディレクトリの(ウェブマスターにとっての)有用性はほぼ失われていますので、以下、本稿では特にこの論点は言及しません。

サイト運営者であれば、自分のサイトをできるだけ早くデータベースに登録してもらって検索経由の来訪者を増やしたいですし、また、外部リンクの獲得によって順位改善が期待できるならば、出来ることから始めたいと考えるはずです。この2点の要求を満たすものが「ディレクトリ登録」だったのです。

しかし15年あまりの月日が流れ、「インデックスを促進するため」という理由も、「リンクによるSEOへの効果」という理由も、ほとんど意味のないものへと変わっています。

この背景について述べていきます。


背景(1):クローラ性能が向上し、ディレクトリ登録に頼らずともインデックス登録が容易になった

今日の Google や Bing はいずれも高性能なクローラ(インターネットを巡回してウェブページをデータベースに登録していくソフトウェア)を有しており、最早、ディレクトリ登録などとう手段を使わなくても容易に皆さんが作ったサイトを登録して検索結果に表示することが可能になったことが1つ目の理由です。

私たちは今日、世界でたった今起きた出来事や今日のニュースを、Google 検索を通じて直ぐに見つけ出すことができます。例えば、ファンだった芸能人の○○○が本日結婚を発表したというニュースを聞いて Google でその人物名でぐぐれば、その話題についての最新のニュースを知ることができるはずです。リアルタイム検索であれば、検索キーワードに関連するほんの数秒前に誰かが発信した投稿を即座に検索できます。検索エンジンの持つインデックスデータベースは、文字通りリアルタイムで更新され、検索結果画面に反映されます。

しかし2000年頃の検索エンジンのインデックス更新頻度はおよそ30〜60日でした。つまり、いま現在検索できる情報は1か月以上も昔の情報ばかりでしたし、今日インターネットで発信された情報が検索可能になるのは1か月も待たないと検索で探せなかったということです。当時の検索エンジンのクローリング技術には性能の限界があったために更新頻度も遅かったのですが、それに加えてカバーする(検索対象とする)ページ総数も現在と比べれば非常に小さなものでした。インターネットにあるはずの情報が、データベースに取り込まれなかったために検索できない、そんな情報はたくさんあったのです。古くから業界にいる方であれば「ペイドインクルージョン(Paid Inclusion)」というサービスがあったことを記憶されていると思いますが、そういうものが有料で別途用意される時代でもあったわけです。

SEO の推奨対策法としてディレクトリ登録が紹介されたのは1990年代後半からですが、SEOという言葉が確立し始めた2000年頃には、後述する Google PageRank の概念が理解されてきた時期であることも重なり、定番の SEO施策として広く知られるようになります。「検索エンジンに早く自分のサイトを登録してもらう」方法として、推奨されてきたのです。

しかし現状を踏まえると、もはやインデックス促進のために積極的にディレクトリ登録を利用する必要性が失われています。そこそこに外部から参照リンクが張られていれば、新規にページを公開すると早ければ数秒、遅くても数日でインデックスに反映されるからです※。また、インデックス登録完了までの時間を短縮したいのであれば、XMLサイトマップ、RSSフィード、Ping など数多くの代替手段が登場したからです。アメーバブログやFC2ブログなどのブログサービスであれば、それこそ勝手にクローラがやってきてインデックスに反映されるでしょう。

以上の通り、2014年現在、理由の1つは失われたのです。次に、もう1つの推奨理由であった「外部リンクとしての効果」について考えてみましょう。

※ この話をすると(サイトを全く更新していないにもかかわらず)1度クローラがやってきて以後、全然クローラが回ってこないんですが〜という質問をされるのですが、更新されてなければクローラが来ないのは当たり前です


背景(2):リンク分析アルゴリズムが改善され、ディレクトリサイトからのリンクの価値が変化した

現在と当時のウェブ環境は全く異なります。2000年といえばブログもなければ Twitter も Facebook に代表されるソーシャルネットワーキングサイト(SNS)も存在しません。当時 Google がページの重要度評価に用いていた PageRank(ページランク)も、極めて単純でリンクスパムが行われることがあまり想定されていない(そういう設計は考慮されていない)アルゴリズムでした。

当時のインターネットでリンクを発信してくれるのは、企業や組織・団体のほかは、ジオシティーズやトライポッドなどの無料ホームページを開設したり、あるいは自分でホームページをゼロから立ち上げたほんの一部のユーザー程度でした。つまり今日と比較すると、外部からリンクを張ってもらうという機会も方法も極めて限られていたのです。

そうした状況だったからこそ、自分の努力で(≒審査を通過する程度のレベルのサイトでさえあれば)外部から、しかも Yahoo!ディレクトリや当時のLookSmart や DMOZ (Open Directory Project)といった人気サイトからリンクを得られるというのであれば、やらない選択肢はないでしょう。先述した早期のインデックス登録に加えて、外部からのリンクを得るための方法としてディレクトリ登録がお勧めされていたのです。

しかし2014年現在は全く状況が異なります。外部リンクを欲しがる企業や個人のために、SEO専用に設計されたディレクトリが乱立し、スパムが氾濫して検索各社の自然検索結果を汚染することになりました。そこで Google はリンク構造を解析するアルゴリズムを進化させ、あの手この手で攻撃してくるリンクスパムを排除しつつ、本当に価値ある、重要性の高い情報を発見可能にするためにアルゴリズムを進化させてきました。

その結果、SEO向けに設計されたディレクトリの大半は、Google からのガイドライン違反通告によって市場から撤退していきました。ここ日本を見ても、この2年間のうちにSASOU Directory産経ディレクトリ、 BPNディレクトリプロバイダーリンクJエントリーLookSmartといった多くのディレクトリ検索サイトが閉鎖してしまっています。海外でも、実質的に人工リンクを提供しているとみなされたディレクトリは発リンク(皆さんのサイトに向かうリンク)に nofollow タグが加えられ、検索エンジンの評価対象から外す(つまりSEO効果はゼロ)ように対策されています。

2014年現在もまだ個人レベルで運営されている中小規模のディレクトリ検索サイトは残っていますが、そうした小規模なサイトから皆さんのサイトへの発リンクが、今日のリンク構造解析アルゴリズムにおいてどの程度の評価が加えられるのか、そのSEO的効果の妥当性には疑問が残ります。今日のインターネット環境において、Google が「価値のあるページ」を特定するために評価するリンクは、単にカテゴリ別に集められただけのリンク集ではなく、ユーザーが価値を認める文脈において加えられたオーセンティックな(参照価値がある)リンクなのです。

以上のように、ディレクトリを装ったスパムリンク氾濫と、リンク関連アルゴリズムの正統進化により、ディレクトリ検索サイトから発信されるリンクの価値が大きく減少することになったのです。


検索以外の方法でリンクが伝播・拡散する機会が増えた

ディレクトリから得られる発リンクの価値については上記の通りですが、もう1点、その外部リンクを獲得できる機会そのものもインターネット環境の変化により、多様化しました。多様化したからこそディレクトリ登録への依存度も無視できる程度に失われています。

今日、数百万以上ものユーザーがTwitter や Facebook あるいは自身のブログやホームページを通じて情報が伝播・拡散しています。それを受け取った人がまた再共有したりブログで紹介したり、あるいはソーシャルブックマークで話題の情報が発見され露出されるようになりました。こうしたウェブ環境変化により、10年前と比べると遥かに参照リンクを得る機会が増え、またインターネットが日常生活に浸透したこともあり、マーケティング手法の工夫によって外部からの参照リンクを獲得する方法も多様化しているのです。

Google がコンテンツの価値を適切に判断するためのアルゴリズム強化に力を入れ、SEOの世界でもトピカルオーソリティ※やレピュテーションを構築するために、コンテンツ戦略の強化に取り組むようになりました。SEO 推進のためにコンテンツマーケティング推進が必然となるならば、その取り組み自体で外部からの参照リンク獲得機会も大幅に増加することになり、同時にディレクトリ登録による外部リンク獲得機会という価値も無視できる程度に減少することになるのです。

※ トピカルオーソリティ(Topical Authority):ジャンル別の権威性。料理レシピならクックパッド、天気予報なら気象庁といった具合に、このカテゴリならこのサイトが一番人気/信用できるという存在になること(参照:オーソリティ(権威性)とは


ディレクトリ登録によるSEO効果は疑問であり、不必要

話をまとめると、元来SEOにおいて謳われていたディレクトリ登録の目的は、インデックス登録を早めることと、外部リンク獲得の2点でした。しかし、前者についてはクロール性能が大幅に強化されたことで必要性が薄れました。後者はもっと優れた外部参照リンク獲得のための代替施策や機会が増えたこと、低品質なディレクトリへ掲載するとスパムリンクと判定されるリスクが存在することを考慮すると、積極的に登録する必要性が失われています。

こうした背景を踏まえますと、今後(2015年〜)、SEO のためのディレクトリ登録は基本的に不要と結論づけて問題ないでしょう。効果的な検索エンジン対策を進めていくためにはコンテンツマーケティングへの取り組みが必須と言われている今日の状況を踏まえれば、それの積極推進によって従来ディレクトリ登録に求めていたSEO効果と同等以上のものが自然と獲得できますから、あえて追加のコストをかけてディレクトリへの掲載作業をする合理的な理由は見当たりません。

実際には、未だに効果のある(そのディレクトリからの流入が見込めるという意味と、SEO 価値があるかもしれないという意味)ディレクトリはあるかもしれませんが、良いディレクトリと悪いディレクトリを見分けるスキルを要します。しかし、そのスキルをお持ちの方であればなおさら、ディレクトリ登録に依存する、取り組む理由がないはずです。


Yahoo!ビジネスエクスプレスはどう考えれば良い?

一般論として述べるならば、五万円支払って1本のリンクを獲得しにいく意味は失われていると言えるでしょう。ただ問題なのは、この登録先がヤフーであるという点です。

というのは、「Yahoo!カテゴリに掲載されています」という一言が、そのビジネスに信用を与えてくれるケースというのがあります。地方の小さな商店などでは、この文句だけで信用されることがあるのではないでしょうか。つまり、Yahoo!ビジネスエクスプレスは、Yahoo!という場に掲載されることの SEO 以外のメリットが見いだせるのであれば、登録を検討しても良いと思います。SEO のみの効果を求めるのであれば、私ならば迷わず利用しません。

ただし、業種・業態的に外部からのリンクが極めて受けにくい、極めて専門的な事業で元々リンクが張られる機会そのものが限定されているといった特殊な事情がある場合は、Yahoo!カテゴリへの掲載を検討しても良いかもしれません。

Yahoo!ビジネスエクスプレス以外にも、まだいくつかの有料審査性のディレクトリが運営されていますが、登録は見送って問題ありません。繰り返し述べてきた通り、効果が不明、他に代替手段があるという理由から、少なくとも SEO 観点において、たとえ1円でも費用を支払って登録する価値を正当化する理由は見つかりません。ただし Yahoo!カテゴリへの掲載の論理と同様、もし、あるディレクトリ検索サイトに掲載されていることそれ自体に(SEO以外の)価値を生み出すことができるのであれば、個々人の判断で掲載を行えばよいでしょう。

  • Yahoo!ビジネスエクスプレス:Yahoo!に掲載されていること自体に意味を見いだせるなら登録すれば良い。
  • その他の有料審査型ディレクトリ:不要
  • その他の無料審査型ディレクトリ:不要(後述)


問題は「初めてのインターネットでのウェブ開設」(SOHO・個人)がSEOを検討するケース

一般論として積極的にディレクトリサイトへの登録を行う必要はないのですが、この一般論というは、(1) 既に他にウェブサイトを持っている、(2) あなたのサイトにリンクを張ってくれる友人・知人がいる、(3) もともとコンテンツが充実されていく前提のWebサイトである、という前提です。

いずれにも該当しない、例えば「初めて独自ドメインを使ってインターネットにウェブサイトを開設する、とりあえず紹介する相手もいない、最初に製品紹介ページをアップするけれど更新する予定は当面なし」みたいなケースですね。

こういうケースであれば(とりあえず外部から参照してくれるリンクを得る意味で)ディレクトリ登録をしても良い気もします。

ただし、そもそもコンテンツを拡充していくつもりがないという時点で SEO をしたいというのは時代に合わないことも留意しなければなりません。つまり、今日のトレンドに則って SEO の各種対策を進めていくのであれば、必然的に「ディレクトリ登録による効果」と同等以上のものを手に入れることができるからです。


中小規模のリンク集やディレクトリは登録不要

例外なく不要といえるのは、Yomi-Search に代表されるような広く配布されているスクリプトを利用して構築されているディレクトリ検索サイトです。「3000ディレクトリに自動登録されます」などといったものは、2014年現在、もはや検索エンジンに評価されることはまずありません。実際には個人の方が真面目に長らく運営しているディレクトリ検索サイトもあるので、そういったところを厳選して登録するのであれば話はまだわかるのですが、しかしその手間暇と前半で述べた薄い効果を天秤にかけると、やはり無理してコストをかける必要性が薄いと思います。

話は脱線しますが1990年代後半から2000年前半にかけては「いますぐリンク」なんて懐かしいリンク集への登録が流行っていました。もう過去の話です。


豆知識:Yahoo!独自検索エンジン時代と Yahoo!カテゴリの関係

話が脱線しますが、豆知識として。2014年12月現在、Yahoo! JAPAN の検索サービスの基盤は Google検索技術を採用しています。これは日Yahoo!と米Googleの提携に基づくものです。この提携が結ばれる前まで、Yahoo!検索は米Yahoo!が開発した独自検索技術・Yahoo! Search Technology (YST)を採用していました(2014年5月31日2010年11月30日)。

その YST が採用されていた時代において、Yahoo!カテゴリへの登録・掲載は極めて重要なことでした。なぜなら、YST は Yahoo!カテゴリ掲載サイトをオーガニック検索結果で優遇していたからです。Yahoo!カテゴリはサーファーがサイトを審査して掲載に値すると判断したものを集めたディレクトリなのですから、そこに掲載されている(審査済みの)サイトは、そうでない(未審査)よりもユーザーに役立つはずという理屈と推察されますが、それはカテゴリという人間の手により編集されたデータベースを持つ Yahoo! の強みを生かしたアプローチともいえます。

そういった背景があったから「SEO の最初の一歩として Yahoo!カテゴリ登録は重要」だったのですが、その YST は Google との競争に敗れて消え去った今、カテゴリ登録の意味が(Yahoo!検索を意識したSEOという意味で)完全に失われました。


まとめ:ディレクトリ登録に見いだせるSEO効果は無視できるほど小さい

ページを一番下までスクロールして結論だけ読みたい方のためにまとめますと、『もともとディレクトリ登録に求めていたSEO効果は、2014年現在はほとんど失われてしまっているので、登録する必要はない』と考えていいと思います。

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