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売上1000億円を突破、QVCの「マルチプラットフォーム戦略」とは?(1)

2014年12月09日 04時54分更新

記事提供:通販通信

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2013年に売上1000億円を突破したQVCジャパン。同社はオムニチャネルの要素を含む「マルチプラットフォーム戦略」を推進しており、10月には「YouTube」でテレビ通販番組のライブ配信を開始した。6年連続で売上を伸長させているQVCジャパンの成功の秘訣と「マルチプラットフォーム戦略」に迫った。

①スタジオ_2013年9月4日Qセレクション5

顧客接点のすべてに「お買いもの体験」を

QVCの「マルチプラットフォーム」とは、テレビ、パソコン、スマートフォン、SNS、コミュニティサイトやコールセンターなど、QVCが持つすべての顧客接点を指している。そのすべてのチャネルで、楽しんで買い物をするというQVCの「お買いもの体験」を軸にした関係性構築を目指すのが「マルチプラットフォーム戦略」だ。

オムニチャネルと異なるのは、「お買いもの体験」を軸にしている点。「QVCは楽しんで買い物をすることを大事にしています。商品の特徴を説明するだけでなく、開発秘話や社長のこだわりなどを伝えると、その商品の良さがわかってもらえる。ナビゲーターにも固定ファンがいて、『このナビゲーターが好きだから買う』という人もいます。商品だけでなく、番組、ナビゲーター、インタラクティブな演出、すべてに満足して購入してもらいたいのです」(QVC広報担当)と語り、「お買いもの体験」へのこだわりを見せる。こうした体験を経た購入者は、リピートにつながりやすく、同社の売上の9割はリピーターだという。

インタラクティブな演出で特別な体験を提供

通販サイトの写真や文章による説明では、伝わりにくい部分もある。動画であれば、ナビゲーターの軽快なトークに加え、メーカーの開発者や社長、食品の生産者など、販売者側の人となりを知ることもでき、わかりやすく安心感がある。また、QVCのテレビ通販はインタラクティブ性が高く、例えばファッションアイテムの紹介時に視聴者から「裏地はどうなっているの?」という問い合わせがあれば、司会者が「視聴者から質問がありました」として生放送中に裏地を見せるなど、双方向の演出ができる。通販は商品を直接見て触ることができないことが多いが、こうした生中継の演出により、店舗での接客サービスを上回るような体験を提供している。

テレビ通販の楽しさや安心感から、「通販はネットでなくテレビ」という層が存在し、QVCの固定客となっている。QVCのメインの顧客層は40~60代の女性。同社はこの顧客層は買い物に「楽しさ」や「情緒的満足」を求めているとしており、そのニーズを掴んでいることが成長の要因と言えるかもしれない。

②ライブ中継コントロールルーム③インタラクティブな生中継

つづく

(文:山本 剛資)

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