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EvernoteはGoogle Waveを作ろうとしているのか?

2014年10月04日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ

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 現地時間2日、米サンフランシスコでオンラインノートEvernoteのイベント「Evernoteカンファレンス2014」が開催。フィル・リービンCEOが壇上で新機能を披露した。

 米国では11月から使える新機能が、同僚や知人とノートを共有してメッセージのやりとりができる「ワークチャット」。ノートに読んだユーザーのアイコンが付くことで、既読・未読が管理できる。メッセージを送るときは、スマートフォンからはメールのように、パソコンからはチャットソフトのように見えるようデザインした。

 通常のウェブクライアントのデザインも一新した。インターフェースは基本的に隠れていて、ノートに書いた内容に応じて必要なときだけあらわれる。受信トレイによく似ていた以前のデザインに比べ、一枚の紙のようにシンプルなデザインになっている。Evernoteがデザインを大幅にあらためるのはサービス開始以来初めて。

 リービンCEOによれば、デザインを変えた理由はメタファーからの脱却だ。

 卓上をあらわすデスクトップ、書類を受けとる受信トレイ。現在のビジネスソフトのインターフェースはオフィス用品のメタファーになっている。だが「巻き戻し」で何を巻くのか知らない子どもがいるように、スマートフォンとクラウドが当たり前の世代に旧世代のメタファーは意味をなさなくなってしまうというわけだ。

 そこでEvernoteは「ワークスペース」というアイデアを提唱する。ノートを起点としたグループウェアで同僚とコミュニケーションをとることで、未来の働き方を作れるのではないかと。

 Evernoteでは米経済紙ウォールストリートジャーナル、ダウ・ジョーンズ、また米ビジネス誌ファストカンパニーなどメディアと提携。利用者がノートに書いた内容に応じて記事を配信する機能も追加した。配信された記事をクリップし、同僚とコメントをつけ合って共有するような作業も簡単だ。

 ただ、メタファーは確かに古いが、利用者にまだないものを想像させるのは困難を伴う。グーグルが2009年に発表した、まったく新しいコンセプトのコミュニケーションツール「Google Wave」は惜しまれつつもわずか1年で開発中止が発表された。Evernoteの挑戦がどのレベルで成功するかは、1年以内に分かるだろう。


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