マネックスグループ代表取締役 松本 大 CEO 写真:編集部
金融とはお金の融通。融通は仏教用語で滞りをなくすこと、転じて困っている人に広く救いの手をさしのべることを指している。21世紀、金融の世界はインターネットに広がり、いまや日本国内で個人の株取引は93%がオンライントレードだそうだ。
「金融ベンチャーが一番儲かる」
マネックスグループ 松本 大CEOは1日、金融ベンチャー(フィンテック)のイベント「FinTech Venture Meetup」でそう話した。松本CEOは1999年、わずか4人で始めたマネックス証券を15年間で1000人規模のグループ会社に成長させた辣腕だ。
意外にも競争少ない規制市場
いわゆる規制市場である金融ベンチャーはなぜ儲かるのか?
松本CEOによれば、理由は競争が少なく、規模を拡大しやすいため。金融ベンチャーには「難しそう」「金融庁が厳しそう」「すでに銀行や生命保険会社などの大資本がいる」といったイメージがあるが、こうした先入観が参入障壁になっている。
まず大資本は動きが遅い。もとの事業が大きすぎるためイノベーションのジレンマもあり、新しいビジネス領域に入ってくること自体まれだ。「一瞬同じフィールドに入るのを躊躇してしまうが、実際はほとんど敵にならない」。
次に金融庁は規制こそ厳しいものの「実際に金融庁の人たちと話すと、ベンチャーや新しいビジネスが好き」(松本CEO)なのだ。行政がベンチャーをつぶしにかかるという思い込みに邪魔されて、二の足を踏んでしまっていることがほとんどだという。
米国の成功を考えれば日本市場は大きなチャンス
事実、日本のオンライン証券会社はマネックス、SBI証券、楽天証券、カブドットコム証券、松井証券の5社がビッグファイブ。松井証券以外は15年前に出来たベンチャーで、現在この5社だけで個人向けオンライントレードのおよそ85%を扱っているというから驚きだ。
シリコンバレーにおいて金融ベンチャーの市場規模は過去5年間で3倍にまで増え、今後も成長性は増すものと予想されている。個人資産でみれば日本は米国に次いで2位の資産大国で、松本CEOいわく「米国の成功を考えれば大きなチャンスがある」。
マネックスでは現在、5000銘柄を扱える投資信託サービスを開発中。意外なことにネットの投資信託は1割あるかどうかという状況らしい。
大手金融の元従業員いわく、体が大きな金融業界に足りないものはスピード感と顧客志向。メガバンクが運営しているネット銀行や銀行アプリが使いづらいと感じたら、ノートを開いてビジネスモデルのスケッチを始めるのも悪くない。
※初出時、カブドットコム証券の社名に誤りがありました。関係者の皆様にお詫びし、訂正します。(2014年10月2日)