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kawaiiで小田原から世界を席巻「ストラップヤ」の挑戦 (2/2)

2014年07月11日 11時00分更新

文●三浦たまみ

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ヤフオクでテストマーケティング、海外専任スタッフをつけて本気で参入

 海外進出の動機はシンプルでも、海外向けサイトを“とりあえず”立ち上げたわけではない。先行して米国の『Yahoo!オークション』(当時)に出品し、携帯ストラップに対する現地のニーズを確かめたのだ。

「結果として、1997年に1人でネット通販をしていたときと同じぐらい反応が良かった。外国人のニーズは確実にあると手応えを感じました」(樋口氏)

 オークションサイトでのテストマーケティングの結果から、海外向けサイトの立ち上げを決めたハミィ。オープン当初から、サイト制作や運営を担う専任スタッフを配置して、“本気で”スタートを切った。

 海外向けサイトの年商は、2003〜2004年度が200万円、05年度が1000万円、06年度が2000万円、07年度が5000万円と前年比倍以上に成長。かなり順調な推移に見えるが、『Strapya World』に知名度があるわけではなく、アクセス数もそれほど多くない中、「少しずつ売り上げがあがってきた」というのが樋口氏の実感だ。

「見方を変えれば、知名度がなくてもこれだけ売れるわけです。プロモーションをはじめ工夫すれば、伸びシロはあると思いました」(樋口氏)

 その後、主力商品はストラップなどの携帯関連製品から、スマホカバーをはじめとしたスマホ関連製品に変わった。その過渡期を経てもなお、『Strapya World』の売れ行きは順調だ。2011年6月には米国向けのアマゾン店『Strapya World Amazon』を、12月には韓国に向けて販売するショップ『Hamee Korea本店』をオープンするなど店舗を拡大し、2013年4月期における海外向けEC事業の年商は約1億5000万円まで伸びた。

 同社International Marketing Headのプラティック・ネイェック氏は、

「売り上げが伸びた理由のひとつに、『ダイオウグソクムシグッズ』のようなヒット商品の購入者がリピーターになる、という好循環があげられます」

と分析する。『Strapya World』には、もともとジャパニーズカルチャーに興味のある外国人が来店することが多く、息の長いファンとなって売り上げに貢献してくれるのだ。

International Marketing Headのプラティック・ネイェック氏はハミィの海外ECサイトを運営している。樋口氏自らがインドのデリー大学に出向き採用した

米国で大人気のダイオウグソクムシグッズ

大市場、中国から撤退した理由

 ここまで海外事業を順調に伸ばしてきた同社だが、過去には苦い失敗もある。巨大市場・中国からの撤退だ。

 『Strapya World』は、オープン当初から米国をメインターゲットにしており、実際に海外売上の6割は米国が占める。残り4割は、フランスをはじめとする欧州各国、香港、台湾、シンガポール、韓国などのアジア圏の国々だ。

「韓国や台湾は比較的参入しやすく、実際、日本のグッズはよく売れますが、総人口が少ないゆえに市場規模は小さい」(樋口氏)ことから、2008年に中国向けのショップをオープン。だが、2011年には現地の企業にサイトを売却して、撤退してしまう。

「中国では、関税の基準がかなり曖昧で、関税をいくらかければよいのか税関が分からない。日本から送った商品が税関で止まってしまうことが数多くありました」

 発送した商品が中国の税関で止められてしまうたびに現地に出向き、事態の収拾にあたる。そんなトラブルに幾度となく遭遇したことから、これ以上事業として成立させるのは困難と判断。サイトの売却を決めた

 実はこうしたトラブルは、中国だけに限らない。海外向けサイト特有の問題であるクレジットカードの不正使用、高い送料といった問題に、同社がどのように対処したのかは、次回で詳しくお伝えする。

Hamee Korea本店。韓国は参入しやすいが、総人口が少なく市場規模が小さい

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