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3次元NAND「V-NAND」がテラバイト世代SSDの架け橋になる

2014年07月02日 11時00分更新

文● 平澤 寿康

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 1日に韓国で開催された2014 Samsung SSD Global Summitでは、850 PROで採用された3次元NAND「V-NAND」に関する説明や、850 PRO以外の製品に関する発表も行なわれた。本稿ではそれらをまとめて紹介しよう。

データセンター向けV-NAND採用SSDの「845 DC PRO」

V-NANDは高層ビルのようなもの

 これまでの2次元構造のNANDは、製造プロセスを微細化することによって面積あたりの容量を増やしてきた。1999年に実用化された初期のNANDは120nmプロセスで製造され、1つのダイあたり1Gbitの容量が実現できた。

NANDは製造プロセスの微細化によって、セルあたりの容量を増やしてきた

 それに対し、現在最新となる1x nmの製造プロセスでは、同じ面積で64Gbitの容量が実現可能となっている。しかし、NANDではセルの間隔が狭まるにつれて、隣接するセルとの間で電気的な干渉が発生しエラー発生率が高まるという問題が発生する(関連記事)。

製造プロセスの微細化による容量増が限界に近付き、他のアプローチによるブレークスルーが必要となってきている

 製造プロセスが微細化されるにともなってこの問題が顕著となるため、2次元構造のNANDの微細化はほぼ限界のところにまで達しており、容量をさらに増やすには別のアプローチによるブレークスルーが不可欠となってきた。そこで登場したのが3次元NAND「V-NAND」だ。

2次元NANDの問題を解消した3次元NAND「V-NAND」。2013年にサムスン電子がいち早く量産化を開始した

 今回発表された850 PROに採用されているV-NANDの構造は、1つのダイの中でセルを垂直方向に32層重ね合わせたものとなっている。これまでの2次元NANDが、一定の面積内に小さな平屋建ての家をたくさん建てたような構造となっているのに対して、V-NANDは同じ面積の場所に高層ビルを建てたような構造になっていると考えるとわかりやすい。

これまでのNANDは2次元にセルを敷き詰めていたのに対し、V-NANDはセルを積層することで容量を増やす

2次元NANDとV-NANDの構造の違いは、平屋建ての建物と高層ビルの関係に近い

 V-NANDでは、垂直方向に延びる「Channel Hole」という柱に、円筒形のセルを積み上げた構造となっている。例えば、容量128GbitのV-NANDのダイ1つには、縦横それぞれ5万個、合計25万個のChannel Holeが設けられ、それぞれにセルが積み上げられている。850 PROに採用されるV-NANDは32層なので、1つのChannel Holeに32個のセルが積層されていることになる。

V-NANDは、Channel Holeという柱に円筒形のセルを積み重ねるような構造となっている

2008年頃に開発が始まり積層数を増やしてきた。2013年には24層のV-NANDの量産を開始し、850 PROでは32層の新世代V-NANDを採用する

 セルの積層化を実現したV-NANDの最大の利点は、容量を増やすことが容易に実現できるという点だ。現在2次元NANDは1x nmの製造プロセスで1つのダイあたり128Gbitの容量が最大。今後、さらなる製造プロセスの微細化を進めたとしても、2015年に1つのダイあたり256Gbitの容量を実現できるかどうか、といったところだという。

2次元NANDでは微細化による容量増がほぼ限界に達しており、今後のダイあたりの容量増はあまり見込めない

 それに対しV-NANDは、製造プロセスを微細化することなく、セルを積層するだけで容易に容量を増やせる。2013年に量産が開始された24層積層型V-NANDでは30nm世代の製造プロセスで、ダイあたり128Gbitの容量を実現。そして、2017年頃にはダイあたり1Tbitという大容量化の実現も視野に入っているという。

V-NANDはセルを積層するだけで容量を増やせられるため、大容量化の実現が容易

2017年には1セルで1Tbitの実現も可能になるという

 850 PROでは容量1TBの製品が用意されているが、将来は2TBや4TB、8TBといった容量のSSDも十分に実現可能となり、SSDの容量が飛躍的に増大することになりそうだ。ちなみに850 PROに採用されているV-NANDは、ダイあたりの容量が約86Gbitで、1つのセルあたり2bitの情報を記憶できるMLCタイプとのことだ。

→次のページヘ続く (データセンター向けV-NAND採用SSDも登場)

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