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渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」 ― 第35回

【後編】『Wake Up, Girls!』監督 山本寛氏インタビュー

「人は再起できる」山本寛監督が語る“地獄”

2014年07月18日 18時00分更新

文● 渡辺由美子(@watanabe_yumiko

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(C) Green Leaves/Wake Up, Girls!製作委員会

<前編はこちら

 山本寛監督のオリジナル作品『Wake Up, Girls!』のプロジェクトは大がかりなものだった。声優は全国オーディションで選出した新人7名。劇場版『Wake Up, Girls! 七人のアイドル』を、TV版の放映時期に合わせて同時公開。アニメ制作スケジュールは厳しく、山本氏はそのハードさを「地獄だった」と振り返る。

 『涼宮ハルヒの憂鬱』でハルヒブームを作った“ヤマカン”は、一度「どん底に落ちて」アニメの仕事をやめたいと思い、これが最後という思いで「WUG!」制作に臨む。“地獄”を見るような現場で、もう一度仕事を続けようと思った理由は何か。

山本寛監督プロフィール

『Wake Up, Girls!』監督・山本寛氏

 1974年生まれ。大阪府出身。アニメ制作会社Ordet(オース)代表取締役社長。

 京都大学文学部を卒業後、京都アニメーションに入社、『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズ演出を経て『らき☆すた』監督。Ordet設立後の主な監督作品に『Wake Up, Girls!』『かんなぎ』『フラクタル』『戦勇。』『宮河家の空腹』等。

 2013年には東日本大震災チャリティーアニメ『blossom』を制作している。



『Wake Up, Girls!』あらすじ

 グリーンリーヴズ・エンタテインメントは、仙台で活動する弱小芸能プロダクション。しかし最後の所属タレントに逃げられ、社長の丹下は次の手としてアイドルユニットの結成を思い立つ。丹下の無茶振りにしぶしぶ街に繰り出しスカウトを始めたマネージャーの松田は、公園で一人歌を口ずさむ少女に出会う。その少女こそかつて国民的人気アイドルユニット『I-1クラブ』のセンターを務めながらも、ある事情で脱退した元アイドル、島田真夢であった。

(C) Green Leaves/Wake Up, Girls!製作委員会

スタッフ
原作:Green Leaves、原案・監督:山本寛、脚本:待田堂子、音楽:神前暁(MONACA)、 キャラクターデザイン:近岡直、色彩設計:辻田邦夫、美術監督:田中孝典、撮影監督:石黒晴嗣、CG監督:濱村敏郎、編集:奥田浩史、音響監督:菊田浩巳、音楽制作:DIVEⅡentertainment、アニメーション制作:Ordet × タツノコプロ、製作:Wake Up, Girls!製作委員会
オープニングテーマ:「7 Girls War」(歌:Wake Up, Girls!)
エンディングテーマ:「言の葉 青葉」(歌:Wake Up, Girls!)

キャスト
島田真夢:吉岡茉祐、林田藍里:永野愛理、片山実波:田中美海、七瀬佳乃:青山吉能、久海菜々美:山下七海、菊間夏夜:奥野香耶、岡本未夕:高木美佑
岩崎志保:大坪由佳、近藤麻衣:加藤英美里、吉川愛:津田美波、相沢菜野花:福原香織、鈴木萌歌:山本希望、鈴木玲奈:明坂聡美、小早川ティナ:安野希世乃
松田耕平:浅沼晋太郎、丹下順子:日髙のり子

(C) Green Leaves/Wake Up, Girls!製作委員会

『Wake Up, Girls!』Blu-ray 第4巻 6月27日(金)発売!

『Wake Up, Girls!』BD第4巻ジャケット。(C) Green Leaves/Wake Up, Girls!製作委員会

発売日:2014年6月27日(金)
価格:7560円(税込)
収録内容:本編第7話~第8話

特典
Wake Up, Girls!プロフィールカード【久海菜々美】(1枚)

初回封入限定特典
・ドラマCD
・ダンス教則映像『Wake Up, Dance!』
・複製台本(アフレコ時の実際の手書き書き込み印刷有)
・月刊『WU,G!』(特製ブックレット)
・SNSゲーム『Wake Up, Girls!ステージの天使』限定シリアルコード)

初回限定仕様
・ピクチャーレーベル仕様
・三方背BOX仕様(特殊パッケージ)

■Amazon.co.jpで購入

「現実(リアル)」を乗り越えたかった

―― 『Wake Up, Girls!』では、現実とリンクさせたいという思いがあったそうですが、アニメ制作にあたっては、どんな方針を立てましたか。

山本寛監督 キャストと同様、アニメのキャラクターも大変なこともある現実を乗り越えるお話にしたいなと思いました。ちょっと泥臭いシーンも入れたりして。アニメの第2話とかも、ゴロツキのプロデューサーに騙されて宴会場でオジサンたちにからまれたりと、散々な目に遭ったりしてね。

―― ああいう美少女キャラクターが、男性からセクハラ的な扱いを受けるシーンは少し衝撃的で、昨今のアニメではあまり見ない表現だったので驚きました。

山本 そんなふうに感じるお客さんも多かったと思います。「アイドルなのに、なぜこんなに汚いことをやらせるんだ」という声が僕のところにも届きましたから。なんで女の子たちがヒドイ目に遭っているんだ、って。

 でも、芸能界という生き馬の目を抜くような現場にいれば、嫌な経験もすることになる。これくらいの目に遭うことは普通に日常生活であるでしょう、人間なんだから、と。

 アニメはある意味絵空事ですが、絵空事で終わるような人物の描き方はしたくなかったんですね。WUG!では、島田真夢たち7人の主人公たちが、大変な現実を乗り越えるまでをどうしても描きたかったんです。そこは作品の持つ「主張」のようなものですね。

(C) Green Leaves/Wake Up, Girls!製作委員会

―― 前回、作品には主張がないといけない、というお話が出ましたね。山本監督にとって、汚い面まで見せることが主張だということですか。

山本 はい。きれいな面だけでなく、汚いところも含めて人間の持つ清濁併せ飲む豊穣さだと思うので。架空の物語であってもキャラクターを「人間」として大地に立たせるためには、隠してはならない部分がある。臭い物に蓋をするようなことは絶対にやってはいけない。そう僕は思っています。

 普通に生きている人たちだって、人生はアップダウンの連続ですよね。いや、絵空事ではなく人生には辛いことが起こるんだよと。僕だって、アニメ演出家としてどん底まで落ちたことがありますから。

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