4Kテレビの3分の1で購入できる
4Kディスプレー安さの裏側
この夏最安となりそうな4Kテレビは東芝の「REGZA 40J9X」で、40V型で23万円前後で販売される予定だ。一方の4Kディスプレーは7~8万円である。
サイズが小さいとはいえ、PC用ディスプレーになるとどうしてこんなに低価格になるのか。理由の1つはTVチューナーがないため。TVチューナー自体は決して高価な部品ではないが、内蔵してしまうと、日本でしか売れない製品になってしまう。
TVチューナーなしならば、各国の電源に対応するアダプターを組み合わせるだけでグローバルモデルとして製品化できる。いちいち各国の放送に対応するよりも製品を作りやすいわけだ。
しかも、4Kパネルで地デジ放送などを映すとなると、4Kアップコンバート機能が必要になる。4Kテレビでは多くのモデルが備える超解像技術などの高画質化機能は、各社の独自開発であり、その分コストがかかる。
コストがかかっている分、4Kテレビは2Kコンテンツも高精細に表示できるわけだが、4Kディスプレーは基本的に再生機器側から出力された映像をそのまま表示するだけなので、4Kテレビと比較した場合画質的な差が出やすいし、ソースを選ぶというデメリットがある。
もうひとつの問題は、本特集第1回でも紹介したHDCP 2.2への対応だ。フルHDのPCディスプレーが登場した頃にも同じことがあったが、HDCP 2.2に対応していないと4K試験放送をはじめとする商用の4Kコンテンツは表示できない。
現在のところHDCP 2.2に対応した4Kディスプレーは発売されていない。つまり、将来的に4KのBlu-ray Discや4K VOD、4K放送を表示したいと思っても、それはできない。そのあたりを理解しておく必要はあるだろう。
さらに付け加えるなら、4Kディスプレーは必ずしも4K/60pで表示できるわけではない、ということ。特にHDMI入力では4K/30pとなり、DisplayPort入力でも4K/60p表示ができない製品もある。製品を購入する際はそのあたりを確認したほうがいいだろう。
低価格とはいえあなどれない4Kディスプレー
実は、筆者は低価格4Kディスプレーについて、ある嫌疑を抱いていた。アジア圏では10万円を切る低価格な4Kテレビも発売されている。これは、パネル解像度はきちんと4Kなのだが、駆動回路を低コスト化しており、隣接した画素を交互の発光させる方式を採用。
すなわちインターレースの60i表示のようなもので、4K解像度だが同時に発光している画素は約半分というもの。さすがに国内で発売されてはいないようだが、今回紹介した4Kディスプレーもあまりに価格が安いため、「もしかして、なんちゃって4Kでは?」という疑惑もあったのだ。
今回試したディスプレーに関しては、インターレース表示のようなチラつき感はなかったし、念のため、デジカメのハイスピード撮影(秒間240コマ撮影)でも確認してみたが、しっかりとすべての画素が同時に点滅していることを確認した。
まあ、60i表示ではさすがにPCのテキスト表示などが崩れてしまうので、PC用ディスプレーとしては採用できないだろうが……。
4Kディスプレー機器でも海外勢の参入による低価格化は必ず訪れるだろうが、4Kパネル自体はまだまだ発展途上で、開発や製造にはそれなりのコストがかかっている。
そういう時期に驚くような低価格を実現するということは、ちゃんと理由があることを知っておいてほしい。まあ、品質にうるさい日本市場で、いかに安くとも粗悪な製品が販売されることはほとんどないだろうが。
次ページへ続く、「4Kディスプレーの対応馬!? 40V型クラスの4Kテレビ」
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