薄利多売のモバイル決済に
カード会社が積極的な背景
たとえば、カード会社におけるキャッシング(消費者金融)事業の不振も大きい。
ここ数年、消費者金融の業者はキャッシングにかけられる総量規制に苦しめられてきた。2010年の貸金業法改正により、年収の1/3を超える借り入れがある場合、キャッシング会社は新たな貸し出しが出来なくなったのだ。カード業界についても例外ではない。
従って、貸金業法の改正以降は、どこのカード会社も、新たに収益性が見込める事業の開拓を余儀なくされている、というのが実態だ。
しかし、モバイル決済はまだ出来たばかりの事業分野。「スクエアのようなモバイル決済は、カード会社にとってはリスクにもなりうる」と多田羅氏は警告する。
モバイル決済は審査が簡単なため、誰でもカード決済ができる。たとえば個人が個人に直接おカネを貸すような個人間送金(闇金)に使われる恐れもあり、モバイル決済の参入事業者は常にカードの不正利用に目を光らせる必要がある。
スクエアの登場で見えた
クレジット帝国の復権
いずれにしても、モバイル決済がクレジットカード市場を広げたことは間違いない。その先に見えるのは、世界中の消費行動が電子化された未来だ。
「結果として現金は年々減っていく。(なくなるのは)もう時間の問題です」(多田羅代表)
PayPass、Visa payWaveに代表されるNFC(タイプA/B)に対応した非接触ICカード技術、顔写真とクレジットカード情報を紐づけて本人確認で決済する「顔パス決済」など、決済インフラの技術は進化を続けている。
スクエアのようなモバイル決済の隆盛は、勢いに陰りが見えはじめたクレジット帝国が、ふたたび世界市場の征服を目指して動きはじめた証なのだ。
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