「最強のiPhone」が欲しくないか? iPhone 5sがまもなく発売される今、なにをもってして最強と呼ぶかは人それぞれだろうが、「どこでも使える」という観点からすると、間違いなく“最強”となりそうなのが、ソフトバンクモバイルから登場した衛星電話アダプター「202TH」とiPhone 5の組み合わせだ。9月10日に発売された本機をテストした。
この202THは、ドバイに本拠を持つThuraya Telecommunications Company(スラヤ テレコミュニケーション カンパニー)社の設備を利用した衛星電話の電話機ながら、スピーカーやマイクは持たず、それらの機能はBluetoothで接続したiPhone 5から行なうというものだ。ウィルコムのだれとでも定額パスと似た仕組みである(関連記事)。
202THのサイズ/重量は、約69×142×31mm/約227g。iPhone 5(112g)とのセットだと、約339gとなる。イマドキのケータイのサイズではないが、すごく重くて、デカすぎるわけではない。一応、ジーンズの尻ポケットにも入る(ピチピチだと無理かも)。
日本では南西方向が開けた屋外であればOK!
衛星電話経由の発信は専用アプリ「SatSleeve」(App Storeから無料でダウンロード可能)から行なう。バックグラウンドで動作させておくと待受もできる。というわけで、この衛星電話を片手に東京のコンクリートジャングルに飛び出してみた。
衛星電話というと、まずは「イリジウム」を思い浮かべる人が多いと思うが(日本ではKDDIがサービスを提供)、イリジウムは地上から780kmという低い高度に66機の衛星が配置されているというシステムなのに対し、Thurayaのネットワークは高度約3万6000kmの赤道上空にある2つの静止衛星で北南アメリカ大陸を除く、世界各国をカバーしている。そのため利用する場合は、屋外であることはもちろん、アンテナを25~60度で南西方向(日本の場合)に向ける必要がある。
というと、なにか電波をつかむのが難しいように聞こえるが、実際には南西方向がある程度開けている場所であれば、周囲にビルなどがあっても普通に電波をキャッチできる。待受はともかく、発信は比較的簡単にできるはず。ちなみに海外での利用も可能だが、行き先の電波関連法規に従う必要があるので注意してほしい。
結構普通の電話機である
カバーはモバイルバッテリーにもなる
さて、その使い勝手のほどだが、これが拍子抜けするほどに普通の電話だったりする。さすがに3万6000kmの距離を往復するだけあって、発信に20秒ほどかかったほか、相手との通話で1~2秒くらいの間は空くが、音質は一昔前のケータイレベルで問題なし。
さらにデータ通信も可能で、無線LAN経由でモバイルルーター代わりにもなる……のだが、下り最大60kbpsという通信速度はともかく、1KBあたり2円という料金設定なので、相当なお金持ち以外は常用は無理というもの。SMSも利用でき、さらに衛星電話としては国内初となる、日本の110番や119番への通報にも対応しているという(119番は東京のみ)。
ちなみにこのカバーには、2440mAhのバッテリーが内蔵されており、通話時間は約3時間で待受時間は約36時間。衛星電話の利用時間を短くしてもいいのなら、モバイルバッテリーとして、iPhone側に電力を供給することも可能だ。